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2019年7月31日 (水)

経営改善計画の立て方

 7月のセミナーのテーマは「経営改善計画の立て方」だ。一般的に「経営改善計画書」というと、業績悪化で借入返済が難しくなった時、金融機関に相談するために提出する資料と捉えられているが、私は「経営改善計画書」は例外なくあらゆる企業に必須であると考えている。計画書の作り方は、少し調べればどこにでも解説があるので、今回のセミナーでは、何故「経営改善計画書」が必要なのか、その本質を説明したいと思っている。会社は生き物だ。どんな企業でも、例え、あなたの企業が優良企業であっても、業績の問題、人の問題、取引先の問題と様々な問題が日々起こっていないだろうか。経営課題は無限だ。そして、常にその経営課題を解決し続けない限り優良企業であり続けることなど不可能なのだ。

   そもそも企業の使命は、黒字を出し続け、会社を取り巻く社員、取引先等すべての人を幸せにすることだ。しかし、国税庁の発表によると企業は全国で約250万社あり、そのうちの7割が赤字だ。帝国データバンクの調査では、調査対象企業約150万社の平均点は43点だ。平均点以下の企業は、ちょっとした環境の変化ですぐに窮地に追い込まれ、存続も難しい。後継者難の問題解決の一つの道として、M&Aが急激に増えてきたが、その対象となる企業は、51~55点クラスの企業であり、その対象からもはずれる。そのような厳しい経営環境のど真ん中にいるにも拘わらず、何から手を付けて良いのかと途方にくれている経営者も多いと推測する。

   経営者にとって大事なことは二つある。その一つは「経営改善」に挑戦し続ける強い気持ちだ。どんな立派な経営戦略があっても、社長にそれを実践しようとする気持ちがなければ、何も進まない。「煙突が高いのも、郵便ポストが赤いのも全部自分の責任」という気持ちで会社の数字に対する責任はすべて自分が負う覚悟が何よりも大事だ。 次に大事なのは、会社の数字に強いということだ。経営者の方は経理出身者がほとんどいないため、会社の数字に弱い人が多い。問題は弱いままでいることで、そのような企業は衰退の一途をたどる。次の項目に一つでも当たる経営者はすぐに勉強を始めなければならない。①損益計算書が読めない。②貸借対照表が読めない。③月次試算表を毎月見ていない。④会社の数字の管理を経理担当者や税理士に任せきりである。⑤営業キャッシュフローがプラスかマイナスかわからない。いかがだろうか?ひとつでも当たった社長には、まずは変動損益計算書を勉強してもらいたい。変動損益計算書については前回の当社のセミナーでも説明したように経費を変動費と固定費にわけた損益計算書で、難しいものではない。損益計算書から変動損益計算書に変えられるように白紙のフォームを差し上げているのでそちらを活用してもらえると良い。慣れると簡単にできるようになる。そうすればしめたもので、次にその変動損益計算書を活用して、経営課題を読み取り、対策を立てていけるようになる。まずはすぐに始めようではないか。当社では毎月セミナーを開催しているので、是非参加してもらえればと思う。経営者の皆さん・・応援しています。

2019年7月29日(月)
               著 者 税理士   千葉 和彦

2019年7月 3日 (水)

貴方は、何を志しますか?

月に1回程度、東京のコンサルタントの先生と同行している。私が車で仙台駅まで迎えに行き、お客様を訪問するのだが、その車中での会話の一コマです。

私「パチンコ業界は衰退の一途で、大変なようですね。」
先生「そうです。店舗数もピーク時の半分近くまで減りました。今後ますます厳しくなっていくでしょう。」
私「業績の悪いところばかりですか?」
先生「いえ、そうとも言えないです。業績の良いところは、まだ沢山あります。実は、先日、同じ厳しい環境の中で、なぜ貴社の業績が良いのですか?とある社長に聞いて見ました。」
私「そうですか。それで、一体なんとその社長は答えたのですか?」(興味津々・・)
先生「その社長が言うには、経営者の志の違いだそうです。志のない経営者は、少しお金が入ると、私利私欲で大切なお金を浪費してしまい、失敗してしまいます。志を高く持ち、社員の待遇改善などに真剣に取り組んでいると、社員は頑張ってくれるものです。その結果、業績も上がるのです。と話していました。」
私「えっ、志ですか?」(平凡な答えのようで、なんと奥深い・・その社長は吉田松陰のファンか・・)

しかし、家に帰ってからも、その言葉が頭から離れませんでした。確かに、中小企業の業績は、99%社長の肩にかかっていると言われています。経営改善計画で、まず、最初にすることは財務分析です。その会社が、余程巧みな粉飾でもしていない限り、その会社の現状はわかるものです。経営改善は、そこから経営課題を抽出して、その課題克服を考え、アクションに移していくことに尽きます。しかし、その時に、経営者自身に「必ず改善して見せる。」と言う強い意志がないと、改善計画は成功しません。何と言っても大事なのは、経営者のマインドです。以前に聞いた話ですが、ある税理士が経営者にアドバイスする技術を磨くには、アメリカで経営学を専門に勉強してこなければダメだと考えたそうです。それで、意を決し、渡米し、大学院で経営学を勉強した上に、MBAまで取得して帰ってきました。そして、最高の知識を蓄えた経営コンサルタントとして、華々しく活動を始めました。しかし、何年かして、彼はコンサルタントを辞めてしまいました。なぜかというと「いくらアドバイザーが知識を持っていても、経営者にやる気がないと、何もできない。ということに気づいたので辞めた。」ということでした。

やはり経営で一番大事なのは、経営者自身がいかに志を高く持ち続けられるかどうかにかかっているのですね。私もその言葉を噛みしめながら、経営者の皆さんの応援をし続けたいと気持ちを新たにしました。経営者の皆さん、応援しています。

2019年6月30日   著 者  税理士    千葉 和彦

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