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2024年9月 1日 (日)

貸借対照表の重要性

「我社に一人でも貸借対照表が読める社員がいたらこんなことにはならなかった。」とは、1996年に、負債総額220億円で倒産した株式会社佐藤工務店の佐藤社長の話です。倒産する5年前には年商350億円、経常利益率10.8%、社員数4500人という会社でした。

20年前にもエッセイで書かせていただいたので、ご記憶のある方もいらっしゃるかもしれませんね。

当時法人会で主催したセミナーで、私は、上記の言葉をセミナー講師の佐藤社長ご本人から直接聞き、驚いたことを今でも忘れません。

それからことあるごとに、佐藤社長のようにならないように、当社のスタッフや顧問先さんに貸借対照表の重要性を話してきました。

何年かしてこの話題をいつものように、当社の顧問先の若手社長に話したところ、その社長からは「そんな甘いことを言っているからその社長は会社つぶしたのですよ。

大体社長だったら自分で勉強して貸借対照表を読めるようにしておかなければダメでしょ!それをそんな事態になっても社員のせいにしているなんて話にもなりませんね。」と、強い口調で返されました。

私は貸借対照表の重要性を伝えようとしてその話題を出しただけなのですが、どうやらその若手社長の経営者魂を刺激してしまったようでした。

そしてこの社長は3代目だけどしっかり会社を守っていく社長だなと安心しました。余談ですが、私の予想通り、会社は増収増益を続け順調に成長し続けています。

しかし、経営は生き物です。外部環境の変化で何が起こるか誰にも予想できません。

だからこそ自己資本を充実させておくことが重要なのです。

そのため私は口を酸っぱくして開業当初から自己資本比率は、最低40%以上を目指してほしいと言い続けてきました。

前述の佐藤社長も「もし我社に貸借対照表が読める社員が一人でもいたら、5年後には自己資本比率を40%にするというような目標を立てていただろう。

そうすれば、高級車やヨットなど無駄な買い物もしなかっただろう。

節税と言う名の無駄遣いをしたことが財務体質を弱めた。」と話されていました。

佐藤工務店は、利益がでても節税という名目で必要ないものまで購入していたため、内部留保が積み上がらなかったのです。

「一番の節税は税金を払うことだ。」とある方が話していましたが、法人税の実効税率が約30%の現在では確かに無駄な節税対策をして現金を流出させるより、税金を払って残りを内部留保させた方が自己資本比率の向上になり、会社の財務基盤をより強固なものにすることができます。

しかし、そのように利益が出た時こそ、未来の利益を確保するための設備投資や人材投資に先行投資することを忘れてはなりません。

現在の内部留保は当然大事ですが、将来も更に内部留保を高める種まきを今のうちからしていきましょう。

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