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2021年8月 3日 (火)

持ち株会社について

   最近、事業承継対策で持株会社の設立を相談されるケースが増えてきた。

   以前より、メガバンクを中心とした金融機関は持株会社の設立提案をかなり積極的に行っている。過去、提案を受けた会社も多いと思う。金融機関が提案する内容はこうだ。

   まず後継者が出資して新会社を作る。次にこの新会社が、先代経営者から従来の会社の株式を時価で買い取る。その際に問題となるのが買い取り資金だ。持株会社まで作って対策しようというのだから当然株価は高い。その際に買い取り資金が、億単位になることは珍しくない。そこで、その買い取り資金は全額その金融機関が融資をしてくれるというスキームだ。株価が上昇し続けている会社にとっては、効果も高い(新会社は後継者の会社なので、どんなに株価が上昇しても先代の相続税の心配がなくなる。)が、設立時のコストがかかるのが欠点だ。

   まず先代が新会社に株式を売却するときに税金が約20%かかる。税率は低そうだが、元の金額が大きいのでかなりの税額になる。しかも新会社は、株式購入資金を借り入れるが、とても10年以上の期間では借りられない。そうなると毎年の返済額は大きくなり、資金繰りが圧迫され、財務内容が悪化していく。また社長が高齢な場合、株式売却による多額の現金は使い切れず、相続対策でしたはずなのに、株式が現金に変わっただけということにもなりかねない。

 そこで私は、今回出版した本の中でも触れたが、コストのかからない持株会社の提案をしたい。それは「株式移転」と言われる方法で、従来会社の株主が新会社に、現在所有している株式を現物出資する方法である。従来会社の株主がそのまま新会社の株主になり、従来会社を子会社として間接所有する方法だ。株主を変えないで対策になるのかと疑問を呈する人もいるが、まず新会社を作ることで、株価評価をする際に含み益に対する法人税相当額分が控除されるので株価は下がる場合が多い。しかも先代が新会社の株主のままなので、後継者の見守りをしながら経営の引継ぎもできる。もし子会社が従来から不動産を所有していればそれを持株会社に時価売却するのも一つの方法である。(この場合の不動産の売却益に対しては、グループ法人税制が適用されるために従来会社には課税は生じない。)

 3年経過したら(3年後、持株会社の不動産の評価は取得価格でなく、相続税評価額になる。)この段階で株価評価は下がる。さらにタイミングが合えばその時点で、社長は退職金を取り、代表を下りてはいかがだろうか。更に株価評価が下がることになる。ある会社では株評価が半分以下になってしまったケースもある。その段階で後継者に持ち株会社の株式を譲渡、贈与すれば、事業承継がうまくいき万事めでたしということだ。
 

 株価評価を引き下げながらの事業承継対策の一つに是非「持株会社」の活用をお勧めしたい。

 

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