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2023年8月 1日 (火)

「今年が最後のチャンス・・生前贈与」

「今年が最後のチャンス」と題して各経済誌や週刊誌が特集を組んでいます。何のことかと言うと、相続税と贈与税の税制改正のことです。相続開始前の3年以内の贈与については相続財産に加算するという現行のルールは、1958年の税制改正で定められたものですが、実に65年ぶりにこのルールが改正されます。適用は202411日以降の贈与分からなので、巷では今年中に駆け込み贈与をした方が良いと言っているのです。しかし、親族間の資産移転は、節税だけに目が行くと、親子間が不和になったり、親の資金が足りなくなったりと思わぬ落とし穴があります。自身の財産を把握し、また今回の改正を理解して、慎重に進めてほしいと思います。

 23年度相続・贈与に関する税制改正のポイントは下記の4点です。

① 相続財産に加算する生前贈与を今年までの相続では3年前の分まで加算すれば良かったのですが、来年度からの贈与については、亡くなる「7年」前以内の贈与が相続財産に加算されるようになります。ただ相続4年~7年前の贈与につきましては計100万円の控除も設けられました。

② 前回のエッセイでも取り上げましたが、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が新設されました。

③ 孫・子供の配偶者への生前贈与は、従来通り加算されません。これは今後の相続税対策でも従来通り使えることになります。

④ 教育資金贈与は263月まで、結婚・子育て資金贈与は253月まで使えます。

 生前贈与は確かに相続税の節税対策には効果が大きいですが、自分は節約をしながら、ほしいものも我慢し、質素に暮らしながらお子さんや孫さんに贈与されている方を見ると何か違うなと感じます。親子だから、一族だから当然という思いもあるのでしょうが、もらった方も、もらった時はうれしいと思いますが、すぐに忘れるのが常ということです。多額の贈与を受けてきた人から感謝の言葉をあまり聞いたことがありません。東南アジアのタイ国などでは、「もらってあげる」ということで、その上げる人に徳を積ませているのだという考え方なようです。これから贈与する方は、タイ国のように、徳を積ませてもらっている、もらって頂いて、ありがとうという感覚でないとならないかもしれませんね。それが嫌な方はむやみに贈与などすべきではないでしょう。まずは自分の楽しみに、そして老後のために残しておいてください。老後いくらお金がかかるかわかりませんからね。

私が最優先で贈与を考えなければならないと思うのは、「自社株」です。事業を引き継いでくれる後継者には、一日も早く自社株を贈与していくべきでしょう。自社株だけは後継者になかなか譲らず、現金は子供や孫にどんどん贈与していっては本末転倒と言うものです。そう言うと、「俺だって早く贈与したいよ。しかし贈与したくても自社株の評価が高すぎて踏み切れない。」と頭を悩ます方も多いようです。あまり株価評価が高すぎる場合は、まずは「納税猶予」の届け出をしておくべきでしょう。この届け出こそ1年延長されたものの来年3月で締め切りですからね。会社には後継者だけでなく、社員、取引先など多くの方の生活がかかっていますので、まずはこちらを急ぐべきだと思います。

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