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2023年3月14日 (火)

相続時精算課税・・誰もが予想しなかった大改正!

 今回の贈与税に関する改正で、誰もが予測していたのが、下記の「暦年贈与」の改正です。

 そしてほぼ予測通りの改正が行われました。従来、駆け込み贈与を規制するために相続開始前3年以内の贈与財産が相続財産に加算されていましたが、2024年1月1日以降の贈与からは相続開始前7年以内の贈与財産が相続財産に加算されることになりました。贈与してから7年超の長生きが必須です。(笑)しかし、この暦年贈与は推定相続人にならない孫や子の配偶者等に贈与すれば、加算は一切しなくて良いので、贈与する場合に一工夫必要です。


 さて、誰もが予測しなかった改正は、下記の「相続時精算課税」です。(令和6年から適用されます。) 資産移転の時期に対する中立性を高めていく観点からの今回の改正のはずですが、その意味でも「相続時精算課税」の改正には驚きを隠せません。国の狙いはどこにあるのでしょうか?結果的には納税者有利の改正で喜ぶべきもので、大いに活用を勧めるべきものかと思いますが・・・。


 「相続時精算課税制度」は、平成15年度に導入された制度で、生前に贈与した分が2500万円まで贈与税がかかりませんが、相続発生時にはすべてを相続財産に持ち戻して相続税が課税されるというものです。その意味では相続税対策には一切ならないものと考えられています。(使い方によっては相続対策にもなると思いますが・・・)。しかも、一度選択すると暦年贈与は使えなくなり、その後、贈与した場合は金額にかかわらずその都度申告が必要でした。


 今回の改正では、この相続時精算課税制度に基礎控除額110万円が設けられたことです。この基礎控除分は相続財産に加算されません。更に、110万円以下の贈与なら申告をする必要もなくなりました。また、従来は、仮に不動産が滅失等した場合でも、贈与時の時価を相続税の課税価格に加算しなければなりませんでしたが、今回の改正で、災害により一定の被害を受けた場合という条件付きではありますが、例外的に相続時に課税価格を再計算できることになり、受贈者のリスクが軽減されて使い勝手が向上しました。来年度からはこの「相続時精算課税」の活用を検討されてはいかがでしょうか。


 尚、従来の「教育資金一括贈与」は令和8年3月31日まで、「結婚等資金一括贈与制度」は令和7年3月31日までそれぞれ延長されています。「住宅資金贈与」は令和5年12月31日までとなっていますので、ご確認ください。


 様々な贈与の活用方法あり、その活用の仕方では、税額も大きく変わってくることから実施される場合は、事前に十分な検討が必要です。いつでも気軽にご相談ください。

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