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2023年12月 1日 (金)

専業主婦のへそくりが・・・課税対象に!

相続税の調査でよく問題にされるのが家族名義の預金です。特に外で働いたことのない専業主婦名義で預金があると、その源泉を根掘り葉掘り聞かれます。やりくり上手な奥様が何年にもわたり、へそくりで貯めたお金も「名義預金」としてご主人の相続財産にされてしまうケースも多いのです。過去に税務調査立ち合いで、「奥様が40年前に嫁いで来られたときの持参金が膨らみました。」と主張して調査官に苦笑いされたこともあります。夫婦間での生活費、子供の教育費などは、夫が負担しても扶養義務の観点からもちろん非課税です。問題は使い切らないで残った場合です。それはいくら奥様名義の預金になっていても、夫の財産として亡くなった時に相続財産に加算されます。将来嫌な思いをしないためにも年末に残ったお金を贈与してもらう簡単な贈与契約書を作っておくといいですね。そして、その金額が110万円を超えた場合には税務申告しておくと対策になります。残念な話ですが、過去には奥様名義の多額な定期預金をすべてご主人の相続財産と申告せざるを得なかったこともあります。その奥様のご主人は開業医で、ご本人も看護師として長年忙しくご主人を支えてきたのですが、奥様名義の預金はすべて認められませんでした。働いていたのに何故でしょうか?それは、医師のご主人が個人事業者として白色申告をしてきたからです。白色申告では奥様は給与を貰えないから、何年働いても自分名義の預金は持てません。ご主人が青色申告をして奥様に専従者給与をきちんと支給していれば、このような問題にならなかったでしょう。

 話は変わりますが、夫婦間の銀行口座の預金を移し替えたことに対しみなし贈与とされそうになった事例がありました。ご主人の死亡2年前くらい前に、夫名義の口座から預金を引き出し、上場株等を購入していました。相続財産に加えないで申告していたため後日その分は亡き夫の相続財産として修正申告をしましたが、問題はそれで終わらず、課税庁は3年以内の贈与も主張してきたのです。奥様は、その課税庁の決定処分等に不服があるとして審査請求を行い、結局、贈与とは認められず、国側が負けたのです。(もちろん名義預金とされ相続税は課税されました。)審判所は夫婦間における財産の帰属については①当該財産またはその購入原資の出損者、②当該財産の管理及び運用の状況、③当該財産の費消状況等④当該財産の名義を有することになった経緯等を総合考慮して判断するのが相当であるとし、単に金員を妻名義の口座に入金された一事をもって、妻に帰属すると断じることはできないとしたのです。それにしても、相続税の修正で済ませれば済むものを課税庁は、わざわざ贈与としたのか・・はなはだ疑問が残ります。とにかく後日誤解されるような安易な行為は慎むということを念頭に入れていただければと思います。

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