決算対策について
日本の法人は、全法人の約20%が3月決算に集中している。そこで今回は、長期的な節税効果も踏まえた決算対策について考えていきたい。
[大きく黒字がでる場合]
① まずは実効税率35%くらいの税金をそのまま支払う方法である。(実効税率には当然消費税は含まれない)まさしくこれは、自己資本比率を高める王道と言えるものだ。それにしても最低必要な消耗品、備品など30万円未満のものは3月中に購入しておくこと。
② 生命保険、セーフティー共済へ加入する。1年分を前払いにすると地代家賃同様その支払った期の損金になる。その分所得が減るので税金も減る。しかし、将来解約した時に益金に計上されるので節税というより利益の埋め込みとか利益の繰り延べと言われる。しかも実務上は継続して年払いを続けなければならないし、税金が減る分より現金がでていくので、資金繰りに注意が必要だ。
③ 決算賞与、役員退職金を支給する。
期末に決算賞与を従業員に出した場合は全額損金になる。しかし、業績が悪い期は出せないので、皆で頑張って業績が伸びたら出るというような従業員の理解が必要である。丁度世代交代期にさしかかった会社は、社長が退職金を取り、勇退するチャンスでもある。退職金は大きな金額になるので、大きな損金を計上できる。しかも退職金にかかる税金は金額にもよるが、低い税率で収まる。しかし、会社から大きな金額が出ていくので資金繰りが逼迫する恐れがあるので気をつけたい。また、昨今は社長が退職しても現役の時と変わらぬ働きぶりで退職金が否認されている事例が多発しているので、退職した後は、経営は新しい社長に任せ、自らは経営には参画せず、一線を退くことが重要だ。
④ オペレーテングリースの活用
これも節税というより課税の繰り延べというもので、飛行機、船、コンテナ等へ出資することで出資した匿名組合から出資分に応じて減価償却等の損金を分配される。投資額は2年間ほどで、損金に計上でるので、その効果は大きい。しかし、リース終了時に一度に益金が計上されるし、途中解約ができないというデメリットもある。
⑤ 含み損を出す。
含み損を抱えた土地などあったら、社長に時価で買い取ってもらう。別会社で買い取るとグループ税制があるので、損金が計上できない可能性があるので、注意が必要だ。
面倒でも適正な時価かどうかが勝負の分かれ道なので不動産鑑定士に評価してもらう。
⑥ その他、設備投資等をした場合は特別償却や即時償却を取れる場合があるので、忘れずに活用しよう。
以上紙面の都合で利益が出た場合の対処法だけ書いてきたが赤字になりそうな場合も役員借入金を免除してもらう方法や、保険や土地の含み益を表に出す方法で赤字が有効に活用できる。
どうしても赤字が避けられない場合は翌期株価が下がることが予測されるので、株価を異動させるチャンスでもある。
悪い面ばかり見るのではなく、赤字でさえも有効に活用していこう。
すなわち、結論から言えることは、どんな状況にあっても決して諦めず考え続けることではないだろうか。
2016年2月27日(土) 著者 税理士 千葉 和彦
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