年商の壁
今年度初めて(通算では72回目)の「将軍の日」(中期五ヶ年計画教室)を今月開催した。
業種の異なる三社の社長が、一日缶詰になり、頭を捻りながら最後には自分の手作りの五ヶ年計画書をお持ち帰りいただいた。
体は大変疲れたことと思うが、皆さん目を輝かせ、生き生きした表情で笑顔をこちらに向けて感謝の気持ちを述べて帰られた。主催者冥利に尽きる至福の時でもある。
そして今日の日をさらに生かすために、ぜひ行動を起こしてもらいたいと願いながら、後ろ姿を見送った。
経営計画で大事なことは、5年後のビジョンを明確に打ち立てることは当然のことながら、年間計画にしっかり落とし込み行動計画を綿密に立てることである。そしてその行動計画が予定通り実践できたかどうかをチェックしながら進んで行くことである。
しかし計画は立てるだけでも大いに意義がある。何故なら自社を知るためには経営計画をたてることが一番の近道だからだ。経営計画を立てることで、自社の強み、弱みをじっくり検討し、知ることになるからである。
かの有名な今は亡き経営コンサルタントの一倉定先生は、「経営計画以外に、会社全体を知る手段はない」と言い切っている。
ところで5年後の売上目標を5億円以上に設定しながら、その目標を達成できる社長は少ない。日本で売上が5億円以上の会社はわずか5%に過ぎないのもうなずける。
経営において売上5億円はとても厚い壁なのだ。売上5億円までは社長一人の営業力でいける限界の数字ともいえる。
500億円クラスの売り上げの会社をいくつも作ったS社長は売上5億円越えの秘訣をずばり「組織力」「間接部門の重視」と言っている。
社長一人の営業力では限界があるので、社長に近い力を持つ幹部を育てて組織を作る。間接部門は経理、法務、総務部門である。その間接部門を軽視しないことだ。
中小企業の社長は上記の二つがとても苦手な方が多い。組織力と間接部門の軽視が中小企業の社長の特徴ともいえる。また強い組織を作るためには当然優秀な人材が必要だ。
そう言うと必ず、うちのような中小企業には良い人材は来ませんよという社長が多い。S社長に言わせると、中小企業の社長は、人が集まらない、集まらないと言いながら集める努力を何もしていないのではないか、せいぜい求人広告を出すくらいで、あとは良い人材が来るのをじっと待っているだけでは良い人材は取れないと話している。
S社長は、たとえ飲み屋ででも会社に来たセールスでもこれは使えると思ったら積極的にスカウトするそうだ。一流の大学にも他より少し高い時給で「面白い仕事を一緒にやらないか」と求人を出し、その中で優秀な人材を正社員に登用していくそうだ。
さらに間接部門に至っては、経理を外注に出すなどしている間接部門軽視型の社長が多い。そのような会社は決して5億円の壁は超えられないと話している。
中小企業の社長は営業や技術出身の社長が多いためどうしても経理や総務を軽視しがちだ。売り上げがどんどん伸びてくると社長は強気になる。社内の雰囲気もイケイケドンドンで盛り上がっており面と向かって社長に反対をできる社員もいなくなる。
そのような時、冷静に経理部門は①社長の予測通りに売り上げが伸びたケースと②売り上げが伸びず現状のまま行ったケースと③売り上げが下がったケースの三通りのシミュレーションを示してあげるのである。社長は③のケースを見て我に返り、過大設備投資を控えるのである。
経営には「まさかの坂」がつきものだ。そのような提案、アドバイスができるのは経理部門しかない。組織力を強化し、間接部門を戦略的に活用し、高い志、ビジョンを掲げ、会社全体で共有しながら売り上げの壁を乗り越えようではないか。
2015年4月28日(火) 著者 千葉 和彦
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