相続税の納税資金対策
相続が発生した時、相続人は、相続の開始を知った日の翌日から10ケ月以内に相続税を納めなければなりません。現金の一括納付が原則です。現金が不足する場合は、利子を払って延納にするか(資金繰り表を提出したり、担保を提供したりとなかなか面倒な手続きです。)現金の代わりに土地等で支払うことが出来ます。(これを物納と言います。過去に何度か手続きをさせていただきましたが、最近は物納の条件が厳しく、なかなか受け入れてもらえなくなりました。国側も土地を欲しいわけではないので、その土地を現金化するなど、ひと手間かける余裕もなくなってきたのだと思います。)
相続財産に豊富な現金がある場合には、相続人も納税に苦しみませんが、現金が不足する場合は、労せず土地などを相続したのに、逆に先代を恨むものさえでてきて、せっかく相続させてもらったのに・・・と複雑な心境になります。
そこで相続税の納税資金対策として考えられるものを下記に書かせていただきました。
① 先代は保険に加入しておく。
保険は相続が発生した際に、受取人に指定されていた者が請求すれば、すぐに現金化できますので非常に便利です。過去に入院したことがあっても、高齢であっても対応できる保険がありますので、是非活用していただければと思います。しかも、例えば相続人が4人いれば2000万円まで相続税は非課税です。(相続人1名につき500万円の非課税枠があります。)先代が会社の経営者の場合は、会社が契約者で保険に加入しておく方法も有効です。先代死亡の場合に会社に入った保険金を原資に相続人に死亡退職金を支払います。相続人はその死亡退職金を納税資金に活用します。(生命保険同様の非課税枠があります。)
② 現金を生前贈与しておく。
ご存知のように110万円までは非課税です。500万円でも約50万円の贈与税で済みます。しかも、その分は相続財産からも除かれます。(ただし、死亡前3年以内は相続財産に加算されます。)この暦年贈与ですが、改正の動きがありますので、実行するなら早いうちです。また相続人は納税資金準備のため、いただいた現金を費消しないようにしてください。
③ 土地を売却する。
相続した土地を売却し、その代金を相続税の支払いに充当します。土地の売却なので所得税はかかりますが、相続財産としての土地にかかった相続税は売却価格から控除することができるメリットもあります。売り急ぎますと足元を見られ、安くしか売れないケースもあります。しかも境界確定測量費用や売買のための不動産仲介料などコストもかかります。そこで私は自分の会社に売却することを勧めています。第三者への売却ではないので、買い叩かれることもありませんし、第一に、思い入れのある土地を他人に売らずに一族で持ち続けることが出来るからです。この場合も、その土地にかかった相続税分は控除できる特典はそのまま使えます。
④ 自社株を会社に売却する。
この方法は、私が一番お勧めしたい対策ですが、紙面が無くなりましたので、次回に詳しく書かせていただきます。
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