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2018年6月 1日 (金)

相続対策の三本柱

  相続対策の三本柱は昔から変わっていないが、順番は変わった。昔は何が何でも①節税②納税資金③遺族間の争いの防止だった。それが現在は、まずは「遺族間の争い防止」が先で③~①の順番にその重要性は変わった。いくら節税対策を講じても、相続人間で揉めてしまったり、納税が困難になってしまっては、その相続対策は失敗だったということが、経験上わかってきたからだ。

   では、遺産争いは何故おきるのだろうか?それは戦後、民法の改正があり、相続人は均等割りの相続権を持つようになったからだ。例えば長男が両親の介護、家業の手伝い、他の兄弟姉妹の面倒をみてきても全く考慮されず、相続権は相続人の兄弟姉妹で、均等割りという何とも不思議な法律になっているのだ。

   私の顧客にも6人兄弟姉妹の長男の方がいた。その方の父上はご高齢で、100歳近くで亡くなった。母上はすでに亡くなっていたので、兄弟姉妹6人が相続人になった。父上は、亡くなる前5年くらいは寝たきりで、長男の奥様が世話をされていた。私が父上に遺言の話をすると、長男の奥様が私に次のように話した。「うちの主人は、弟や妹たちの面倒を小さい頃から良く見てきたんです。自分だけは高卒で家業を手伝ってきたけど、弟や妹たち全員に仕送りを続け、大学までだしてあげたのです。主人と義父は、朝早くから夜遅くまで真っ黒になって働いていました。ですから、うちの主人に逆らう弟や妹なんかいません。だから義父の遺言なんて必要ないのです。」と。

    しかし、いざ遺産分割協議の段階になると法律関係の仕事をしている妹の旦那さんが現れ、次のように話を切り出した。「お兄さんのことはみんな尊敬していますよ。しかし、法定相続分というものがありますからね。今回の相続は法律通りにお願いします。」と。他の弟や妹たちも一斉に右倣えをし始め、その結果、均等に分割するために、唯一の不動産である住み慣れた家も売却し、預貯金もかき集め、何とか遺産分割協議を済ませたのだ。

   何とも人情味のない話だが、フィクションでも何でもなく、これが現実なのだ。では、どうしたら良かったのだろうか。

    まずは、被相続人になる方は必ず「遺言」をしておくことが必須だ。これで争いごとの半分は避けられる。自分の財産を所有者が誰に相続させるか指示しているわけだから相続人は文句の言いようがない。人の財産を貰う立場の人同士が、話し合いをするから揉めるのだ。

   しかし、「遺言」していても油断は禁物だ。それは、各相続人には「遺留分」というものがあるからだ。たとえ遺言で相続させられなかった場合でも、相続人には法定相続分の半分の相続権がある。相続があったことを知ってから1年以内に自分の相続分に不満がある場合は、「遺留分の減殺請求」という形で請求できる。実際、遺言があったのに揉めている原因のほとんどはこの「遺留分の減殺請求」が原因だ。これを回避するのは、各相続人に遺留分を超える財産を相続させ、公正証書の遺言にしておく。そうすれば揉める余地はなくなるはずだ。しかし、そのように遺言で残すことは実際至難の業だ。そこでどのようにすればそれらをクリアした遺言書にできるかを次回は話していきたい。


2018年5月31日  著 書  千葉 和彦

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