待ったなしの「マイナンバー」会社はまず何をすべきか?
いよいよマイナンバーの通知が目前に迫った。住民票記載の住所に10月から順次、簡易書留で送付される。それには12ケタの番号と氏名、住所、生年月日、性別が記載されている。
顔写真がないので身分証明書としては使えない。来年1月以降、通知カードと写真を一緒に申請すれば「個人番号カード」が交付され、身分証明書としても使えるため政府はこのカードの取得を推奨している。
企業でも、税や社会保険の手続きをする際に、マイナンバーを取り扱う必要が生じる。
しかし、その取扱いについては、法律の規制や整備しなければならない規定が多く、会社は一体何から手を付けた方が良いのかわからず、右往左往しているのが現状だ。
そこで今回は会社がすぐにしなければならない事項をお伝えしたい。それは次の3項目だ。
①すぐに全社員に伝えること。
②取扱いの社内ルールを決めること。
③マイナンバーが届いたら従業員から集めること。
まず①の全社員に伝えなければならないのは、マイナンバーの利用目的や取り扱う上の禁止事項などだ。詳細は当社ホームページを参照にしていただきたい。(また従業員への説明文書のサンプルはセミナーで提供予定。)
次に②ついては社内の責任者を決め、社内ルールを決める必要がある。(取扱いルールのサンプルはセミナーで提供する予定。)
③マイナンバーの利用目的を説明した上で、従業員とその扶養親族のマイナンバーの提出を受ける。その時忘れてはいけないのは必ず本人確認をするということだ。
以上3つのことはすぐに勉強し、実施してもらいたい。
当社では豊嶋社労士と一緒に9月、10月、11月と3回のセミナーを予定している。
9月に入門編を行い、10月、11月で実践編を予定している。実践編では実務ですぐに使えそうな資料やサンプルも提供する予定だ。
是非、9月(必須)と10月か11月のいずれか都合の良い日に参加してもらいたい。
余談になるが、世界で最もマイナンバーが進んでいる国をご存じだろうか、大前研一氏の話だとバルト3国の中のエストニアだそうだ。(実際に訪問し、システムの完璧さに驚いたそうだ。)
特にエストニアが有名なのは「eガバメント(電子政府)」だ。国民はICチップの入ったIDカード(身分証明書)を所持することで(所持率は90%)その国民DBからすべての行政サービスを受けられる。
さらに今では、国民IDのチップを格納したSIMカード入りのスマートフォンで、eガバメントポータルへのログインや電子文書への署名も可能になっている。スマホさえあれば、選挙の投票も、世界中どこにいても1週間前からできてしまうのだ。
しかし、実際にエストニアを訪問した際に、さすがの大前氏も驚いたことがあった。それは国が国民の銀行口座まで全部把握していることだった。(日本政府もエストニアを見習い国民の銀行口座をすべて把握することを目標にしているのだろうか。)
そのためエストニアでは銀行口座側から家計簿が自動的に組み立てられ、税金も自動計算になるので、企業も個人も納税の申告をする必要がない。
従ってエストニアでは税理士、会計士が不要になり、その職業は消滅したそうだ。我々税理士も将来はエストニアのように淘汰される時代は近いかもしれない。
そのような時は自分の権益を守ることに力を注ぐのではなく、どのような時代がきても頼りにされる分野をしっかり強化しておきたいと思う。
時代の流れに負けない経営を目指し共に頑張りましょう!応援しています。
2015年8月30日(日) 著者 千葉和彦