相続税申告が増えている!
最近、相続の相談、申告依頼が増えてきています。
その理由として考えられるのは、日本国民の高齢化(現在約30%が65歳以上)が進んでいるのは勿論ですが、何と言っても10年前の平成27年度税制改正で相続税を計算する際の基礎控除額が一気に約40%も引き下げられたことに原因があると考えています。
事実、国税庁から発表された統計データによると、改正後、相続税の申告対象者が2倍に跳ね上がりました。
また令和5年の相続事績によると亡くなった方の約1割が相続税の申告対象とのことで、相続税は富裕層だけの問題ではなくなったと言えます。
相談を受けて頭を悩ますのが、相続税を収める現金が足りないときです。
先祖代々の土地を相続してきた場合に特にその傾向が見られます。土地の評価は年々上がっているので、当然それにかかる相続税は高くなります。
何とか対策をしてきたけれども、それに見合う現金をためておけないケースが多いのです。
延納、物納をする方法もありますが、物納は昔と違い、条件が厳しくなかなか受け取ってもらえません。
延納は利息も高いし、手続きも煩雑です。
土地を第三者へ売却する方法がありますが、先祖伝来の土地を手放してしまうことには抵抗のある人も多いようです。
そこで、私がお勧めしている方法は、相続した不動産を自分の法人へ売却する方法です。
自己または自己の相続人となる親族が法人を所有しているケースに限られますが、売却した不動産は会社所有になりますから、実質第三者へ手放さず一族でその不動産を所有し続けることができます。
また次世代の相続を考えた場合には、不動産を相続するのではなく、その会社の自社株式を相続する形になるので、早い時期に少しずつ株式を贈与するなど対策が立てやすくなります。
また不動産を売却すると当然のことながら相続人に譲渡所得税がかかりますが、相続申告期限から3年以内の譲渡であれば優遇措置もあり、通常より譲渡税が低く抑えられるというメリットもあります。
ただ、買い取る側の法人に十分な自己資金がない場合は、通常、その土地の購入資金をその土地を担保にして金融機関から借り入れることになります。
当然返済能力も必要ですから、従来の収入で借入金を返済できれば良いのですが、難しい場合はその土地から収益を生んでいることが条件になります。
そのような事情を踏まえながら早いうちに銀行と協議を重ね、申告期限には間違いなく融資を受けられる形にしておけば納税資金対策は万全です。
相続発生後、10カ月以内に遺産分割協議が済んでいない場合はこのような手法は使えません。
しかも未分割だと配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減なども使えませんから実際よりもかなり高い相続税を法定相続分に応じて各相続人が申告期限までに納付しなければなりません。
もちろん未分割での申告も各自がしなければなりません。もし申告しなければ延滞税や無申告加算税が課せられますので注意が必要です。
申告期限から3年以内に遺産分割が整えば再度遺産分割後の相続税の申告書を提出することになります。
その際、前述した特例が使えるケースが多いので、全体的に相続税が減るケースが多いようです。
いずれにしても相続申告期限までに相続人間で遺産分割協議が整うかどうかが最大のカギです。
揉めそうな場合は、遺言を書いておいてもらうと良いと思います。


