経営計画

2024年2月 1日 (木)

常に自社の出口を考えておこう!

人はこの世に生を受けたときから死に向かっている。肉体は有限だからだ。会社は生身の肉体は持たないので、永遠の命かと思いきや会社も創業した時から倒産・廃業に向かっているのだ。会社を取り巻く環境は厳しく、事業者数は、創業20年で半分に減り、100年以上の老舗となると1%以下の生存率だ。この生存率を見ても経営者は常に出口も考えておく必要があると言える。以前にも話したが、会社の出口は5つしかない。それは、①上場②親族あるいは社員等への事業承継③M&A④自主的廃業による解散、清算⑤倒産・破産だ。①は全事業者の0.1%だけが成し得る特別なケース。私の知り合いでは今まで1人だけだ。今や東証1部で自己資本比率80%の超優良企業だ。会社設立時、私もお手伝いしたが、まさかこのようになるとは夢にも思わなかった。創業者が、時代のニーズを敏感に感じ、追い風に乗りながら進んだ結果だと思う。また⑤は当然避けなければならないケースだが、避けられない場合もあるのが経営だ。一度⑤のケースを選ばざるを得なくなったが、再起業し成功している人も私の知り合いにいるが、日本ではなかなか再起業は難しいというのが私の実感だ。それは破産することで多くの人に迷惑をかけ、信用を失ってしまうからだ。勿論、資金調達も難しくなる。2020年4月の改正民法で連帯保証人制度の見直しがあり、連帯保証人の負担が幾分緩和されたが、法人破産をすると個人破産も同時に行わざるを得ないケースがいまだに多い。そうなると個人の信用情報が信用情報機関に5年~10年登録されてしまい、再起しようにも金融機関からの借り入れができないのだ。また已むを得ず「破産」をせざるを得なくなった場合にも、先立つものはお金だ。お金が用意できないと破産手続きにも進めない。しかしだからと言って「夜逃げ」だけは決してしてはいけない。夜逃げをしてしまうと再起の道が完全に閉ざされるからだ。まずは専門家の弁護士に相談することが重要だ。しかしながら、多額の連帯保証を抱えてしまった経営者の方でも「自己破産」せず、金融機関の理解を得ながら規模を縮小して何とか頑張られている方もいる。お客様がいて何とか売り上げがある程度確保できる場合には、安易に自己破産せず上手に経営を続けていければ、信用も失わず、自宅も失わず暮らしていける。高齢の経営者が自己破産して、再就職は現実問題として難しい。年金は差し押さえもされないので、慣れた仕事で自分のマインドを保ちながら仕事を続けるのが一番と私は考える。安易な「自己破産」はできるだけ避けたいものだ。

さて、廃業や倒産・破産があり得ることだと心得てほしく、説明が長くなってしまったが、上手に事業承継している企業も多い。その多くは常に自社の数値を把握し、分析、反省、改善を欠かさない。そのために、経営計画や承継計画も立て、常に5年先、10年先のわが社の姿を検証しながら進んでいる。最悪の出口を避けるためにも日頃から自社の数値を把握し、経営計画をしっかり立てて進んでほしい。そうすれば必ず最悪の出口は避けることができると確信している。そのための後方支援のお手伝いは、是非我々にお任せください。

 

2020年8月 3日 (月)

しっかりと「決算書」が読める社長になろう!

   当社では今年2月まで毎月事務所主催でセミナーを開催してきたが、今年は新型コロナウイルスの関係で年内のセミナーをすべて中止した。セミナーのテーマは経営に関するものが中心になるが、決算書の読み方については毎年必ずテーマに取り入れている。

   以前、年商が50億円もある社長が当社のセミナーに参加して「正直、決算書の見方が良くわからないのですよ。今更、基礎的なことを顧問税理士にも聞けないので、今日参加させていただきましたよ。」と話してくれた。私は驚いた反面、案外そのような社長が多いのではと考え、お会いする社長ごとに尋ねてみることにした。するとやはり「実は決算書の見方が今一わからない。」という答えが多かったのだ。

   そういえば京セラの稲盛会長も創業当時は決算書が読めなくて、必死で勉強したと話していた。見渡してみると経理畑出身の社長はほとんどいない。稲盛会長も技術畑出身だった。社長が営業畑か技術畑出身という方が多いようだ。決算書の読み方が苦手なのは、こんなところに原因があるのかもしれない。

  しかし、社長となった以上「決算書が読めない。」では済まされない。1996年負債総額220億円で倒産した熊本の元㈱佐藤工務店の社長は「わが社に一人でも貸借対照表が読める社員がいればこんなことにならなった。」と話していた。この話を顧問先の社長に話すと、その社長は「そもそも社員のせいにしていること自体甘いですよ。社長が貸借対照表を自らしっかり読めるように勉強しておけば良かったのではないですか。」と返してくれ、とても頼もしく思ったことがある。その社長は、三代目の社長だが、とても勉強熱心で、決算書も常に自分なりにしっかり分析されて、経営計画も立てている。このコロナ禍にも負けず業績も良い。

 決算書の中心は、貸借対照表と損益計算書だ。まずはこの二つの資料がしっかりと読めないとならない。多くの社長は損益計算書の売上と利益だけはしっかりと見るようだが、貸借対照表は毛嫌いして見ようともしない人が多い。しかし、貸借対照表には資産負債の状況が今どうなっているのか、これからどう手を打っていかなくてはならないかを知るための重要な経営指標がいっぱい詰まっている。

   しまってある決算書や試算表を引っ張りだし、貸借対照表の現金預金をしっかりと見てほしいと思う。そして月商の2か月分以上あるか、年間固定費の半分以上あるか、流動負債の半分以上あるか、借入金の半分以上あるかをチェックしてほしいと思う。何故なら、いざという時に頼りになるのはキャッシュだからだ。次に総資産から総負債を除いた純資産を見てほしい。この純資産が総資産に占める割合を自己資本比率というが、この比率が最低でも30%以上あるか確認してほしい。

   前述した㈱佐藤工務店はこの部分が弱かった。利益が出ても節税という名目で必要でないものまで購入していたため、内部留保は積み上らなかったのだ。この場合の自己資本比率だが、簿外資産の保険の解約金や土地の含み益のようなものは、加えて計算することが重要だ。逆に言うと、含み損がある場合は、これを控除して計算することになる。まずは、この2点をしっかり見ていただければ貸借対照表の読み方のコツはつかんだことになるので、まずは取り組んでもらいたいと思う。わからない時は気軽にお声がけください。いつも応援しています。

2020年5月26日 (火)

電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である。

   今回の新型コロナウイルス騒動はなかなか落ち着きそうもない。直接大打撃を受けている観光関連の産業や飲食店などは、かつてない業績の落ち込みで今後に不安を増大させている。この業績の落ち込みは、遅かれ早かれほとんどの業種に及んでくるだろう。何故なら、すべての業種は、何らかの形でつながっているからだ。どの業界にとっても対岸の火事ではない。コロナ禍は、過去に類を見ない経済への打撃を与えているのだ。

 そのような中、同じ飲食業でも「もうだめだ。」とあきらめている社長もいればユニークな手作り弁当販売に切り替えて売り上げをあげている社長もいる。またコロナが収まった時のことを考えて、飲食券やボトルを割引前売り販売して売り上げを確保している社長もいる。

   30年余り税理士をしてきた私の経験則だが、逆境に強い社長は、本能的にとも言えるくらい前に進もうとする。しかし、それはやみくもにではなく、環境の変化にどう対応したらよいか、どうすれば必要とされる企業でいられるかを必死に考えるのだ。このような時こそあらゆる知恵を総動員して、実行に移していくことが大事なのは言うまでもない。

   その時に先頭に立つのは当然トップの社長だ。社長が弱気になったり、あきらめているところは、業績も低下するだけで、そのような会社に縁あって勤めた社員も、悲劇としか言いようがない。逆境の時こそトップの社長の心意気が問われる。辛いかもしれないが、それが社長の宿命だ。

   かつての名経営コンサルタントの一倉定先生は、その著書で「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である。」と言い放ち、「社長が知らないうちに起こったことでもすべて社長の責任なのだ。何がどうなっていようと、結果に対する責任はすべて社長が取らなければならないのだ。人の上に立つものは、部下が何をしようとそれはすべて自分の責任である。という態度がなければ、本当の意味で人を使うことはできないのである。部下の信頼を得ることができないからである。」と話している。中小企業の業績は、99%社長で決まると言われているが、今回ほど社長のリーダーシップが問われるときはないのではないかと考える。

   では、何をまずすべきかと問われれば、それは、何と言っても資金確保が最優先である。それもできるだけ低利で長期間の据え置きを前提に借りることが大事だ。まずは一番取引のある金融機関に相談して見ることが先決だ。中には借りたものは返さなくてはならないからと話す方もいるが、まずは借りて手元に置き、使わなかったら後日返せばよいだけである。その間の利息は保険料と思えば安いものだ。まずは、いろいろな制度を活用して、資金確保しておき、この時期を生き延びることが、社長、従業員いずれにおいても最大課題であるからだ。

 辛いことだが、どのような時でも社長は、業績の結果を外部環境や従業員のせいにしてはならない。すべては社長の責任であるということを肝に銘じて、覚悟を決めて、笑顔で取れる対策を着実に実行していかなければならない。同じ社長として応援しています。

 

2020年3月10日 (火)

地域企業の生産性はまだまだ上がる

  巷ではコロナウイルス騒ぎで人が集まる行事が次々に中止になっている。当社でも政府の方針に倣って、3月のセミナーを中止することにした。2月のセミナーはまだこの騒ぎが始まる寸前だったので、予定通り約50名の参加者で実施することが出来た。

 2月のセミナーのテーマは「地域企業の生産性はまだまだ上がる」で、私の古くからの友人である丹治克之氏に講師をお願いした。丹治克之氏はキャノン株式会社に36年間勤務、その間数々の生産革新のプロジェクトを成功させた。その成功体験に基づいた講話は参加者の共感を呼んだようだ。セミナー終了後のアンケートには、ほぼ全員の方が参加して良かったというコメントを残してくれた。

   私は「組織能力」の考え方と「WATCH&THINK」→現場をジーッと見て、むだを見つけ、排除する方法を考えるという手法に感動した。セミナーの中で紹介された東大ものづくり経営研究センターの藤本隆宏教授によれば、組織能力は「個々の企業に特有の属性であり、組織の中で広く継承される組織遺伝子であり、ルーチンの束である。組織の能力は競合他社が真似することが難しく、個々の企業の競争力や収益に影響を与え、長期的に企業間の格差を生み出す。」ということだ。わかりやすく言うなら、例えばトヨタはノウハウをすべて公開しているが、それをそのまま活用できる企業はないのはなぜか・・そこに組織能力の本質があるのだ。丹治氏は当社のセミナーのこともその事例として話してくれた。当社では平成7年から毎月セミナーを実施してきており、今回のセミナーが257回目だった。私も他の会計事務所さんからやり方を聞かれ、何度も教えたことがあるが、どの会計事務所さんも継続しているところはない。その力が「組織能力」というものだそうだ。端的に言えば「組織能力=方針を実行する現場のルーチン力」ということなので、時間はかかるがこの組織能力の構築を自社の経営戦略としてしっかり認識していきたいと思う。

   丹治氏は地域企業の現場改善の具体的手法としてワークショップ形式で取り組むことを勧めてくれた。ワークショップ形式とは自社に関わる各部署、関係機関が垣根を超え課題抽出、解決策検討、実践を重ねていく方法だ。また氏はワークショップ形式を取り入れる中で「WATCH&THINK」をメンバー全員で取り組むことが大事とも言っていた。ワークショップ形式での現場改善では「YWTMシート」を作成して課題を共有する。Y:今日やったことは何ですか?W:(やってみて)わかったことは何ですか?
T:(それを踏まえて)次にやることは何ですか?M:それをやるメリットは何ですか?
PDCAとは聞いたことがあるかと思うが、P(計画)がネックになって進まないことがあるので、取り組み易い「YWTMシート」を活用するのだ。これらの認識を全員で共有しながら次に進むということだ。その結果現場改善が進み生産性が上がれば、それはその会社の利益に直結していくことになる。今後ますます予想される人手不足時代に備える意味でもまずは現場改善に取り組むことをお勧めしたい。自社独自で難しい時はいつでも支援させていただきます。気軽にお声がけください。

2019年11月 5日 (火)

「将軍の日」・・一倉定語録・・その一

   今年も気が付けば残すところ2か月余り。時の経つのは早いと改めて感じる。当社の社長を対象とした中期経営計画教室である「将軍の日」も今年度の最終回を今月、無事に終えることが出来た。「将軍の日」では、午前中は私が講師を務めるが、いつも取り上げさせてもらうのが、一倉定先生の話だ。氏は、すでに20年前に鬼籍に入ったが、その功績は大きく、生前、氏の指導を受けた会社は5000社を超えると言われている。氏の基本方針は「ダメな会社はTOPがすべて悪い、人のせいにするな、部下のせいにするな、環境のせいにするな」である。空理空論で経営する社長や、利益だけを追求する社長に対しては、烈火のごとく怒り叱り飛ばし、多くの倒産寸前の企業を立て直した。氏は語る。「良い事業や悪い事業はない。あるのは良い社長と悪い社長だけだ。事業の結果は、社長の経営姿勢の現われだ。」氏は、企業が生き残る道は「変転する市場と顧客の要求を見きわめて、これに合わせて我社をつくりかえること」しかないと言っている。そしてそのために必要なものが、経営計画書だと言っている。以下、氏の語録を抜き書きで一部紹介する。

経営計画は、社員を変える前に社長自身を変える。というのは、経営計画によって社長は初めてわが社を知るからである。経営計画以外に、    会社全体を知る手段はない。というのが、私の経験を通しての実感である。経営計画によって、社長は自ら何をしなければならないかを知  り、同時に増収増益の道を知るのである。迷いは吹っ切れ、自信を持って事業を経営することができるようになるのである。

社長が、自らの未来像を明示せずに、社員はどうして自らの未来を考えることができるのか。社員の最大の不安がここにあるのだ。この不 安を取り除いてやることは社長の責任である。これは経営計画書を作ることによって自然に実現するのである。

リーダーシップの第一要件は「自らの意図を明らかにする」ことであるのは論をまたない。これを発揮するための最大のツールこそ経営計画   書なのである。社長の決意、目標、方針、行動要項などが明確に示されている。これに社員は動機づけられるのである。

わが社の未来を決めてしまう経営計画書に、時間を節約するというほど、間違った時間の使用法はないのである。

 以上氏の語録のほんの一部を紹介したが、まだ時間が取れないなどの理由で、経営計画書を作成していない社長は当社の「将軍の日」に申し込んでいただきたいと思う。事前に当社で準備して、当日は、終日アシスタントが付くので、気軽に参加してもらい、その日一日で五か年計画書をお持ち帰りいただいている。一人でも多くの方の参加を引き続きお待ちします。

2019年10月28日 著 者  税理士   千葉 和彦

2019年9月 3日 (火)

俺は税金を払う気はない!

    私は時折、T社長に初めてお会いした時のことをまるで昨日のように思い出す。あれは、顧問契約のためにT社長の会社を訪問した時のことで、もう20年以上も経つ。名刺交換が済むと社長は開口一番、私に「俺は税金を払ったことはないし、これからも税金を払う気はない。とにかく税金を払わないようにだけしっかり指導してくれ。」と言い放った。これはとんでもないところを紹介されてしまったと、一瞬で後悔したが、ここで怯んではいけないと思い、私は当時書物等で聞きかじった経営の知識を社長に話した。すると「君はほんとに机上の理論だけを勉強してきたようだ。俺は、生きるか死ぬか必死の思いで今日まできた。教科書にない知恵をだせと言っているのだよ。」と返され、その迫力に役者が違い過ぎると正直思った。そんなT社の年商は、当時4億円くらいだった。毎月、月末になると社長は必死の形相で資金繰りに走り回り、月末は誰も近づけないオーラを放っていた。私はそんな社長に、若さもあってか「社長、思い切り利益を出し、堂々と税金を払いましょうよ。会社は、そうすることでしか強くなれないのですよ。御社の10%にも満たない自己資本比率では、いつになっても社長は資金繰りに追われ続けますよ。」と嫌われるのを覚悟で言い続けた。
   現在では年商20億円以上、自己資本比率60%と優良企業に生まれ変わった。何年か前に決算を迎えるにあたって、私は社長に「社長、凄い利益です。少し節税しませんか?」と言った。すると社長から意外な言葉が返ってきた。「利益を出して、税金を納めなければ強い会社になれないと私に教えてくれたのは先生ではないですか?おかげさまで月末の資金繰りに追われることもなく先生の言ってくれたことを肌で感じています。今回の納税資金もきちんと資金繰りに入れていますので、余計な節税はしなくていいですよ」と力強く返答された。その時、私は深い感動を覚えた。社長さん方、T社のように、しっかり利益をだし、税金を払って、自己資本比率を上げ、強い会社を作っていきましょう。それこそが、まさしく優良企業への近道ですから。応援しています。

2019年8月29日  著 者  税理士  千葉 和彦

2019年2月 5日 (火)

会社設立から15年で上場!

  昨年から一般社団法人日本中小企業経営支援専門家協会(略してJPBM以後この名称を使用する。)という長い名称の団体の理事に就任した。

 

このJPBMの前身は、1986年に事業承継問題に関心を持つ税理士が集結して設立された「日本事業承継コンサルタント協会」である。当時私は開業したばかりだったが、すぐに会員になった。同じ時期に入会した先生が2人いるが、今でも懇意にさせていただいている。

 

その後2009年に会員を税理士に限らず9士業が参加する形でJPBMが誕生した。従って私の入会歴は30年以上に及ぶことになる。

 

今でもよく思い出されることがある。

 

当時の入会の条件は、相続のシミュレーションのソフトとハードを購入しなければならなかった。当時コンピューターは高価なもので、相続のシミュレーションソフトもかなり画期的なものだったが、その価格がなんと1000万円を超えるもので、開業間もない私は、資金繰りに四苦八苦した思い出がある。

 

今思えばその仕組みを仕掛けたのは、のちに登場する分林会長だったと思う。



  事業承継コンサルタント協会は、主として中小企業の相続問題をどう解決するかが主要なテーマだったが、「後継者がいない」という問題が日本全国から浮上してきた。そこで、当時協会の常務理事をしていた分林氏(現在、会長)が、1991年に、日本M&Aセンターを立ち上げた。

 

その15年後の2006年10月には東証マザーズに上場、そして07年12月には東証1部にスピード上場を果たし現在に至っている。私の事務所のセミナー講師に分林会長をお呼びしたのは、丁度上場の前年だったと記憶している。現在では、時価総額4000億円を超える優良企業に成長している。そして今後ますます成長していくだろう。



  後継者難という外部環境の追い風は、当然だが、それだけで上場は難しい。良い人材を獲得し、その人材に力を発揮してもらえるようにする。会長が若い社員に話していることがある。それは一度でも肉体的・精神的な限界まで仕事に挑戦してみる、ということだ。そういう経験を積んでいると後々、強さとなって生きてくる。

 

それを経験したことがある人とない人では、とても大きな差ができると考えているのだ。まさに量は質へ転化するである。最初から質を求めても意外と失敗するものだ。


  分林会長は経営に絶対必要な4ヵ条があると考えている。

 

①収益性(これがなくては、企業そのものが存続できない。顧客、社員、関係者に報いることができない。)

②安定性(貸借対照表を充実させておく必要がある。M&Aセンターの自己資本比率75%である。)

③成長性(将来に向かって成長していかなくては、企業は存続する意味がないと会長は考えている)

④社会性(迷ったとき「社会に対して正しいことをしているか?」会長はドラッガーが言ったこの言葉を、会社経営者だけではなく、社員一人一人も規範とすべきと考えている。)

 

この4つが揃った企業が良い経営を行っている企業で、揃っていない企業はいずれ存続できなくなる可能性が高いと言っている。我々も経営に携わるうえで、上記のことを胸に刻み、進んでいきましょう。そうすれば、たとえ上場はできなくても、それ以上に地域から喜んでいただきながら存続できる会社になれると信じています。一緒に頑張りましょう。

 

 

 

2019年1月31日 著 者   税理士  千葉 和彦

2017年8月30日 (水)

そろそろ本気で事業承継を考えないと!

  8月のオーナーズセミナーでは、良くあるケースとして下記の事例を取り上げました。

【事例】

『私の父は、製造業を営むA社のオーナー経営者です。いわゆるワンマン経営者であり、年齢は70歳になりますが、常に生涯現役を言葉にしており、事業承継のことは一切口にしません。私は、息子で専務という肩書きはあるものの、経営に関する権限は一切なく、従業員の一部は、会社の将来を心配しているという声も耳にします。

 また、同業他社の二代目同士でよく会社の株価や相続税の話題があがりますが、実際A社株の株価が今いくらで、ましてや父の相続税がいくらになるか分からない状況です。さらに父個人の土地建物がA社の本社としての事業用財産になっています。

 したがって、他の二人の兄弟との遺産分けのバランスについても悩みどころです。しかし、当然、父にもそのような話を一切口にすることはできません。』

 上記のようなケース、多いのではないでしょうか?まず私が最初に思うのは、A社の社長は、一番大事な社長業をしていないということです。

何故なら、社長というのは何はともあれ自社の将来について常に考えている人のことを言うからです。この社長は自社の5年後~10年後についてじっくり考えているように思えません。

自分の年齢と自社の将来を考えた場合、必ず後継者問題が浮かんでくるはずです。社長業で大事な仕事は、経営計画を立てることです。そうすれば、必ずその延長線上に後継者問題があるはずです。

まず、A社長は後継者を決めることが大事です。そして、自社の株価評価は勿論ですが、個人的な財産も棚卸して自身の相続税のシミュレーションをするべきです。自社株の評価が高ければ、その対策を早急に検討しなければなりません。

いくら対策を早急にしても評価が下がらない場合には、平成25年度の改正で、以前より使い勝手が良くなっている「事業承継税制」の活用を考えましょう。

また後継者は決まっているが、まだ自分が現役中は、経営権を持っていたい場合や後継者候補が複数いて後継者を決めきれない場合は、一般社団法人に持たせておくといいと思います。あるいは信託を活用する方法もあります。信託を活用しますと、株式そのものは移動させても、経営権だけ自分に残しておくことが可能です。

「自分の目の黒いうちは、経営権を持ち続け、目を光らせておきたい。」時に、威力を発揮します。また上記の事例のA社長のように、相続財産が事業用財産と自社株しかないような場合は、事業を引き継がない他の相続人に対する遺留分対策も重要です。

自社株式と事業用財産はすべて後継者が相続できるように遺言してあげ、事業を引き継がない他の相続人に対しては、後継者受取人の保険に加入したり、あるいは相続した自社株式を自社で買い取れるようにしておき、後継者が代償金として現金を支払うことができるような仕組みを作ってあげておくことが重要です。

いずれにしても、A社長は、原理原則に戻り、本来の社長業である将来像をしっかり描いていきましょう。応援しています。

2017年8月29日    著 者  税理士  千葉 和彦

2017年8月 1日 (火)

信託の活用について

   前回は「信託」を理解するコツについて書かせていただきました。今回は、その「活用」ついて説明していきます。

信託とは、一言で言えば、「信じて託す」ことでした。ここでは、登場人物が3名登場します。すなわち委託者(託す人)・受託者(託される人)・受益者(実質上の所有者に見なされる人)の3名です。信託は委託者と受託者の間で「信託契約」を結ぶと同時に効果が生じます。

  以下信託が何故有効な対策になるのか見ていきたいと思います。

1 認知症対策として有効

   65歳以上の約5人に一人が認知症になり、2025年には認知症患者数は約700万人前後に達するとのことです。

認知症になると、遺言や不動産取引、相続税対策などが一切できなくなります。もちろん銀行口座も凍結され、親を施設にいれる資金も親の口座から引き出せません。

やむなく成年後見人を立てざるを得ませんが、成年後見人は本人の財産の保護が目的なので、施設の費用を引き出すことはできますが、子や孫に金銭を贈与したり、相続対策のためアパートを建てるなどの行為は、本人の財産を減らすことになるからまず認められません。

しかし「信託」を活用するとそれらの欠点をカバーすることが可能です。

2 事業承継対策に有効

  自社株式を長男に贈与した後、長男が死亡した場合、自社株式は事業に関わっていない長男の嫁に相続されるのが通常ですが、例えば、一緒に仕事をしている次男などに引き継がせることができます。

信託の仕組みを導入することで、民法の法定相続の概念にとらわれない柔軟な承継先の指定が何世代にわたっても可能になります。

3 不動産の共有化対策として有効

  遺産の大半が一つの不動産の場合、その不動産を共同相続してしまうことは大きなリスクを伴います。

つまり、共有不動産は、共有者全員が同意・協力しないと換価処分等ができませんので、共有者間で確執があると、不動産の有効活用ができなくなる可能性があります。

そこで、その不動産を信託し、受益権を共有化します。すると、共有者としての権利・財産価値は維持しつつ、管理処分権限を受託者に集約することができ、その結果、不動産の「塩漬け」を防ぐことができます。

4 遺産受取方法の多様化として有効

  一括で受け取るのではなく、毎月の生活費として「定額給付」にすることができます。

5 相続発生時でもスムーズな財産管理法として有効

  相続発生時から遺言執行が完了するまでの、資産凍結の期間を排除できます。

6 財産隔離機能を利用したリスクヘッジとして有効

  詐害行為にならない範囲においては、委託者の債権者からの差押えを回避したり、自己破産・民事再生による清算対象の財産から除外が可能になります。

「信託」そのものは直接「節税対策」にならないかも知れませんが、相続対策として重要な「遺産争いの防止対策」として大きな成果を生み出すことができます。

是非皆様も活用を検討されてみてはいかがでしょうか。応援しています。

2017年7月28日 著 者 税理士  千葉 和彦

2017年7月 6日 (木)

「信託」を理解するコツは?

   今回は、前回の約束に従い、「信託」について話を進めていきます。

巷では「信託」という言葉が大分聞かれるようになりましたが、まだまだ一般的ではないようです。それは「信託」が何となくわかりにくく感じられるからです。

信託を一言で言えば・・・「信じて託す」・・ことにつきます。そう考えれば簡単なことですが、登場人物が二人ではなく三人なので、話をややこしくしているようです。

さて、その登場人物は、委託者、受託者、受益者の三人ですが、この三者の関係をしっかり理解することが信託を理解するコツです。

まず例えば委託者が自分の財産の管理を受託者にまかせます。財産は受託者の名義に変わります(ここが最初の理解の難関です。)名義は変わりますが、それは受託者がその財産を管理、処分しやすいように名義が変わるだけで、真の所有者ではありません。

それでは真の所有者は委託者のままかというと、決してそうではなく、受益者が真の所有者になります。(ここが一番わかりにくいところですね。)

例えば委託者である父が自分のアパートを同族の法人を受託者として信託し、受益者を長男にしたとします。

アパートの名義は受託者になった同族法人になりますが、真の所有者は受益者の長男です。当然信託後のアパートの家賃は長男のものになるので、長男は毎年の家賃を自分の不動産所得して確定申告します。

しかし、これで「めでたし、めでたし」ということにはなりません。真の所有者が長男であるならば、信託した時点で委託者である父からアパートが贈与されたことになるので、のんびりと不動産所得の申告を済ませ、やれやれとしているところに、多額の贈与税が押し寄せてきます。

このように、真の所有者=受益者を誰にするかで、時には思わぬ税金が発生することがあります。

そうならないようにするには、委託者である父をそのまま受益者にしておきます。そうすると、委託者と受益者は同じ人物ですから、贈与税の問題もなくなり、不動産所得の申告も今まで通りです。

では、信託する前と何も変わらないではないか?という疑問が生じます。確かに税務上は特に大きく変わることはありませんが、(他の不動産所得と損益の通算ができないくらいです。)大きく変わる点があります。

それは、委託者である父親が認知症になったり、脳梗塞で倒れたりした場合です。認知症や脳梗塞で病状に伏し、意思表示ができなくなった瞬間から父親の財産は凍結され、銀行預金の解約も不動産や株式の贈与や売買などが一切できなくなります。これは大きなリスクです。何故なら父親の入院費用や手術費用さえも父親の口座からは引き出せなくなるからです。

このようなリスクに対処できるのが「信託」です。この「信託」をしていると受託者の判断で預金の引き出しだけでなく、必要であればアパートの修繕、売却などもでき、急な事態に慌てることもありません。

しかも信託契約は万が一の場合の次の受益者も指定しておくことができるため、遺言の代用を兼ねることもできます。遺言は敷居が高くてなかなか書けなかった人でも信託契約だと意外と抵抗が少なく簡単にできたりするケースも多いようです。

このように活用の仕方では大きな成果を生むことのできるのが「信託」だということを是非皆さんにも理解していただけましたら幸いです。

2017年6月30日(金) 著 者  千葉 和彦