日本の事業者の2/3が後継者不在
年商10億円未満の事業者の約2/3が後継者不在だ。(帝国データバンク2017年発表)日本の約400万事業者のうち、年商10億円未満は97%を占めているのだから、これが、日本の中小企業の現状といっても過言ではないでしょう。この数年で数十万社の中小企業が事業承継のタイミングを間違いなく迎えることになります。
先代が、第一にすべきことは、早急に後継者を決めることです。しかし、魅力のない会社は誰も継ぎたがりません。経常利益をしっかり出し、将来性も見込めるような企業しか誰も継ぎたがりません。後継者に次を託すためには、自分の代で、しっかりと自社の事業を磨き上げ、その中で後継者を見極め、時間をかけて引き継いでいく必要があるのです。では、後継者の見つからない企業はどうなるのでしょうか?魅力のない会社を誰も引き継ぎたがらないように、M&Aの相手もなかなか見つかりません。そうなると廃業しか方法がなくなります。昨今廃業はかなり増えてきています。しかし、簡単に廃業といいますが、社員がいれば解雇しなければなりませんし、退職金の問題もあります。取引先との事業中止の根回しも必要です。また設備など希望するような価格で売れるとは限りません。解散の場合の税金もあります。廃業するのにもエネルギーとお金がかかるのです。
どのような道を選択するにしても早い取り組みと意思決定が重要です。後継者を決めるには、まずは、一人で悩んでいないで、親族に相談して見ましょう。思わぬ知恵がでることもあります。また会社内に有力な人材がいる時は、こちらの意向を早く伝え、後継者教育に取り組みましょう。会社に魅力があれば、早めにM&Aの専門家に相談するのも一法です。いずれの方法を取るにしても、スピードが大事です。オーナー社長の早い意思決定と覚悟、思い切りが大事なのです。高齢になっても社長を譲らない、譲りたくても譲れない・・・と様々な想いや悩みを抱えているオーナー社長も多いことでしょう。しかし、進むべき道を決めずして1日、2日と経ちすれば、5年、10年は、あっという間です。その間、自分も社員もまた年を重ねていくのです。それに、後継者を決めてからも、自社株の異動の問題、社内の組織体制の整備、後継者を補佐する人の確保、後継者への段階的な権限の委譲、承継後の経営計画の策定、経営者の個人保証への対応など・・しなければならないことが山積みです。早く後継者を確保し、次の段階に進まなければならないのです。平成30年改正の「新事業承継税制」も後継者が決まって初めて活用できるのです。次回は新事業承継税制の活用について書きたいと思います。
2018年9月25日 著 者 税理士 千葉 和彦
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