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2019年4月23日 (火)

いよいよ消費税アップが本格化・・企業の対応は?

  今年の10月1日からの消費税アップが現実化してきた。税務当局や商工会議所、その他関係機関の対策セミナーが始まっている。当事務所でも先日、恒例のオーナーズセミナーで消費税の改正について話した。

 

今回の消費税改正は、軽減税率が導入されることで、経理処理が複雑になることがポイントだ。

 

まずは自社の売り上げに、この軽減税率になるものがあるかどうかを確認することから始めなければならない。軽減税率の対象になるのは、酒類及び外食を除く「飲食料品」、定期購読契約が締結された週2回以上発行される「新聞」だ。まずは飲食料品の商品を扱っているところが行動を急がなければならない。

 

手書きでは対応が難しいので、早い時期にレジの導入、受発注システムの改修・入れ替えのスケジュールを立てなければならない。いずれも補助金制度の対象になるので、上手に活用してもらいたい(軽減税率対策補助金事務局のホームページ参照)。

 

食品関係の卸売業、食品製造業は、請求書管理システムが区分記載請求等保存方式に対応しているかシステム会社に確認し、必要に応じて改修・入れ替えを進めなければならない。また売上がすべて標準税率の会社でも仕入れには必ず軽減税率のものが含まれるので、区分記載するなど対応をしっかり考えておかなければならない。

 

  経理処理の対策はもちろん必要だが、これも経営が順調に進んでこそのものだ。この消費税アップで自社の経営が窮地にたたされない準備こそが最重要課題だ。

 

いままでの経験では、消費税アップ後は、必ず消費の減少がつきものだった。今回も例外ではない。来年のオリンピック開催後は日本経済全体に不景気の足音が忍び寄ってくるのが聞こえる。不景気になってもしっかり資金が回り、利益が出せるような企業体質にしておく必要がある。

 

それには、過大な設備投資を控え、内部留保を減らさないようにしなければならない。

 

内部留保が悪いことのように話している方もいるが、そのような言葉に惑わされず、しっかりと内部留保を確保していこう。不景気になり、赤字になれば、金融機関も融資をしてくれないので、しっかりと自己資金を増やしておき、来るべき不況を乗り切るようにしよう。

 

 

2019年4月19日  著 者   税理士  千葉 和彦

2019年4月 4日 (木)

生保業界に激震・・全損保険の販売停止

  2019年2月14日「全損型保険、販売停止!」の報道が各紙に取り上げられた。

 

ここ数年、節税だけが前面に押し出された「全損型保険」の大量販売を国税、金融庁が問題視し、各生保会社に税務通達の見直しを通知、生保各社が即時に販売を停止したのである。

 

生保のプロ代理店の方の中には、涙目で今後何を売っていったら良いのかと途方に暮れている方もいる。それほど今回、各保険会社が販売停止をした全損タイプの保険いわゆる「節税保険」というものが、多くの中小企業の経営者の支持を受け販売されてきたのだ。

   経営はリスクに囲まれており、いつ何が起こるかわからない。そのため、その防衛策の一つとして保険ほど心強いものはないというのが正直な感想だ。

 

自分の会社の借入金や固定費などを踏まえ、会社を取り巻くリスクに備えた必要保障額を計算し、保険に入っておけば、企業本来の目的である「存続と発展」を実現することができる。経営者の死亡や自然災害がすぐに会社の倒産につながらないようにしておくことこそが、社員や家族をかかえている会社にとっては必須であり、これが本来、企業保険が「企業防衛」と言われる所以でもある。

 

しかも、同時に節税もできるとなれば、保険の魅力は大きい。「節税、貯蓄、保障」を備えた商品は、周りを見渡す限り保険以外になかなか見当たらない。今回は、その「節税」面だけを強調した販売方法に国税、金融庁のメスが入ったのであるが、再度、保険本来の「保障」機能を見直し、企業を取り巻く将来のリスクに備えるという保険機能の原点に立ち返り、自社の必要保障額等を見直す良い機会ではないかと考える。


  そこで、生命保険ではないが、国が運営する「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)の活用も見直してはいかがだろうか?名前の通り、取引先が倒産した場合には、掛金の10倍まで融資が受けられ、連鎖倒産を避けるためのものであるが、その掛金は、掛け捨てではなく積立で、解約するとほとんど戻ってくる。

 

その掛け金は、月額5000円から20万円までの範囲で自由に選択でき、年払い(前納)することもできる。掛金総額が800万円まで積み立てることができる。このセーフティ共済の掛け金は、前に述べたように、積立なので、本来、税務上は損金(必要経費)にはならない。しかし、国はこのセーフティ共済への加入促進のため掛金の全額損金を認めている。生保ほどの全損のインパクトはないが、これらの活用も再度見直してはいかがだろうか。

 

  今回、急な通達改正が予定されているが、今までも何度か経験してきたことだ。ここは、慌てふためかず、冷静に、成り行きを見守りながら、企業の本来の企業防衛としての保険の原点に立ち返り、自社の必要保障額をしっかり見直していこうではありませんか。


 保険は、企業防衛のほかにも相続税の納税資金準備や遺留分対策としても有効(もちろん法定相続人1人につき500万円の非課税枠があるのは従来通りである。)であり、活用のメリットは大きいので、継続して保険の活用をすべきだと思う。応援しています。

2019年4月1日   著 者  税理士  千葉 和彦

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