新型コロナウイルス感染症緊急経済対策に伴う税務上の取り扱い
令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を受けて、国税庁は4月13日新型コロナウイルス感染症に関連する法人税・所得税の新たな取り扱いを示しました。私なりに重要と思われるところを一部整理して見ましたので、参考にしていただければと思います。
① 無担保、延滞金0で1年間納税猶予
具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月1日以後における一定の期間(1か月以上の任意の期間)において、売り上げが前年同月比で20%以上減少し、その事実に基づき一時に納税をすることが困難と認められるときは、1年以内の期間に限り無担保かつ延滞金なしで国税の納付を猶予することができるようになります。納期限までに、一時に納税をすることが困難と認められるためには少なくとも向こう半年間の資金繰りを示すか、書類の提出が難しい場合は口頭での説明でも認めるなど柔軟な運用が行われることになります。対象者は個人法人の別、規模も問いません。
所得税、法人税、消費税等ほぼすべての国税が対象になりますので、預かっている消費税などを1年間資金として活用できることになります。
*令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税について適用になります。
*ただ本日現在、まだ国会を通過していませんので、通過後、申請する形になります。納期限がまだ来ていない予定納税も当然含まれますが、この場合は1年ではなく申告期限までとなることに注意が必要です。詳しくは、仙台国税局の納税猶予センター(022-204-5937)に問い合わせると教えてくれ、申請書も郵送してくれるそうです。
② 固定資産税の免除
令和2年2月から同年10月までの任意の3か月(以下基準期間といいます。)の売上高(全ての事業の売上高の総額をいいます。以下同じ。)が、前年の同一期間の売上高より50%以上減少した中小事業者等については、令和3年度の固定資産税等が0になります。30%以上減少した場合は半額になるというものです。(中小事業者等とは、性風俗関連特殊営業をする者を除いて資本金1億円以下の法人です。)
手続きは、令和3年1月31日までに認定支援機関等(当事務所は認定支援機関になっています。)の認定が必要です。注意しなければならないのは土地には税額の免除がないという点です。建物と償却資産だけが対象になります。
③ 期中の役員報酬の減額
新型コロナウイルス感染症の影響で業績が急激に悪化し、資金繰りが困難な場合だけでなく、現状では売り上げなどの数値指標が著しく悪化していないとしても、新型コロナ感染症の影響により、今後の見通しが立たず、今後の経営状況の著しい悪化が不可避なケースでの役員給与の減額改定も「業績悪化改定事由」に該当するとしています。 上記に該当するようでしたら早めに役員報酬を減額し、所得税や社会保険料のキャッシュアウトを抑えることが大事だと思います。