広大地の評価改正・・地主さん増税・・年内に対策を!
平成30年1月1日以降に相続、遺贈又は贈与により取得した広大地の評価の方法が変わることが本決まりです。
ざっくり話せば今回の改正で、これまで広大地に該当していた土地の評価額が約30%以上高くなります。もし対策をするなら年内にその土地の贈与契約を済ませましょう。ただし、ご存知のように贈与税はかなり高いので二の足を踏まれる方も多いと思います。
その場合は、相続時精算課税を活用します。相続時精算課税制度とは、60歳以上の親・祖父母から20歳以上の子や孫に評価額で2500万円までは非課税で、それを超えた分には、一律20%の税率で贈与税が課税されるというものです。将来相続が発生した時にその贈与時の価格で加算され、先に収めた贈与税はその時の相続税から差し引かれ精算されます。いわば相続税の前払いと言われる制度ですが、2500万円を超える分の金額には20%の贈与税が課されますので、税額が大きくなることも考えられます。来年3月までに納付しなければならない贈与税の資金繰りも考える必要があります。
「広大地の評価」は、宮城県の場合は1000㎡以上の土地を所有している場合に適用されるものです。この評価方法を適用すると約半分から三分の一に評価が下がり、地主さんには喜んでいただける評価方法でした。しかし、適用要件がかなり曖昧なため、判断が難しく税務当局との争いが絶えませんでした。そこで今回「広大地の評価」は廃止され、代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されたのです。 広大地の評価の時と面積基準は変わらず1000㎡以上が対象になります。
そのほか条件は①「普通商業・併用住宅地区」又は「普通住宅地」に所在していること②容積率400%以上の土地には適用されない。と適用条件が明確になっており、適用の判断がしやすくなります。今までの広大地評価では土地の形状を考えませんでしたが、新しい評価方法では不整形地補正も考慮されます。しかし、規模格差補正率が大幅に引きあげられることから、余程地形が悪い土地でない限り、前述のように評価が上がることになります。広い土地を所有している地主さんは検討してみてはいかがでしょうか?
贈与契約をするなら、平成29年12月31日までに、贈与を行うことが必要です。そして、翌年2月1日から3月15日の間に相続時精算課税制度による申告をすることになります。(もちろん暦年贈与もできます。ただし、この場合税額が大きくなることが想定されます。) 具体的には、現在の計算法による広大地の評価をし、贈与税額を算定します。その上で贈与契約書を締結し、できれば確定日付を取っておくと証拠能力が上がります。また贈与は登記が要件ではありませんが、できるだけ早く登記を済ませることも必要です。できれば申告までに間に合わせるようにしましょう。
とにかく何はともあれ贈与の意思表示を明確にしておくことが重要です。 年末の慌ただしい時期ではありますが、相続税減額分を稼ぐと思えば力も入るのではないでしょうか?是非応援しています。
2017年11月22日(水) 著 者 税理士 千葉 和彦
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