当行は、・・原則として経営者保証はいただきません!
上記の文言が、某銀行をはじめ、その他何行かのホームページに堂々と書かれ始めました。今回はこの経営者保証について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
経営者保証は中小企業が金融機関からお金を借りる際に、当然の習慣として昔から行われてきました。平成26年2月に「経営者保証ガイドライン」が全国銀行協会と日本商工会議所から出されました。若干の変化は見られたものの、新規融資が実行された場合に、現在でも民間の金融機関で70%、政府系金融機関で50%の経営者が個人保証を求められています。
金融機関の立場からすると中小企業に融資する場合に、家族経営で経営も家計も一緒で公私混同がなされ、財務内容も明確でなく、詳細に財務内容も知りえない場合は、公私一体とみて経営者保証を取らざるを得なかった面があります。
しかし、中小企業でも公私混同をせず、財務基盤も強固で、適切な情報を金融機関に開示している企業にとっては、たまったものではありません。その個人保証のために、思い切った事業展開もできませんし、事業承継の際に後継者がしり込みをし、承継が暗礁に乗り上げるケースもでてきました。そこで個人保証をできるだけとらないようにということで、上記の「ガイドライン」がしめされたのでした。ただし、この「ガイドライン」は中小企業、経営者、金融機関共通の自主的ルールで、特に「縛り」があるものではありませんでした。保証を取るか取らないかを決めるのはあくまでも金融機関でした。
それに対し、令和5年4月からの「経営者保証改革プログラム」は、金融機関への「縛り」を強化するために金融庁が経済産業省、財務省との連携の下に策定されたものです。内容は金融機関が経営者保証を求める場合に下記の説明をしなければならないとするものです。①どの部分が十分でないために保証契約が必要になるのか個別具体的にその内容について説明する。②どのような改善を図れば保証契約の変更、解除の可能性が高まるか、個別具体的にその内容について説明する。しかもただ説明するだけではなく、保証人に説明した旨を確認し、その経緯等を書面、又は電磁的方法で記録し金融庁に報告することが義務付けられました。しかも不十分な説明の時は保証人が相談できるホットラインも設けられました。これによって金融機関は経営者保証を取るハードルがかなり高くなったと言えます。
中小企業が個人保証を取られないように、または外してもらうために何をすべきかと言うと、次の3点です。①公私混同をなくす。すなわち法人と役員との間で貸し借りをしない。②2期連続経常赤字にしない。また直近決算を債務超過にしない。③取引金融機関に毎月B/S、P/Lを提出し、財務内容を説明しておく。以上これらのことを心がけて経営していれば新規に融資を受ける場合でも過去の融資の保証人をはずしてもらう交渉でも円満に進むことが考えられます。皆様のご検討をお祈り申しあげます。
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