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2014年12月 1日 (月)

「信託」の活用②

  「信託」の活用が大分話題になってきているが、実践されている方はまだまだ少ないようだ。

この分野については、我々税理士でさえも先日やっと研修会が実施されたような状況で、もちろん詳しい人は少ない。また信託は税務と信託法という法律にまたがるなかなか厄介な仕組み(制度)なので、これを活用するとなると、信託に詳しい司法書士の協力が必要となるが、司法書士さんにも詳しい人はほとんどいないという状況だ。

そのような中で私は昨年からこの信託の活用について、勉強をしてきたが、知れば知るほど信託の柔軟性に感動すら覚え、10年後には欧米と同じように、信託を利用することが常識になるのではという確信を持つようになってきた。

問題は実務の方だが、幸いにも提携している司法書士さんも信託の活用について勉強していたとのことで、今、一緒に「不動産管理信託」を実行するために準備中だ。

 今回の「不動産管理信託」は法人を活用する。すなわち甲さんが甲さんのご子息の不動産管理法人乙(自社の不動産を管理するだけの同族法人である)に、甲さん所有の不動産の管理を信託する方法だ。

この場合、委託者は甲、受託者は乙の不動産管理法人、受益者は甲さんになる。甲さんが亡くなった後は、丙というご子息に受益権を引き継がせることまで、信託契約で決めておく。そうすれば生きている間は今まで通り、甲さんが不動産収入を得るので、表面的には何も変わらない。もちろん税金もかからない。

ただ高齢になり、万が一認知症などになった場合などにその本領が発揮される。甲さんが認知症になれば、その不動産は簡単に修理したり、売却したりできないが、信託にしておけば、乙の判断で修理も売却もできるのだ。

しかも死亡した場合は、丙に受益権が引き継がれ、その時点で不動産の相続と見なされるので、遺言に代わるものになる。この信託が「遺言代用信託」とも言われる所以だ。

 今年「障害者信託」と「受益権複層化信託」を提案し、実行した。障害者信託とは、障害を持つ子の将来のために信託会社に金銭等を信託し、受益者を子として、子が将来にわたって金銭を支給してもらう契約だ。

親から子への障害者信託は特別障害で6000万円まで、普通障害で3000万円までが非課税、この金額がまるまる親の財産から消えるので、相続税対策としても効果が高い。

しかし、お気づきだろうか?金銭を定期的に支給するし、手数料もかかるので元本は確実に減っていく。親にしてみれば元本をできるだけ減らさない方法はないものかと考えるのは自然だろう。

これについては、なかなか引き受けてくれる信託会社がなかったが、投資信託を組み、その投資信託を信託する形で引き受けてくれる信託会社をやっと見つけることができたので、ある程度解消できた。

当然運用益が元本を下回るリスクはあるが、うまく運用できた場合は元本を減らすことなく長期に渡って障害を持つ子への配当が可能になった。

 「受益権複層化信託」はかなり複雑な信託契約になり、まだまだ世間では賛否両論なので、この場での詳しい解説は控えたいが、自社株が高くなりすぎて、打つ手が見つからないときには、一考する価値があると思う。

ただし、過去でもこれからでも一定の配当をし続けていることが前提になる。詳しい説明はセミナーでしたいと思うので、興味のある方は、是非セミナーへの参加をお待ちしています。早いものです。

今年も余すところ一か月になりました。健康に気を付けながら年末を一緒に乗り切りましょう。

 

2014年11月27日(木) 著者 千葉和彦

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