私のアルバイトの思い出
顧問先の社長さん方も若いころは様々なアルバイトをされた経験をお持ちかと思います。私も若いころから様々な業種のアルバイトをしてきました。不謹慎な話ですが、アルバイト中は何度も時計を眺め終了時間が来るのをひたすら待ちわびたものでした。それはどんな仕事でも同様でした。ただ塾の先生のアルバイトをした時だけは、時間も気にせず夢中になって取り組んでいたことを覚えています。それにはこんな理由がありました。私が世話になった塾の塾長はとても魅力的な方で、私のようなアルバイト学生にまで、塾を作った塾長の思いや、生徒に対する思いを切々といつも語ってくれる方でした。また塾は優秀な生徒よりも、いわゆる落ちこぼれと言われる生徒に力を入れており、塾長は時間外も家庭訪問までして親御さんに会いに行ったり、生徒を休みの日に自腹で、遠足や美術館に連れて行ったりしていました。日頃から思いを聞き、実際に努力する塾長の姿を目の当たりにしていた私は、少しでもそんな塾長の思いを達成できるようにお手伝いをしたいと心から思いました。アルバイトとは言え、一生懸命になれたのは、そういうことがあったからだと思います。
アルバイトと言うと、比較的単純作業が多いですから、指示する側も機械的に、指示してしまうのが一般的です。アルバイトをする側も時間で割り切ってその分だけ部品のように働くというのが当たり前かもしれません。しかし、業務内容は単純でもその仕事をしてくれる人が居なければ、会社は回りません。やはり、会社の基本姿勢と目指すべきところを話し、その実現のためにたとえ単純作業と言えども、我社にとっては、なくてはならない重要な業務の一役を担ってもらっているのだと言うことを説明してほしいと思います。そうすれば人材次第ではブックオフさんのようにパートさんから社長が生まれることもありえるのだと思います。
我社がどこに行こうとしているのか?我社の5年後、10年後はどのような会社になることを目指しているのだろうか?そのために今我々社員がすべきことは何なのか?心ある社員なら知りたがっているはずです。その思いに答えるためには、社長ははっきりと将来の姿を社員に示せるように日頃から考え、明確な経営計画書を作っておかなければなりません。経営計画書を作成することは、社長がしなければならない3大業務の一つです。使命と言ってもいいでしょう。計画を立てずに経営をすることは、羅針盤を持たずに航海する船と一緒です。我社の5年後、10年後はどのような事業の取り組み方をしているか。その時会社の規模はいくらぐらいにするか。その時の社員の待遇はどうするのか。それらのことを明確に社員に示せない限り、やる気のある社員も動きようがありません。
どんなにオールマイティな社長でも、一人でできることは限りがあります。社員の協力なくして目標は実現できません。会社をリードするのは社長ですが、実践は何と言っても組織力がものを言います。会社を大きくしてきた社長は、会社を大きくする秘訣は組織力でしかないと異口同音に話しています。人材不足と騒がれていますが、良い人材を確保し、また、良い人材になってもらえるように、社長の仕事をしましょう。