「働く」ということ
この時期、会計事務所は、所得税の確定申告期間真最中で、猫の手も借りたいくらいと言われている。
私も開業当初は徹夜、徹夜の連続で、申告書を提出に税務署に向かう途中、赤信号で待っている間に車の運転席で爆睡してしまい、クラクションを鳴らされても目を覚まさず、業を煮やして、後ろから降りてきた人に思い切り怒鳴られて、やっと目を覚ましたなどという危険な思い出があるくらいだ。
最近は若いスタッフの要請もあり、休日が増え、残業時間もめっきり減り、この時期特有の殺気立った事務所の雰囲気もなくなってきた。計画的な資料収集と、作業の効率化に取り組んできた成果が表れてきたのかとも思う。
しかしいつの世も、良い仕事をするには、どうしても時間が必要で、人の能力に差がないとすれば、時間をかけて一生懸命、仕事に取り組んできた人にはかなわないのが事実だ。「量は質へ転化する」という先人の教えの通りだ。パイロットの熟練度は年数ではなく、飛行時間で決まるのと同じだ。本気で仕事に取り組もうとすれば、つい時間が過ぎてしまうものである。
時代に逆行しているようなことを言っているようだが、私は長時間労働をしろと言っているわけではない。時間がないからといって、手を抜くようなことをしてはいけないと言いたいのだ。手を抜くのと手間を省くのは大きな違いだ。手間を省くためには経験と知恵が必要なのだ。そのためにも特に若い人には、愚直に取り組んでほしい。経験をしなければ、良い知恵は決して浮かばないからだ。
私の親しい社労士の先生が、今月号のご自身のエッセイに「働くことは万病に効く薬」という表題で、ご自分の経験を書かれていた。
それは多くの挫折や試練の中で、一つの仕事に本気で一生懸命打ち込んでいくと、不思議なことに、苦難や挫折の方向に回転していた自分の人生の歯車が、良い方向に逆回転し始め、その後の人生は、自分でも信じられないほどの変貌を遂げてきているという話だった。素晴らしい話だと思う。
先生は、さらに、働く意義を理解しないまま仕事に就いて、悩み、傷つき、嘆いている人が数多くいると思うが、そういう人には「働く」ということは、試練を克服し、運命を好転させてくれる、まさに「万病に効く薬」なのだということを、是非理解していただきたいと力強く語っている。
いったい我々は何のために働いているのか?生活費を稼ぐためか・・もちろんそれは当然のことだ。しかし、それ以外の意義はないのか・・自分自身に問いかける必要がある。抽象的だが、私は、誰でも自分が幸せになるために働いているのだと思う。その場合幸せはどのような時に感じられるのだろうか?なぜ目の前の仕事に一生懸命、本気で打ち込むと幸せになれるのだろうか?
是非騙されたと思って、目の前の仕事に本気で打ち込み自分自身で身を持って実感してほしいと思う。そうすれば今抱えている悩みもいつの間にか解消し、新しい人生が開けてくるはずだと確信する。
2017年2月25日 著 者 税理士 千葉 和彦
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