友遠方より来る。その2
前回の約束の通り、今回は彼が出席した協力会社の社長のご子息の結婚式の話をしたいと思う。
その結婚式には日本を代表するメーカーの社長も出席していた。
まずその社長が自ら出席していたことに彼は驚き、超がつくほど忙しいのは周知のことなので、挨拶だけで帰るのだろうと思ったら、最後まで参加していたことにも再度驚いたそうだ。
しかも余興が始まると「私が指揮をしますので、参加者の方は、3グループに分かれて、私の指揮に従って、おめでとう!を順次、繰り返してください。」と率先して、おめでとうの大合唱で場を盛り上げたそうです。
彼はその社長の気さくな人柄に感心するとともに、この限られた時間で、その場を盛り上げようと一生懸命取り組む姿は会社の経営全体にも影響しているのだと、その社長の取った行動に感銘したそうだ。
と同時に、自分は勿論、我が社では到底まねできないことだとも思ったそうだ。
簡単に真似できそうで、できないことがある。恐らくその会社は社風全体、社員の一人一人にまで、その置かれた環境で自社に取って利益になる自分のできる最大限の行動は何かを考える習慣ができているのではないだろうか。
経営者と言われる人は、どのようなところにいても、自社を良くするために最大限、自分ができることを必死で考えなければならないし、それができる経営者だけが生き残っていくのだ。
丁度、お盆中に大前研一氏の「考える技術」を読んだが、その内容とも一部相通じるところがあり、感慨を深くしたのである。
経営者は現場からの報告を鵜呑みにすることなく、自らの目で現場を見に出かけ、考えなければならない。
そして、自らの頭で、寝ても覚めても考え続けられる人が、生き残れる経営者なのだ。
しかし、ただ「考え続けろ」と言われても、何をどのように考えれば良いのか・・・それには、やはり「目標設定」が一番良い。
その目標も自分が精一杯、背伸びして届きそうな目標を設定することが重要だ。低い目標設定は勿論、高すぎる目標もだめだ。
「目標は高ければ高いほど良い。今の自分には、成し得そうもない目標が丁度良い。何故なら、その目標を達成するのは、今の自分ではなく、成長した自分だからだ。」と言う先生もいるが、我々凡人にはなかなか難しい目標設定の仕方だ。
まずは何とか努力すれば届きそうな目標設定が重要なではないだろうか。
言い換えれば、目標を設定した段階で、その目標を達成するための戦術の7割くらいが、ぼんやり描けるものが良い。
目標達成の予感を自分で感じるものが丁度良いのではないだろうか。
新日鉄の元会長の武田豊氏は大脳生理学の研究でも有名であるが、武田氏の説明によると、創造は偶然から出てくるものではなく、「目標を設定しなければ創造は絶対でてこない」ものだ。(武田豊著「管理者に必要な心の分析」)そうだ。
とすれば、社長は、自分の企業の将来の成長目標を、ありありと描いておかなければならない。そうしないと、いつまでも社長としての創造性を発揮できずに、企業は衰退の道をたどることになる。
そうならないためにも、是非「目標設定」から「経営計画」を立て、将来への我が社の道筋をつけようではないか。
2012年9月29日(土) 著 者 千葉 和彦