« 相続の遺留分対策について | トップページ | 「経営者保証に関するガイドライン」について »

2018年8月 1日 (水)

老後のお金

 老後資金は夫婦で3000万円、独身で1500万円が必要とよく言われている。これは、65歳から年金生活に入る場合に、90歳までの25年間で年金だけで不足する分の金額らしい。ただし、税金や家の修繕費、海外旅行代、医療・介護費、子どもの結婚資金などの予備費として600万円しか見ていないという前提なので、少し余裕のある生活をしたいと思えば、夫婦で約5000万円が65歳時点で必要ということになる。独身では約2000万円だ。具体的な数字を見て、ぞっとした人は少なくないだろう。50歳の平均金融資産が1000万円であることを考えると、かなり計画的に貯蓄しないと老後資金をためるのは難しい。

 巷では、資金を少しでも株などで運用して増やすことを勧めているコンサルタントの方も多いが、私は基本的には、それらの投資は余裕資金でするものと考える。5000万円を超える資金を持っている人なら考える価値があるかもしれないが、それ以外の方は手を出してはいけないと思う。何故なら運用率の高い投資のほとんどは、元本保証はなく、市場の動きで大きく暴落することもあるからである。老後のためにコツコツ貯めていた資金が、投資で半分になった時のことを想像してもらいたい。脅かしているわけではない。昨今の世界情勢ではよくあり得ることということを認識して投資してほしいと思う。半額になっても誰も責任は取ってくれないのだ。
 
 いやいや日本には年金制度があるじゃないかという声が聞こえてくる。がしかし、ご存知の通り年金は、減額の一途をたどっている。そこで、年金の繰り下げ受給を勧める方もいるが、(65歳から年金をもらわず、70歳からもらう方法である。)これは各人の考え方次第で、80歳になってから通常より多い年金をもらうのと、少しでも体の動く若いうちに年金をもらって余裕を持ってお金を使うのとどちらが得か・・良く考えてみよう。(ちなみに81歳を超えると70歳からの繰り下げ受給が有利になる。)長生きに自信のある方は是非活用するのも良いかもしれない。

 話しは少し外れるが、資産がかなり多い方は、まず自分の財産を毎年、棚卸し、財産目録を作ることをお勧めする。自分の財産と借金を書き出し、純資産を把握する。奥様とお子さん2名の標準世帯の場合、4800万円を超えた分に相続税がかかるということも想定しておく必要があるからだ。無理な相続対策はいらないかもしれないが、金融資産を一部保険にしておくだけでも相続税額は大きくかわる。また、相続争いは、総資産5000万円以下の場合が約7割を占めていることを見ても、相続税に関係なく、相続争いを避けるために遺言をしておくことが何よりも重要だ。今回、民法の改正予定があり、それによると自筆証書遺言の財産目録等はパソコン等で作成したものでも良くなりそうだ。しかも法務局に保管してもらうことも可能になり、検認手続きも不要になる。そうなると自筆証書遺言が今よりずっと活用しやすくなる。これは、2020年4月からの施行になりそうだ。しかし、その間に何かあったら大変なので、一日も早く書いておくことが必要なのは言うまでもない。

2018年7月30日    著 者   税理士  千葉 和彦

« 相続の遺留分対策について | トップページ | 「経営者保証に関するガイドライン」について »

経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 老後のお金:

« 相続の遺留分対策について | トップページ | 「経営者保証に関するガイドライン」について »