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2013年8月29日 (木)

うちの会社税金払い過ぎ?

「うちのような小さな会社で、経常利益を1000万円も出して税金を払っている馬鹿が、他にいますか?利益出しすぎと思うのですが・・?」

とある会社の社長がセミナー終了後、少し顔を紅潮させて私に話しかけてきました。以降、社長と私の会話です。

私「社長の会社は全員で何人社員がおられるのですか?」

社長「うちは10人だけの小さな会社ですよ。それなのにうちの顧問税理士ときたら事前に何の節税の提案もしてくれないのだから・・・。」

私「確かに中小企業の黒字企業の平均経常利益は社員一人当たり67万円というデータが出ていますので、社長のところは、平均より上回っていますね。」

社長「やっぱりそうだろ。まったくうちの税理士ときたら・・・。」

私「しかし社長、お言葉ですが、私がさっき言ったのは黒字企業の平均で、これが優良企業となると社員一人当たりの平均経常利益は200万円というデータもあります。その基準からいくと、御社は10人ですから2000万円利益でてもおかしくありません。経常利益1000万円は決して出しすぎではありませんよ。社長の会社が優良企業に近づいているということではないですか。」

社長「そうですか。そう話していただけると納得できますね。」

私「社長、節税することも大事ですが、来期は優良企業の平均を目指し、一人当たり200万円の経常利益、全社で2000万円の経常利益を目指しましょうよ。」

社長「うーん。そう言われて見みれば、利益を減らすことばかり考えるより、なんか前向きで、ちょっとワクワクするね。」

私「社長、そうこなくちゃ。しっかり利益を出し、払うべき税金をしっかり払い、内部留保のしっかりした強い会社にしていきましょう。」

社長「そのためには、どう節税するかより、いかに利益をだすかですよね。先生、まずその経常利益を出すには年間の売上目標をいくらにすれば良いのですか?」

私「年間の固定費合計に経常利益2000万円を加え、それを限界利益率で割り戻せば、目標売上はすぐに出せます。」

社長「目標売上はいいんだが、それをどうやって達成するかが難しい。売り上げを伸ばしたいと経営者なら誰でも思っているが、相手があることだから・・・。いったい何から手をつければいいか頭が痛いですよ。」

私「社長のおっしゃる通り、売り上げを伸ばすのは、言うは易く行うは難しですよね。まずは売り上げの構成が、単価×数量であるという原点に立ち返り考えてみてはいかがですか?いかに単価を上げるか、いかに数量を伸ばすかに分解して考えてみることです。経常利益を生み出すには、いかに売り上げを上げるか。いかに変動費を下げるか、いかに固定費を下げるかの3つしか戦略はありません。もちろん、それら3つを同時に進めなくてはなりませんが、一番経常利益に大きな影響を及ぼすのは、単価すなわち売価です。売価を安易に値引きせず、いかにして上げられるかに集中して考えてみてはいかがでしょうか。」

社長「確かに分解して考えるとわかり易いね。方法を考えてみるよ。」

そこには、不満いっぱいだった社長の表情は、すでになく、活き活きとした表情に変わっていました。そして去っていく社長の後ろ姿が、なぜかいつもより頼もしく見えました。社長頑張れ・・心の中でエールを送りながら私もその場を離れました。

2013年8月29日(木) 著者 千葉 和彦

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