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2010年12月25日 (土)

経営戦略

 先週、「経営戦略」の研修で東京に行ってきた。当社の関与先さんには、絶対必要な情報と考えて参加した。

日本の事業者数は年々減少の一途をたどり、私が25年前に開業したときは600万事業者(法人、個人含めて)だったのに、現在は400万事業者と、この20年ちょっとで、200万事業者も減ったのだ。最近のデータでは、毎年29万社が廃業、倒産に追い込まれ、そのうち後継者がいないといことで廃業するのは7万社に及んでいる。

何の方針も計画ももたず、成り行きにまかせて商売をしていては、廃業、倒産に追い込まれるのは統計上もあきらかだ。何とか生き残ったとしても、わずか25%しか黒字企業がない。赤字のままの企業は遅かれ早かれ、淘汰されざるを得ない。

現在、黒字の会社は更に基盤を強化するために業績アップをはかり、赤字の社長は「3年後必ず黒字にする。」という強い決意でこれからの経営に取り組まなくては後がない。そのお手伝いをするのが、我々の仕事だ。

 当社もいよいよ「経営計画」から一歩踏み込んだ「経営戦略」へのアドバイスを進めていかなければならない。そして、業績アップという具体的な成果につなげてもらい、喜んでいただかなくてならない。過去の数字の整理だけに追われ、結果を報告するだけでは、企業の業績は、上がらないからだ。

今回の研修の講師の一人であるT先生に20年ぶりにお会いした。再開を抱き合って喜んだ。そしてその講義は、20年前と少しも変わらず、むしろ時の重みを乗せてさらに迫力が増していた。

「生きるか死ぬかの瀬戸際の中小企業に税金なんか払わせるな!」「もっと会社に一歩踏み込んで寄り添って本気で立ち向かえ」そして「本音で話し合っても、傷つかない関係を作れ」「保身に入った50代の幹部社員と戦わない限り組織は決して良くならない。」「会社に行ったら、幹部と必ず面接しろ。会社のレベルがわかる。」「組織では表に出ないパワーバランスを常に意識せよ」と。その一言、一言に魂が込められていた。

20年前にお会いしたとき「私は情が厚すぎてコンサルタントには向きません。コンサルタントはもっと冷静でないと・・・。」と話していたのを思い出しました。しかし、私は実際に先生がコンサルタントとして、ある整備工場に関って、立て直していく様子をビデオで見せられ、涙が止まらなかったのを思い出します。

20年前も今も冷静沈着でクールなコンサルタントより全身で本気でぶつかっていく先生のようなコンサルタントが必要だと思いました。それは、人を動かすのは「感動」しかないからです。その「感動」を生めるのは、決してクールな冷静沈着な指導者でもなければ、地位の高い人でもありません。

 相手先さんのことを真剣に、親身に考え、一歩踏み込んで寄り添って、経営者自らが気づくまで、一緒に考えてくれる人です。それは決して甘やかすのではなく、時には厳しく、本音で語れる関係・・・それこそが私が目指すコンサルタントです。

平成23年度は一緒に自社の「経営戦略」を立ててみましょう。
できるまでフォローさせていただきます。

       2010/12/22    著 者   千 葉 和 彦

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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2010年11月 1日 (月)

不景気の中の経営戦略

 昨今は、この不景気のため、販売不振に悩んでいる会社が多いようです。そのため、売り上げも右肩下がりです。「先生いつになったら景気良くなるのでしょうか?いったいいつまで我慢すれば良いのでしょうか?」と顧問先さんからよく質問を受けます。ここで、はっきり伝えておかなくてはいけません。「今後景気が良くなることはありません。」と。何故なら今後は、日本の人口も企業も減るだけだからです。統計上増えているのは、65歳以上の割合だけです。そこからは従来と同じ方法では販売増は到底望めません。他力本願では衰退するばかりです。自力で考え、戦略をたてる必要があります。
 そうすると、すぐに今後は、国内需要は望めないのですから、中小企業も海外進出すべきだと話すコンサルタントの方が多いようです。しかし、私は賛成しません。リスクが高すぎるからです。まず、その前にできることがないか十分に考える必要があるのではないでしょうか?お客様の声に十分に耳を傾けて見ましょう。お客様が望んでいることは何か。お客様が困っていることはないか。もっともっと耳を傾けるべきです。それが見つかったら、それに対し、自社が、できることはないかトコトン考えてみることが大事です。

 経営戦略とは、何を、誰に、どこで、どのように売るかを考えることです。そしてその戦略には、リスクの高い、低いがあります。まずはリスクの低いものから取り組んでいく必要があります。いきなり、リスクの高い分野に進出しては危険です。その順番は次の通りです。

  ①現在の商品、サービスを現在の市場、お客様にもっと買っていただけないかを考える。すなわちお客様とのつきあい方、売り方に磨きをかけ、競争力をつけることです。深耕作戦とも言われるものです。
  ②新商品を既存の業界、客層に売る方法です。
  ③既存の商品や類似商品を新規顧客に売る方法です。これは一般に言われる新規顧客開拓です。既存のサービスである小口宅配を一般消費者に提供することで成功したヤマト運輸さんなどはここに入るのではないでしょうか(それまでは有名大手デパートの専属下請でした。)
  ④新商品を新規顧客に売る方法です。いわゆる多角経営ともいえるものだと思います。もっともリスクが高い分野ですので、慎重に作戦を立てないといけません。レコード業界で唯一生き残った㈱ディスコが代表例でしょう。CDの出現でレコードの需要は激減しました。

レコード針を製造していた㈱ディスコは、レコード針を作るために磨き上げたダイヤの加工技術を生かして、半導体、電子部品向けの切断、研磨装置などの開発に乗り出し成功しました。商品も市場もすべて変えること成功しましたが、従来の強みを生かせたということがポイントでしょう。

どの戦略でいくか決まったら、具体的なアクションプランを立て、三ヶ月ごとに、実行できたかどうかチェックしていきます。
これがいわゆるPDCAサイクルを回すということです。これをしっかり繰り返していけば、会社が良くならないはずがありません。
応援しています。
     
  2010年10月28日(大安)  著者  千 葉 和 彦

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2010年9月29日 (水)

公私混同の活用

  よく「公私混同は経営上してはいけない。」と言われる。そのことに特に異論を唱えるものではない。ご存知のように、税務では、「公私混同」と言う言葉はタブーであり、特に同族間の取引は目の敵にされている。しかしその反面、銀行からの借り入れの際には、必ず代表者の個人保証が取られ、さらに代表者個人の住宅まで担保に取られ、万が一の時、代表者一家はすべてを失う。私に言わせれば、このことが、公私混同と言わずして、何というのだろうか?と疑問を投げかけたい。大企業の社長が、会社の借入金の個人保証をしているなどと言う話は、聞いたことがないからだ。
 
  私の知り合いにとても優秀な若き社長がいる。人格的にも優れ、先見性にも非凡なものを持っている。彼自身、日頃から公私混同を戒めながら、当然のことながら、日曜、祭日もなく、朝早くから夜遅くまで必死で働いている。その努力の甲斐があり、前期も、この不況の中で、税引き前で約3000万円の利益を計上した。しかし彼の役員報酬はわずか月30万円だ。私がむっとしたのは、彼が、その少ない役員報酬を誇りに思っている節さえ感じられたからだ。
 
  私は思わずそんな彼に「そんな役員報酬で会社が、いくら利益を出しても自慢できないよ。」と話してしまった。すると彼は、意外な表情をして「千葉さん。私は会社に蓄積ができる前に、自分だけたくさんの報酬をもらうことで、会社を食い物にしたくないのです。」と反論してきた。彼の考えの中には、公私混同をせずに、同族色を脱皮することが良い経営であり、それが優れた経営者であり、自分はそれを目指しているのだという自負がありありと見えた。

私は「私は、君のことが好きだし、将来、地元経済を背負っていく若き経営者として大いに期待しているが、その考えは間違っているよ。」と断言した。そして「経営者にとって一番大事な責務は何か?」と聞いた。 彼は、清々しい表情で「会社を通して社会に貢献していくことです。」と彼らしい回答をしてきた。私はさらに「ではそのような会社にするには何が大事か?」とたたみ込んで、聞いた。彼は、ちょっと考えて「強い会社を作ることです。」と答えた。私は、続けて「強い会社にするにはどうすれば良いのか?」と尋ねた。彼は、「会社で利益を出すことです。」と即答した。

私は、「会社で利益を出すだけでは、強い会社を作れないよ」と答えた。そして続けて「連帯保証の例を考えればわかるように、中小同族企業が公私を完全に区別する事はそもそも不可能なのだから、ここは、社員や税法が許す範囲で、積極的に公私混同を活用すべきだ。個人と法人を合わせての資本蓄積効率を高めていくことが、中小同族企業が強くなる方法だ。大企業の経営と一緒に考えてはいけないのだ。だから、とりあえず来期からの役員報酬を法人の税率より低い範囲で見直すことから始めた方が良いよ」とアドバイスした。
 
  10年もかかってやっとためた内部留保でさえ、わずか2~3年で吹き飛ぶことを考えれば、当然の戦略ではないでしょうか。
 
   9月28日(火)朝から強い雨が降り続いています。

 2010年9月28日 著者  千 葉 和 彦

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2010年8月31日 (火)

過大設備投資

 どんな経営者の悩みも、「人と金」に集約されます。現預金はどのくらいあればいいの?
借金はどのくらいまで大丈夫なの?設備投資は年間どの程度していいの?優秀な人材を確保するにはどうしたらいいの?社員のモチベーションを上げるにはどうしたらいいの?等々です。その中で今回は、特に設備投資について考えていきましょう。

 倒産の直接的な引き金のほとんどが、支払手形の不渡りです。手形を振出していなければ、債権者にお願いして支払日を延ばしてもらうことも可能です。そのようにして過去何度かの危機を乗り越え、現在優良企業で活躍している社長さんも数多く知っています。

 その不渡手形を出すに至る大きな原因が過大設備投資と不良在庫です。設備投資をしようとする時は、会社の業績が良いときです。社内にはイケイケのムードが充満しています。

 特にトップの社長が一番やる気になっています。そのような雰囲気の中でストップをかけられる幹部は、なかなかいません。
私の知っている社長に、いつも強気の設備投資をされる方がいました。その度胸の良さに感動すら覚えました。しかし、その社長は、いつしか、いつも資金繰りに追われるようになってしまいました。その設備から社長が予定する収入が上がらなかったのです。

投資をしないと経営はジリ貧になっていきますが、過大投資になると話は別です。どうも社長という人種は、楽観的な方が多いようです。勿論そのプラス思考の前向きな発想で会社も大きくしてきたのだと思いますが・・・。しかも、仕入の単価には、厳しい社長でも、どうも設備の見積りは甘くなりがちです。そして社長の周りには、イエスマンと儲けたい人が集まります。銀行もどんどん後押しをしてくれます。冷静に見ることができるのは、我々のような会計事務所か経理しかいません。

 是非、経理は、次の3パターンのシミュレーションを作って社長に見せてあげてください。まず①社長の希望通りに業績が上がった場合②現状維持が続いたとした場合③業績が社長の予想通りいかず、ダウンした場合の3通りです。その際、損益だけでなくキャッシュフローも必ずシミュレーションして上げて下さい。

勘の良い社長はそのシミュレーションを見て我に返り、必ず気づくはずです。③のパターンでも本業の屋台骨を揺るがさない投資の仕方をしなければならないと・・・。特に収益を生み出さない社屋等への過大な設備投資は要注意です。

設備投資が少ないと思われる我々のような会計事務所も昨今IT投資が増えてきました。どうにもシステムがわかる人間がいなので、システム会社のいいなりにならざるを得ません。しかもハードとソフトの購入費用に比例してメンテナンス料は増大していきます。IT投資はシステム会社の言いなりにならないようにしなければなりません。又個人の趣味ではないので、必要以上のこだわりも捨てなければなりません。銀行やリース会社が貸してくれるからと全額を購入費用に充ててはなりません。前の三つのシミュレーションをして、冷静に判断、投資をすすめてください。
応援しています。
              
  2010年8月30日 著者  千 葉 和 彦 

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2010年8月 5日 (木)

まさかの坂

 経営も人生もいつも順風満帆とは限りません。むしろ生きていればいろいろなことがあって当然です。坂にたとえれば、上り坂、下り坂、それに真坂の坂があるようです。自分はいつもと変わらず一生懸命がんばっているのに、急激な外部要因の変化で・・・例えば、火事、地震などの自然災害で大きな被害を被ったり、取引先の急な倒産で不渡りを掴んだりなどです。

経営者は100%自社の連帯保証をしているので、いざという時に、全てを失ってしまいます。何も持っていなければ怖いものはないので、社長名義の不動産などやたら増やすより、まずはきちんと現金を持つことではないでしょうか? 又、債権者から家族を連帯保証人に追加するよう要求されても、応じない方が良いでしょう。業績が思わしくない場合は、老舗といえども、子息を一緒に同じ船(会社)に乗せない方が賢明の場合もあります。

 最悪の場合、やむを得ず倒産ということに直面することがあります。この「倒産」という用語ですが、法律用語ではなく、会社が債務超過で支払い不能の状態に陥り、その会社が経済活動を続けることが不可能になることを言います。すなわち約束した支払日に支払ができなければ倒産ということになります。その原因の9割は、待ったなしの「支払手形」です。ですから、まず倒産を避けるためには、「支払手形」を振り出さないことです。もう振り出しているところは、目標期限を定めて順次、手形を無くしていきましょう。

 次に「倒産」の大きな原因の一つに過大設備投資があります。その設備が予定通りの収益を生み出せないときにその悲劇は起こります。何故なら、借入金の返済ができなくなるからです。あくまでも甘い見通しは禁物です。設備投資は「減価償却の範囲内で」が原則です。私は本業の利益(営業利益)が出ていない会社は、再生は難しいと考えています。厳しいことを言うようですが、何期も連続で営業利益が出ていない会社は、上手な整理も視野にいれた対策が必要です。会計事務所もその会社が瀕死の重体になる前に、上手な撤退の仕方をサポートする必要があります。「会計事務所と銀行は倒れるまでお金をもらい続ける。」などと言われては恥です。「どんな業種が儲かっていますか?これからどうしたら良いでしょう。」と経営者の方によく聞かれますが、経営者は人に聞く前に自分の頭で考えなければなりません。何故ならそれが、経営者の仕事だからです。

 経営者は5年後、10年後自社は何で食べていくかを考える人です。現場に出て今日の飯を稼ぐのは社員の仕事です。役割が違うのです。
その際に、考えるポイントは、①消費者の視点で考える ②業界の常識を疑って考える の2点です。そして自社の商品を、①他のお客様に販売できないか ②関連多角化できないか(あくまでも自社の商品と近い形での多角化)です。そうしないとシナジー効果が発揮できません。

経営者は日頃から目標を明確にし、考え続ける習慣を身につけ、この厳しい経営環境の荒波を乗り切って行きましょう。応援しています。

   2010年7月29日  著 者 千 葉 和 彦

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2010年6月29日 (火)

経営とはあら利を稼ぐこと

 いよいよ今月(6月)よりオーナーズセミナー恒例の3回シリーズ「決算書活用シリーズ」です。今月はP/L(損益計算書)編です。このシリーズは、いつも好評で参加者もいつものテーマより多いようです。講義開始と同時に簡単な問題を題材に、まずは、参加者の会社さんのP/Lを「変動損益計算書」(以後変動P/Lといいます。)に組み替える方法を皆で学習しました。

通常のP/Lは、外部報告用のもので、経営者が経営戦略を立てるのに向いていません。そこで変動P/Lに組み替える必要があります。この変動P/Lは、経費を売上と一緒に変動する変動費と売上に連動しない固定費とに分けて考える方法です。私は、異論のある方もいると思いますが、変動費を商品仕入、材料費、外注費に絞ってもらい、それ以外をすべて固定費と考える方法を伝えています。

 その場合の固定費は、大きく四つに分け、人件費、一般経費、金利、減価償却費とします。そうしないと、たとえば、今期は、どうも業界そのものが低迷しており、自社努力でいくらがんばっても売上が一割落ちてしまうというような場合、経常利益はいくらになるだろうか、黒字は保てるだろうかなどという疑問に即答ができません。

 ところが、この変動P/Lに組み替えることで、今期はどうしても利益1000万ないと借金が返せない。その場合の売上はいくら必要かとか、あるいは、わが社の損益とトントンの損益分岐点売上高はいくらなのかなど、さらに採用において年間500万の報酬の人間を雇い入れる場合に現状の利益を維持するには、いくらの売上が必要かなどを即時に導き出せるのです。変動P/Lは、経営上の強力な武器になります。

ところで、売上から変動費を差し引いたものを「限界利益」(通常、あら利ともいわれているものです。)と言います。この限界利益の中に固定費が納まっていれば経常利益が確保されることになります。この限界利益より固定費が多ければ当然、赤字ということになります。これが、「経営は、限界利益と固定費の戦い」と言われる所以です。そう考えていくと、当然なことですが、会社は限界利益(あら利)がないと生きていけません。そのあら利をいかに稼ぐかが、経営というものだということになります。

ここで肝心なことは、そのあら利が、いったいいつ生まれるのかということです。会計学や税法に従うと、商品やサービスをひき渡した日ということになりますが、実務上、経営上それは、明らかに間違いです。引渡しだけでは、決してあら利は生まれません。それはお金が我社に入ってきたときです。かの有名なマルクスもその著書「資本論」の中で、「商品から貨幣への命がけの飛躍」といっていることからもうなずけます。具体的に貨幣が会社に入ってこないうちは、あら利は生まれていないことを肝に銘じて、この変動P/Lの限界利益も眺めてほしいと思います。

そして何といいましても、限界利益の元はやはり「売上」です。そして「売上」の元となるのは「お客様」であることも当然です。
お客様をいかに作り出し、その数を多くしていくかが経営といえるでしょう。まずはいかに集客するか、そしていかに育成して顧客にしていくかが、ポイントです。
経営者の皆さんがんばってください。

2010年6月28日   著 者  千 葉 和 彦

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2010年6月 2日 (水)

経営の定石

 先日、私の知り合いが、麻雀で大負けをしたそうだ。その友人は競技麻雀で日本チャンピオンにもなった方だ。たまたまその日勝った連中は、「俺は日本チャンピオンに勝ったのだから、世界チャンピオンだ。」などと大はしゃぎだったそうだ。

彼は「彼らは、まるで定石というものを知らないから、普通あり得ない手を平気で打ってくる。そこにツキがたまたま味方したものだから短時間では、負けを取り戻せなかった。」と話していた。後日、大はしゃぎの彼らが、再度、彼を誘ったことは言うまでもない。

しかし、何度、挑戦しても、もう以前のように勝つことはできなかったようだ。将棋や囲碁と同様に定石を知らないと一時の勢いで勝つことはあっても、勝ち続けることはできないようだ。
定石・・・それは、物事の基本ともいえるものではないでしょうか。何事も基本をしっかり押さえておかないと上達は遅いということでしょう。私のゴルフが上達しないのもその辺に原因があるのかもしれません。

 そして、どうやら経営にも定石があるようです。ところが多くの中小企業の経営者は、そのことを知らず、あるいは知っていても軽視して、目先の業務に追われている方が多いような気がします。振り返ると何年経っても同じか逆に年々じり貧気味・・・こんなに汗水垂らしてがんばっているのに、世の中冷たいなーと恨み節が聞こえてきそうです。

 今月は「年商の壁」と題してセミナーを行いましたが、社長が現場に出ていては、まず3億越えは難しいでしょうし、経営理念がなくては10億越えはまず無理です。特定の顧客に差別化された商品やサービスを提供するビジネスモデルがたまに当たった場合は、運良く7から8億くらいは勢いで行くこともありますが、やはり10億越えは無理です。(この場合の年商は粗利30%くらいの業種を前提にしてます。サービス業などは3億越えがそれらの業種の10億越えと同等でしょう。)では、経営の定石とはいかなるものでしょうか?それはまず経営理念をしっかり打ち立てることから始まります。

社長の思いを言語化し、社内に浸透させることです。次に5年後あるいは10年後のビジョンを具体的に全社員に示します。その後いよいよ戦略です。戦略は、いかに同業他社と差別化されたサービス、商品を、その価値を認めてくれる限られたお客様に提供していくかです。そして、その戦略を実行していくための組織をいかに作っていくかがポイントです。

この一連の流れなくして経営は成り立ちません。日本の企業の95%が5億円以下に集中しています。事業を起こした以上は、まずは1億円の壁を破り、次に、3億、10億と壁を破っていきたいものです。それにはやはり囲碁と同じように定石をしっかり身につけ、その後その上で自社に合った経営戦略を立てていかなければ当然のごとく何年経っても壁に打ち当たったままです。

まずは、しっかり「経営の定石」ともいうべき経営の基本をしっかり押さえながら経営に取り組むべきでしょう。是非、一緒に「経営の定石」の勉強していきましょう。

   2010/05/28   著 者   千 葉 和 彦

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2010年5月 6日 (木)

平成22年税制改正について

 今回の民主党の改正で、高く評価できる点は、その改正のプロセスを大きく変えた点である。
自民党時代には、政府と自民党からなる2つの税制調査会が存在し、政府よりも自民党で決めたことが、優先した。しかし、民主党は、与党税調を廃止し、政府税調に一本化した。又今回は時間がないため不可能と思われていた、いわゆる「オーナー課税」を4月1日以後終了事業年度から廃止した。
この素早い手の打ち方を見て、私は、今後の民主党政権に大いなる期待を抱いた。

しかし、マニフェストに書かれていた中小法人に対する減税は、税収不足もあり、先延ばしにされた。今後景気が回復し、赤字企業が減れば、来年度の改正事項として土俵に上がってくると考えられる。

 所得税は「所得控除から手当へ」のスローガンの下、子ども手当の創設、扶養控除の廃止、縮減が行われる。その結果、子育て中の方には朗報である。しかし、財源は確保できていないため、将来に一抹の不安を覚える。

 相続税では、「定期金評価の見直し」で、その節税策のひとつが封じられた。
相続税制そのものの改正は時間の関係で見送られたのがせめてもの救いだが、その税制改正大綱の中で、「今後、格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度改正を目指します。」とはっきり今後の方向を述べている。相続税の改正は自民党時代から「遺産取得課税方式」に改正すべしと話題になっていたが、長男に不利になるその改正は、某農業団体の強い反対もあり、見送られてきた。

 それに対し、民主党は「遺産課税方式」を考えているようだ。現在の「法定相続分課税方式」から「遺産課税方式」への転換だ。
現在は、法定相続人の数に応じて基礎控除の枠が広がるが、改革後は相続財産からまず税金を天引きして、残りの財産を相続人で分ける仕組みに変える。現在の一律5000万円の基礎控除を縮小し、準富裕層からも幅広く取り、相続税の対象を2~3倍に増やしたい意向のようだ。

この方式(基礎控除を3000万円と仮定して試算)だと相続財産6億円で相続人3人(妻、子2人)として、約12000万円の税額が発生し、丁度現在の方式の約2倍になる。相続財産が自宅と現預金で8000万円の場合は、現在の方式では課税されないが、この方式になると、約800万円の納税が発生することになる。ある財務官僚は「消費税増税を国民に納得させるには、まず『金持ち増税』をするというのが民主党の考え方だ。」と話している。

 富裕層の所得税の増税も検討されており、今後の方向性は、個人の増税、法人の減税である。法人はあまり増税すると海外に逃げられるが、英語にも弱い国民、個人は簡単には逃げられないということだろう。とすると、今後は法人で、できるだけ利益をだし、将来に少しでも繰り延べしていくという方法が有効と私は、考える。

税制は、経営に大きく影響を及ぼすので、今後どのような方向へ改正が進むか、経営者はしっかり勉強していかなければならない。
 
 2010年4月29日  著 者 千葉 和彦

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2010年2月27日 (土)

第一期千葉後継者塾…塩釜商工会議所を会場に無事終了

 企画段階から応募をいただき、8名の塾生がそろった。いずれも次期世代を担う20代から30代の地元企業の若き後継者達だ。現社長である親御さんたち、講師の先生方も遠方より駆けつけてくれた。当事務所も臨時休業で、全スタッフで開催にあたった。

 私の記念講演では、塾生が単なる知識を持つだけの「頭でっかち」にならないように、心構えやメンタルな面を中心に話をさせていただいた。それも以前、私の勉強会に参加した2代目の方が、「頭でっかち」になってしまい、会社に戻ってから、創業者の父親に「社長の経営理念はなんだ?経営方針はあるのか?」などと急に社長に詰め寄り、社長も閉口し、すっかり親子仲が悪くなってしまった反省があったからだ。そうなってしまっては、せっかく勉強した経営の知識も何の役にも立たなくなるからだ。

 「強運の法則」を書かれた西田先生は、その本で次のように話している。
「親父に感謝できない」「先代を尊敬できない」と話す2代目が結構いるが、親を尊敬できない、親に感謝できない2代目が社長になると、必ず会社は3代までに潰れる。
なぜなら2代目が先代をバカにすると、やはり返報性の法則で、2代目のまわりにいる人間が、2代目をバカにするようになるからだ。まわりにいる人とは従業員であり、お客様であり、そして自分の兄弟や息子である3代目が、父親である2代目をバカにするようになる。

 西田先生は「うそでもいいから先代を神より偉いと思え」「2代目は、道なき道を切り開いた創業者を神より偉いと思え」と話している。さらに、脳はウソでも本当でも区別がつかないのだから、言葉や行動によってどんどん脳を騙せ…最初はウソでやっていても、何度もうそをつくことで、本当にありがたいと思ってしまうものである。つまり、一回ついたウソは単なるウソだが、百回ついたウソはもはや本当になってしまうということだと話している。

 休憩時間に塾生の一人が私に近づいてきて、「先生、実は私は親父と仲が悪いのですが、今日の話を聞いて考え直すことにしました。」と話してくれました。私はそれを聞いて本当に嬉しく思い、この一年間何度も何度もこの話をしていこうと思いました。

親に感謝し、親孝行することから全ては始まります。親孝行はその人の心の問題です。親とその人しかわかりません。まずは「ありがとう。」と言葉で感謝、次に何か具体的な形のあるプレゼントをしましょう。

行動することで感謝の脳は強化され、仕事に対する意欲、ひらめきも湧いてくるはずです。そしてそれは、会社経営そのもの、業績に跳ね返ってくると信じています。塾生の皆さん一年間一緒にがんばっていきましょう。
 
 
 2010年2月24日     著 者  千 葉 和 彦  

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2010年1月27日 (水)

いよいよ「後継者塾」開催!

 日本の経営者の平均年齢が約60歳になり、これからの10年間は経営承継ラッシュの時代です。「経営承継」を上手にできないところは、経営の根幹である「存続と発展」をも危うくすることになります。まずは現経営者、後継者の皆さんはこの点に関し、共通の危機感を持って望むことが重要です。

 戦後、高度経済成長期に創業した経営者の第一回目の「経営承継ラッシュ」は約20年前に起こりました。その頃は、まだ日本経済も景気の良い時代でした。正直言いまして、誰が引き継いでも、苦労少なく「経営承継」ができた時代でした。

 現在の経営環境は、平成3年頃のバブル崩壊後、下降線をたどり続け、私としてはもはや失われた20年とさえ感じています。今後、急激に景気が良くなることは予測しがたく、下降し続ける経済の中での厳しい経営が余儀なくされるでしょう。(現在も7割の法人が赤字です。)ですから、前回と同じような「経営承継」では、企業の存続も危ぶまれるのです。しっかりと経営について勉強した後継者しか、引き継げないといっても過言ではありません。

この厳しい経営環境下、勉強しない経営者は生き残れないのです。倒産、廃業に追い込まれている経営者の多くが「決算書」も読めず、「ドンブリ勘定」だったことを考えれば明白です。特に、最近、「次期社長は決まったものの、経営についてどのように教えたら良いかわからない。」とか「先代の後は継いだものの、決算書の見方も今ひとつわからない。銀行交渉の仕方もわからない。どこか教えてくれるところはないだろうか」などの嘆きが聞かれるようになりました。

 私は会計事務所の社会的使命又は役割として、企業の存続、発展のために「後継者塾」を開催する必要があるのではと、考えるようになりました。そして、悩んでおられる後継者や経営者の皆様のお役に立ちたい一心で今回の「後継者塾」を企画しました。採算度外視の充実した内容になっていますので、本気で経営に取組もうとしておられる「経営者」及び「後継者」の方に参加してもらえればと思っています。一年間の長丁場ですので、開催する方も受講する方も「本気」で取組まなければ続きません。

 企業は生身の人間と異なり、時代の流れに上手に乗ることで永遠に近い命を吹き込むことも夢ではありません。実際に100年、200年さらに1000年以上存続し続けている企業があります。創業100年以上の企業が約5万社とすると、日本の法人数からみると約2%の存続率です。創業200年以上となるとわずか3100社で0.1%の存続率になります。いかに企業が存続し続けていくことが難しいのかが理解できます。

 老舗企業・・その秘訣は・・いずれも上手な経営承継にあり、その中でも「経営理念」という先代からの「思い」を後継者がしっかりと引き継いでいることでした。今回の後継者塾は、100年以上の老舗企業に残れる後継者の育成を目指したいと思います。

       2010年1月吉日   著 者    千 葉 和 彦
 
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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