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2013年10月31日 (木)

富裕層を目の敵にした税制はやめよ

10年ほど前に太田晴雄という経済評論家の勉強会に参加したことがあるが、その時先生は自分の財布の中に日本円よりもドル札、ユーロ札を多く入れていた。

その訳を尋ねると「私としては、日本円だけ持っているあなたたちの方が信じられない。」と言われた。先生は日本経済は破綻せざるを得ないので、いずれ預金封鎖がなされるだろうという見解だった。

太田先生が言っていた預金封鎖はまだないものの、日本の借金は着実に膨らみ現在1000兆円を超えている。企業経営では借金は年商の半分までと言われているが、日本国の年商にあたる税収は約50兆円だから年商の20倍の借金になる。企業ならリスケをして、借金をカットしてもらうか、破産する以外に生き延びる方法がない。

ならば、約1400兆円と言われている日本国民の預貯金を封鎖して、国民から取り上げれば危機は避けられる形にはなる。あながち預金封鎖も冗談とは言えない。国はそうなる前に少しでも税収を上げなければならない。その最初の政策が今回の消費税アップなのだと思う。

昨今の日本の税制改正の流れを見ていると、それは「格差是正」という美辞麗句の名のもとに富裕層を目の敵にした政策と思える。

資本主義経済の自由競争の中にあっては自助努力でその差は縮められるべきものと思う。国がするべきことは、その自助努力が報われる機会の平等を促す仕組みを作ることであって、あるところから取り上げ、ないところにばら撒き、結果、平等にするというような短絡的なものであってはならいと思う。

歴史を紐解けば、富裕層に対する税金が軽い時代に文化が発展するようだ。自分の家に才能豊かな書生さんや芸術家の卵を大勢下宿させ面倒を見て、やがてその者達が文化や芸術のレベルを押し上げていくからだ。今の税制ではそのような余裕のある富裕層は見かけられない。自分のことで精一杯だからだ。

富裕層は所得と資産の両方から搾り取られる。所得税の最高税率は、平成27年からは55%(所得税45%、住民税10%)に上がる。稼いだ所得の半分以上が税金に取られる。相続税も同じく最高税率55%になる。これを異常と思わない感性が私には不思議だ。必死に昼夜を徹し働き、稼いだ所得の半分以上持っていかれ、さらにその残した半分にまた税金がかけられ半分持っていかれる。

仕事柄私の顧客には世にいわれる「富裕層」的な人が多い。どのかたも温厚で人柄もよく、決して見栄も張らず、質素で堅実である。先祖代々残された資産を減らさないようにと、自らは贅沢を控えている人がほとんどだ。国は何故そのような人たちを悪人のように目の敵にして税金を搾り取ろうとしているのか不思議だ。副島隆彦氏の「税金官僚から逃がせ隠せ個人資産」が話題になっているが、それを実践されないためにも国はもっと国の将来を見据えた税制を考えるべきだと思う。

我々日本国民はこの国がどの国よりも好きだし、誰もが国の力になりたいと考えているのだから、もっと国民を信用してほしいと思う秋の夜長である。

2013年10月26日(土)  著 者   千葉 和彦

2013年10月 1日 (火)

今企業に求められているもの

建国わずか237年のアメリカでデュポンは創業200年を超えている。

デュポンといえば、20年程前、東京の麻布で一部屋10億円というマンションに一人住まいされている方と研修で知り合い、食事に招待されたことを思い出した。その方はもう一部屋を所有されており、その部屋はデュポンという会社に社宅として月100万円で賃貸していると話されていた。そこに住んでいるのは日本支社の部長さんと聞かされ、何か凄い会社だなと思った記憶がある。

デュポンは、ナイロン、テフロン、ライクラなど、革新的な製品を次々と生み出した研究開発に強みを持った企業であることで有名だ。今日までデュポンが生き残った理由としては「会社が変化すべき時には、自らが進んで過去と決別するDNAを持っている。」(ホリデー会長)に表現されるように、変化を尊ぶ企業文化が醸成されてきたことだ。

日本にも200年以上生き残ってきた企業が約3100社あるが、いずれもその生き残りの原因の共通点は、伝統を守りながら、環境の変化に敏感で、過去の成功体験に拘らないところだ。

何故このような話をするかと言うと、今ほど企業に「革新と変化」が求められている時代はないからである。アベノミクスによるインフレへの導入政策は着々と進められているが、世はまだまだデフレ経済である。このデフレ経済は少なくても3年間は続くものと見られる。デフレ経済を前提にした経営計画はどう考えたら良いのだろうか?

例えば、同業種で年商約1億円、経常利益1000万と同じ規模のA社長、B社長が来期の経営計画を立てたとする。A社長は来期の売り上げ目標を1億1000万、経常利益1100万と立て、B社長は売り上げ目標15000万経常利益1500万と立てた。(もちろん緻密な行動計画に数字は根拠づけされたものである。)さて5年後成長しているのは、どちらだろうか?あなたが社長ならと言う立場でじっくり考えてほしい。

異論のある方も多いと思うが、正解はB社長の経営計画だ。何故ならA社長の経営計画はコストをかけない小さな「改善」に重点が置かれており時代の変化に対応しきれない恐れがあるからだ。

ところがB社長の経営計画は、かなり大胆だ。それを実現するためには、一旦旧制度を全部壊して新たに造るという思考を持たなければならないからだ。すなわちまさしく「変革への挑戦」が試される。かなり思い切った行動をとらなければならない。

そもそもインフレ経済とデフレ経済では戦略が違う。インフレ経済では、何だかんだ言っても金のある奴が強い。金がない中小企業が、一緒になって打って出るのは危険だ。むしろ大企業の戦略にうまく便乗する「便乗商法」くらいで丁度良い。すなわちコストをかけない「改善戦略」だ。しかし、デフレ経済ではこの「改善」だけでは生き残れない。大胆な「革新」が必要とされるのだ。

今は、一度全部壊して新たに造るというくらいの勇気が必要とされている時代であることを肝に銘じて戦略を練ろうではないか。応援してます。

2013年9月29日(日) 著 者   千葉 和彦

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