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2015年6月24日 (水)

経営者保証が外れる?

   当社の関与先さんのA社は、今回経営者による保証をA社の経理部長の活躍により、借り入れのあるすべての金融機関から外した。経理部長の迅速な対応は大変評価されるものでした。

 

おかげで、社長交代をしたばかりの新社長は安心して経営に邁進できることになり、保証が外れた前社長は「これで安心した。今までは仕事一筋だったので、これからは、のんびりと世界一周旅行にでも行きたい。」と笑顔で話し、この度引退されました。

 

「経営者保証に関するガイドライン」は昨年2月より適用されています。

 

経営者の個人保証について簡単に説明すると

 

① 法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと。

 

② 多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万~360万)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること

 

③ 保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
などである。

 

つまり、これまでの経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援することを目的として、国がガイドラインを示したのだ。

 

もちろん法律ではないので、金融機関に対しても強制はできませんが、無視するわけにもいかず、条件の揃った企業から申し入れがあった場合には、認めざるを得ません。

 

この情報を先日セミナーで取り上げましたら、さっそく翌日取引銀行さんに交渉し、保証を外してもらったという社長さんがおられました。

 

社長の話では、その銀行では初めてだったそうです。その話を聞いた別の社長が、じゃあ俺もと、銀行に行って交渉したところ「残念ながら、御社では難しいですね・・・」とけんもほろろだったそうです。

 

決算書には社長貸付が多額に計上されており、上記①に述べたように個人保証を外す条件として法人と個人の明確な分離がなされていないことが拒絶された理由のようでした。

 

 すなわち、しっかり黒字を出しながら、法人と経営者の関係を明確に区分、分離しなければならないのです。具体的には、法人と経営者の間の資金のやりとり(役員報酬・賞与、配当、オーナーへの貸付等をいう。以下同じ。)を、社会通念上適切な範囲を超えないような体制を整備することが重要になります。

 

特に昨今は、経営者保証に頼らず、財務状況や経営成績の改善を通じて、信用力・返済能力を向上・強化させることがますます重要視されてきております。

 

 法人個人の一体性の解消に努めるなどして、体制を整えることで、是非保証をはずしてもらえるように、根気よく交渉をしていこうではありませんか。

 

そうすれば、事業承継でも次期後継者が連帯保証を引き継ぐことがなくなり、スムーズに社長交代もできることになるのです。応援しています。

 

2015年6月22日(月)  著者  千葉 和彦

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