経営改善計画の立て方
7月のセミナーのテーマは「経営改善計画の立て方」だ。一般的に「経営改善計画書」というと、業績悪化で借入返済が難しくなった時、金融機関に相談するために提出する資料と捉えられているが、私は「経営改善計画書」は例外なくあらゆる企業に必須であると考えている。計画書の作り方は、少し調べればどこにでも解説があるので、今回のセミナーでは、何故「経営改善計画書」が必要なのか、その本質を説明したいと思っている。会社は生き物だ。どんな企業でも、例え、あなたの企業が優良企業であっても、業績の問題、人の問題、取引先の問題と様々な問題が日々起こっていないだろうか。経営課題は無限だ。そして、常にその経営課題を解決し続けない限り優良企業であり続けることなど不可能なのだ。
そもそも企業の使命は、黒字を出し続け、会社を取り巻く社員、取引先等すべての人を幸せにすることだ。しかし、国税庁の発表によると企業は全国で約250万社あり、そのうちの7割が赤字だ。帝国データバンクの調査では、調査対象企業約150万社の平均点は43点だ。平均点以下の企業は、ちょっとした環境の変化ですぐに窮地に追い込まれ、存続も難しい。後継者難の問題解決の一つの道として、M&Aが急激に増えてきたが、その対象となる企業は、51~55点クラスの企業であり、その対象からもはずれる。そのような厳しい経営環境のど真ん中にいるにも拘わらず、何から手を付けて良いのかと途方にくれている経営者も多いと推測する。
経営者にとって大事なことは二つある。その一つは「経営改善」に挑戦し続ける強い気持ちだ。どんな立派な経営戦略があっても、社長にそれを実践しようとする気持ちがなければ、何も進まない。「煙突が高いのも、郵便ポストが赤いのも全部自分の責任」という気持ちで会社の数字に対する責任はすべて自分が負う覚悟が何よりも大事だ。 次に大事なのは、会社の数字に強いということだ。経営者の方は経理出身者がほとんどいないため、会社の数字に弱い人が多い。問題は弱いままでいることで、そのような企業は衰退の一途をたどる。次の項目に一つでも当たる経営者はすぐに勉強を始めなければならない。①損益計算書が読めない。②貸借対照表が読めない。③月次試算表を毎月見ていない。④会社の数字の管理を経理担当者や税理士に任せきりである。⑤営業キャッシュフローがプラスかマイナスかわからない。いかがだろうか?ひとつでも当たった社長には、まずは変動損益計算書を勉強してもらいたい。変動損益計算書については前回の当社のセミナーでも説明したように経費を変動費と固定費にわけた損益計算書で、難しいものではない。損益計算書から変動損益計算書に変えられるように白紙のフォームを差し上げているのでそちらを活用してもらえると良い。慣れると簡単にできるようになる。そうすればしめたもので、次にその変動損益計算書を活用して、経営課題を読み取り、対策を立てていけるようになる。まずはすぐに始めようではないか。当社では毎月セミナーを開催しているので、是非参加してもらえればと思う。経営者の皆さん・・応援しています。
2019年7月29日(月)
著 者 税理士 千葉 和彦