目標と実績の差を読む。
4月に今年度最初の「将軍の日」を開催した。通算では87回目になる。「将軍の日」とは、「社長の日」いわば組織のトップに立っている人のために、丸一日かけたセミナーだ。
朝10時から夕方6時まで、じっくり自分の会社の5年後を考えてもらう。そのために、事前に打ち合わせの上、必要事項は当社ですべて準備を済ませておく。当日、社長はそれを基に計画を立てていく段取りになっている。最初の90分だけ私が話をするが、残された時間はすべて社長自らがパソコンに向かい、じっくり考えてもらうという実践参加型のセミナーだ。
もちろん当社のスタッフが一日ついているから、パソコンの知識は必要ない。また、会社の規模も社長の年齢も問わない。過去には、80歳の社長が参加されて、その社長が自分の友人にそのことを話したら、「お前まだ5年も社長続けるのか?」と言われたと笑っていた。
「将軍の日」は社長と後継者に一緒に参加してもらうこともよくある。半信半疑で、参加してくる社長も多いが、終わってみると参加者のほとんどから「参加して良かった。」と言ってもらえ、こう言われた時ほど主催者冥利につきることはない。
「将軍の日」に誘うと「うちの会社は、受注してみないとわからないので、売上予測はできない。」とか「経営計画を策定しても、計画通りに行かないから無意味だ。」と言って参加されない方が多い。しかし、この意見には大きな誤解がある。まずこのセミナーは、未来を予測するものでないということだ。我々は占い師でもなければ神でもないので、未来を予測することなどできない。先のことが分からないからこそ経営計画が必要なのだ。経営計画は、「目標の設定」なのだ。ただ、この目標の数字について、多くの人がそれぞれの疑問を持っていることも事実だ。
かつて炎のコンサルタントと異名を取った一倉定先生も、疑問を持ったままの数字で計画を立て、目標を設定することに対して、誰しも躊躇するのが当然であるとも言っている。また、これに対する正しい回答や説明は、残念ながら、いかなる文献にもないし、あっても間違いだらけだと話している。
一倉先生は「いくら数字を読もうとしても読めないのだ。そこで、仕方がないので読める数字だけを読むよりほかはない。それが過去の数字を読むということになる。恐らくは、世界中の人々が過去の数字だけを読む、と言うより読まされているわけだが、これより外に読みようがないのだから、いたし方ないということらしい。
このように、ほとんどすべての人々が数字を正しく読めないというのはなぜだろうか。答えは簡単、正しい読み方を教えてくれる人がいないからだ。正しい読み方は、事業経営者なら誰でも説明を受ければすぐに分かる。それは極めて簡単『目標と実績の差を読むこと』これだけである。」と話している。一倉先生の言われるように、「目標は実績との差を読むために存在する」と見方を変えると、誰でも急に目の前が開けてくるような気がするはずだ。
企業経営において大事なことは「すぐれた業績を上げること」だ。そして、そのために「目標」は存在する。その差を埋めるためにどう行動すべきかをトップ自らが考え、行動を起こしていくことが優れた業績につながっていくのだ。経営者の皆さん、この「目標と実績の差」を考え続け、業績アップにつなげようではありませんか。応援しています。
2018年4月30日(月) 著 者 税理士 千葉 和彦