厳しい外部環境に企業はどう対応すべきか
いくら募集をかけても応募者がこない。政府は賃金を上げろ、上げろと言うけれど売り上げも利益も変わらないのにどこに財源を求めればよいのか・・税金も重く負担に感じていたが、更に社会保険料の会社負担分が重くのしかかり、その双方の負担だけで利益の半分以上が吹き飛び将来に備えるための内部留保もままならない等々・・中小企業を取り巻くわが国の外部環境は年々厳しくなっている。
この傾向は大分前から感じてはいたが、何とか頑張ってきた。しかし、もうこれ以上は踏ん張れない状況にまで追い詰められているというのが現在の実態ではないだろうか?
そのことを裏付けるデータとして我が国の少子高齢化の傾向は2004年12月をピークに急激に進んでおり、人口は、年間約50万人~70万人ずつ減り続け2030年には高齢化率(65歳以上)も30%を超す勢いだ。
またその国が生み出す付加価値の指標である一人当たりの日本のGDPは2023年の統計では、世界で34位、さらに2024年では39位に下降する予定だ。2024年の企業倒産もこの物価上昇と人手不足で11年ぶりに1万件を超した。
このようなわが国の経済環境の中で従来の経営戦略は役立たないとして、経営を登山に例え現在の外部環境の下では「下山経営」という名で経営に取り組むことを唱える大手経営コンサルタント会社がある。その内容はこうだ。
外部環境が良い時は、「登山経営」の手法が適しており、そのキーワードは①売上、利益最優先②急成長③大量販売、不特定客④大量採用、大量退職⑤オーナー一族の幸せとする。対して、外部環境の厳しい時は、「下山経営」に取り組むことが重要と唱える。その経営手法のキーワードは①幸せ度・ミッションを重視②会員化・特定客③少人数採用・退職0④安定成長⑤関係者すべての幸せとする。
すなわち、「下山経営」では一人一人の社員が生きがいを感じ、生き生きと働けて、退職しない職場作りをし、一人一人の業務の生産性を上げることを最重要課題としている。
私も「下山経営」の社員を大切にして退職しないような環境作りを目指した経営には大賛成だ。
ただこれを成功させるためには、一人一人の生産性を上げなければならないことは必須の課題である。
「机上で話すだけでなく具体的に指導してくれ」という方もおられ、それに答えるべく、4年前から実際に現場に入り現場改善ワークショップを実施してきた。
研修を受けていただいた企業からはいずれも大好評を頂いた。しかし、研修期間が約半年にも及び、費用も高額なことからなかなか気軽に取り組んでいただくというわけにはいかないのが実態だ。
そこでもっと手軽に取り組めて効果も出せるものはないかと検討していたところ私の所属する「一般社団法人日本中小企業経営支援専門家協会」(略してJPBM)で、「OTRS」というツールを用いて現場の動画を撮影することで、具体的に現場改善ができる仕組みが出来たので、早速導入することにした。
昨日「将軍の日」に参加いただいた企業さんに話すと早速実施してくれることになったので、まずは実践し、その結果をまたの機会に皆さんにお伝えできればと考えている。まずは一歩踏み出しましょう。
現場改善、経営改善に!経営者の皆さん応援しています。