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2023年6月 6日 (火)

デジタル資産の相続

 相続の申告の件で一番気を付けているのが、亡くなられた被相続人の現金の流れです。


 相談に来られた相続人の方にお願いして過去の古い通帳も持参していただきます。時には「なぜ私の通帳も必要なの?」とお叱りを受けることもありますが、被相続人の配偶者や相続人の通帳も必要に応じて、確認させていただきます。「私の知り合いの税理士さんに相談したら銀行の残高証明書だけ持参していただけば良いと聞いていたのですけど・・・」その時は、必要な理由を十分に説明させていただきますが、それでも納得していただけない場合には、お断りさせていただいたことも過去に何度かあります。
 

 次に気を付けなければならないのが、生命保険です。生前に、自分の息子さんやお孫さんにその契約者を変更しているケースです。相続人の中にはすでに解約していた方もおられれば、そのまま保険で持ち続けていた方もおられます。保険の契約者変更時では税金は発生しませんが、保険事故が生じたとき、すなわち前の契約者の死亡時に課税対象になりますから注意が必要です。贈与税や相続税がかかることになるからです。


 最近頭が痛いのが、いわゆる「デジタル資産」と言うものです。デジタル資産とは、オンライン上で管理できる無形の資産の総称です。具体的には、ネット銀行口座の預貯金、ネット証券口座の資産残高、仮想通貨、電子マネーの残高があります。使い勝手の良さから年々向上しているデジタル資産ですが、いざ相続が発生した時に見つけづらさが問題になります。


 後日見つかった時のためにも、遺産分割協議書には、「・・後日見つかったものがある時は、・・・が相続する。」という一文を加えておくと良いと思います。そうしないと遺産分割協議書のやり直しになりかねないからです。70代以上の方は最低でも万が一の時のために、IDやパスワードをわかるように工夫しておく必要があります。ネット証券に被相続人の口座がある場合は、換金するにも被相続人の口座から相続人の口座へ移す手続きが必要です。その場合、どういうわけか他の証券口座へ移管できない会社が多いので、相続人は被相続人の証券会社に自分の口座を作らなければなりません。それから換金して遺産分割するという面倒な手続きが必要になります。


 このようにただでさえ面倒な手続きが必要ですから、存在そのものがわからない時は、その口座探しから始めなければなりません。被相続人宛の郵便物、確定申告書、スマホ、パソコン、本人の銀行口座から推測したりしなければなりません。どうしてもわからない場合には、費用はかかりますが、証券保管振替機構に照会することで、探すことができます。いずれにしましても面倒を相続人にかけることになりますから、必ずエンディングノートなど作り、書き残しておくようにお願いします。


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