消費税

2025年7月 1日 (火)

食料品のみの消費税減税

 いよいよ今月は参院選です。食料品のみの消費税を0にするなどの減税策を公約に掲げている党が多いようですが、実務家の我々としては、もうこれ以上複雑なことをしてくれるなと言う思いが先にきます。

ただでさえ、複雑な計算を強いられる消費税ですが、これに食料品だけ税率0となると、どこまでが食料品かとか飲食業者は消費税0で仕入れるわけだから、その0で仕入れた部分は別に拾い出して課税仕入れに入れないようにするなど現場での実務処理は更に複雑さを増します。

減税してやったからうれしいだろうということで、その後の現場での実務の混乱を考えている政治家は誰もいません。できることなら全部消費税率を5%に引き下げるなどして現場の実務も混乱しないようにしてほしいものです。

 平成元年に、初めて消費税が導入されて36年経過しました。導入時は3%だった消費税率は、その後、平成9年に5%、平成26年に8%と上がり、令和元年には10%の大台に乗りました。

36年前に消費税が初めて導入された時は、その経理処理方法も勉強しなければならないということで、地元の商工会議所さん初め各団体さんから消費税の講師として依頼され30カ所近くを回って講義していたことを懐かしく思い出します。

私はその時、将来、ヨーロッパの例をみてもわかるように税率が上がり続け、10%という時代が来るかもしれませんよと話しました。当時聴講されていた事業者の皆さんは誰も信じてくれませんでしたが、令和になってそれが現実になりました。

 最初の講義では、消費税は消費者が負担し、納税は事業者がするものですから、間接税ですと説明し、事業者は消費者から預かった消費税から自分が負担した消費税を差し引いて納税するものですと話してきました。

消費税の解説書にもすべてそのように書かれています。しかし、販売価格は事業者の力関係などで決まり、消費税もその価格に含まれますから、どう考えても消費税は預かり金などではなく、対価の一部といった方が正しいのではないでしょうか。

その証拠に、後日、財務省もそのことを認めました。従って消費税は事業者が納める税金なのです。中小企業の60%近くが赤字という中で消費税だけはどんなことをしても納めなければなりません。

消費税の中小企業に対する負担は想像以上に重く、事業を継続するのに支障が出ていることが現実です。輸出免税で何兆円も消費税を還付されている大企業は、内部留保をどんどん蓄えることができると思いますが、多くの中小企業は資金繰りに追われ内部留保を増やす余裕などできるはずもありません。

しかも社会保障の充実のために使うと言われながら、その税収は一般会計に入れられ何に使われているかも明白ではありません。昔、安倍首相が消費税の4/5は国債の償還に使ったと話し、財務省を困らせたことがあったのも事実です。

もし社会保障費に限定して使うのなら特別会計でしっかり管理しなければならないでしょう。私たちの仕事は減るかも知れませんが、私個人としては、消費税は廃止すべきと考えます。

皆さんはいかがでしょうか?

 

2019年4月23日 (火)

いよいよ消費税アップが本格化・・企業の対応は?

  今年の10月1日からの消費税アップが現実化してきた。税務当局や商工会議所、その他関係機関の対策セミナーが始まっている。当事務所でも先日、恒例のオーナーズセミナーで消費税の改正について話した。

 

今回の消費税改正は、軽減税率が導入されることで、経理処理が複雑になることがポイントだ。

 

まずは自社の売り上げに、この軽減税率になるものがあるかどうかを確認することから始めなければならない。軽減税率の対象になるのは、酒類及び外食を除く「飲食料品」、定期購読契約が締結された週2回以上発行される「新聞」だ。まずは飲食料品の商品を扱っているところが行動を急がなければならない。

 

手書きでは対応が難しいので、早い時期にレジの導入、受発注システムの改修・入れ替えのスケジュールを立てなければならない。いずれも補助金制度の対象になるので、上手に活用してもらいたい(軽減税率対策補助金事務局のホームページ参照)。

 

食品関係の卸売業、食品製造業は、請求書管理システムが区分記載請求等保存方式に対応しているかシステム会社に確認し、必要に応じて改修・入れ替えを進めなければならない。また売上がすべて標準税率の会社でも仕入れには必ず軽減税率のものが含まれるので、区分記載するなど対応をしっかり考えておかなければならない。

 

  経理処理の対策はもちろん必要だが、これも経営が順調に進んでこそのものだ。この消費税アップで自社の経営が窮地にたたされない準備こそが最重要課題だ。

 

いままでの経験では、消費税アップ後は、必ず消費の減少がつきものだった。今回も例外ではない。来年のオリンピック開催後は日本経済全体に不景気の足音が忍び寄ってくるのが聞こえる。不景気になってもしっかり資金が回り、利益が出せるような企業体質にしておく必要がある。

 

それには、過大な設備投資を控え、内部留保を減らさないようにしなければならない。

 

内部留保が悪いことのように話している方もいるが、そのような言葉に惑わされず、しっかりと内部留保を確保していこう。不景気になり、赤字になれば、金融機関も融資をしてくれないので、しっかりと自己資金を増やしておき、来るべき不況を乗り切るようにしよう。

 

 

2019年4月19日  著 者   税理士  千葉 和彦