事業承継

2019年12月27日 (金)

事業承継のコツは早い取り組みです。

 早いものです。今年最後のエッセイになりました。皆様のもとに届くときには新しい年を迎えているかもしれません。12月は恒例の当社の懇親会があり、約100名のご参加をいただき無事に終了しました。平成7年からオーナーズセミナーを始めましたが、当初は勉強会だけでした。5年ほどしてから、年末くらいは異業種交流も兼ねて懇親会をしようということになり、スタートしたのが、現在の懇親会の前身です。お陰様で今回、オーナーズセミナーとしては、通算255回、懇親会としては20回目を迎えることが出来ました。当初、まずは100回開催することを目標に掲げておりましたが、まさかこんなに長く続けることが出来るとは、私自身が一番驚いております。これもひとえに、当社を信頼し応援していただいているお客様と、一丸となって取り組んでくれるスタッフのお陰と改めてありがたさを実感するばかりです。

 さて、先日の懇親会の挨拶で、私は、最近私自身におきたエピソードをお話ししました。それは、私にとって何ともショックな内容です。顧問税理士さんが高齢でお亡くなりになったため、新しく顧問税理士を探している方がいて、面談させていただいたのですが、実は後日お断りされたのです。その理由を尋ねると、「先生も高齢になってきているので、せっかく頼んでも、また新しい税理士を探すようになってしまうかもしれないので、若い税理士に依頼させていただいた。」ということでした。私自身は、若い気でいましたが、周りはそうは見てくれていない事実を突きつけられ、少しショックでした。後継者問題は、私にとっても身近な問題となっていたのです。

 この数年で事業承継のタイミングを迎える会社は数十万社あると言われていますが、現時点で半分以上の会社には後継者がいないのが現実です。後継者のいない方は、一人で悩んでいないで親族などに相談して見ると思わぬ知恵が出ることもあります。もしどうしても見つからない場合は、M&Aか廃業、清算に出口を求めざるを得ません。廃業・清算するにしても社員がいれば解雇しなければなりませんし、退職金の問題もあります。取引先との事業中止の根回しも必要です。設備を売ろうにも希望するような価格で売れるケースは少ないです。このように、廃業するのにもかなりのエネルギーとお金がかかるのです。

 どの方法を選択するにしましても決め手は「スピード」です。いつまでも悩んでいるうちに5年、10年はあっという間です。鳴り物入りでスタートした10年間限定の特例である「事業承継税制」の提出期限も3年ちょっとに迫ってきました。まだ大丈夫とのんびり構えていると、期限が過ぎてしまったというケースも多くなるのではないかと危惧しています。この「届け出」は提出したからと言って、その通り実行しなくても何も罰則はありません。どうしようか迷っておられる方も是非、提出だけは早めにしておくことが大事です。当社でも手遅れにならないように、来年度は積極的にこの届け出を推進していきたいと考えています。迷われている社長は是非お気軽に当社にご相談ください。来年度も皆様のご期待に応えるよう全力で応援していきます。

2019年12月25日  著 者  税理士 千葉 和彦

2019年2月 5日 (火)

会社設立から15年で上場!

  昨年から一般社団法人日本中小企業経営支援専門家協会(略してJPBM以後この名称を使用する。)という長い名称の団体の理事に就任した。

 

このJPBMの前身は、1986年に事業承継問題に関心を持つ税理士が集結して設立された「日本事業承継コンサルタント協会」である。当時私は開業したばかりだったが、すぐに会員になった。同じ時期に入会した先生が2人いるが、今でも懇意にさせていただいている。

 

その後2009年に会員を税理士に限らず9士業が参加する形でJPBMが誕生した。従って私の入会歴は30年以上に及ぶことになる。

 

今でもよく思い出されることがある。

 

当時の入会の条件は、相続のシミュレーションのソフトとハードを購入しなければならなかった。当時コンピューターは高価なもので、相続のシミュレーションソフトもかなり画期的なものだったが、その価格がなんと1000万円を超えるもので、開業間もない私は、資金繰りに四苦八苦した思い出がある。

 

今思えばその仕組みを仕掛けたのは、のちに登場する分林会長だったと思う。



  事業承継コンサルタント協会は、主として中小企業の相続問題をどう解決するかが主要なテーマだったが、「後継者がいない」という問題が日本全国から浮上してきた。そこで、当時協会の常務理事をしていた分林氏(現在、会長)が、1991年に、日本M&Aセンターを立ち上げた。

 

その15年後の2006年10月には東証マザーズに上場、そして07年12月には東証1部にスピード上場を果たし現在に至っている。私の事務所のセミナー講師に分林会長をお呼びしたのは、丁度上場の前年だったと記憶している。現在では、時価総額4000億円を超える優良企業に成長している。そして今後ますます成長していくだろう。



  後継者難という外部環境の追い風は、当然だが、それだけで上場は難しい。良い人材を獲得し、その人材に力を発揮してもらえるようにする。会長が若い社員に話していることがある。それは一度でも肉体的・精神的な限界まで仕事に挑戦してみる、ということだ。そういう経験を積んでいると後々、強さとなって生きてくる。

 

それを経験したことがある人とない人では、とても大きな差ができると考えているのだ。まさに量は質へ転化するである。最初から質を求めても意外と失敗するものだ。


  分林会長は経営に絶対必要な4ヵ条があると考えている。

 

①収益性(これがなくては、企業そのものが存続できない。顧客、社員、関係者に報いることができない。)

②安定性(貸借対照表を充実させておく必要がある。M&Aセンターの自己資本比率75%である。)

③成長性(将来に向かって成長していかなくては、企業は存続する意味がないと会長は考えている)

④社会性(迷ったとき「社会に対して正しいことをしているか?」会長はドラッガーが言ったこの言葉を、会社経営者だけではなく、社員一人一人も規範とすべきと考えている。)

 

この4つが揃った企業が良い経営を行っている企業で、揃っていない企業はいずれ存続できなくなる可能性が高いと言っている。我々も経営に携わるうえで、上記のことを胸に刻み、進んでいきましょう。そうすれば、たとえ上場はできなくても、それ以上に地域から喜んでいただきながら存続できる会社になれると信じています。一緒に頑張りましょう。

 

 

 

2019年1月31日 著 者   税理士  千葉 和彦