あの震災から1年経過・・各社の業績と今後の方向性
あの震災から一年が経過し、関与先である地元の企業も続々と決算を迎え始めた。
震災の傷跡が深く、復活にはまだまだ時間を要する企業もあれば、復興の特需的なものもあり、好決算を迎えている業種もある。特に建設関連はかなり業績が上がっている。
しかし、今回好業績の企業であっても、バブル後の厳しい時期を苦しんできた経験から手放しで喜んでいる経営者はいない。
逆に、復興後の会社のあり方を見つめ、この業績の良い時に社内体制を固めて、来るべき時代に備えようと必死だ。
それは最近当社の5カ年計画作成教室の「将軍の日」への参加の多さからも理解できる。以前は、経営計画の重要性を説明し(失礼ながら、首に縄を付けるくらいの気持ちで)参加していただいたのに、最近は自主的に参加され、真剣に経営計画に取り組んでいる経営者の方たちを見ていると、その思いを強く感じるのである。
身近に迫った決算対策では、少しでも税金等の社外流失を抑え、会社内部に資金の留保を計りたいと考えるのは経営者として当然のことだ。
あるオペレーティングリースの営業の方が「今までは月に一度しか宮城県に来なかったが、最近では毎週来ている。」と話していた。それだけ課税の繰り延べの引き合いが多い証拠だろう。
課税の繰り延べには、福利厚生をかねて活用される「生命保険」がある。保障よりも財務の機能を優先すると、年払い時に全額損金計上ができ解約時に戻りの高いものほど使い勝手が良い。しかも、早い時期に解約返戻率が上がるものが好ましい。
そうして保険の種類をみると、文句なしに、がん保険が一番そのニーズに合っていたが、今月の27日に国税庁から通達がだされ、4月27日以後の契約は半分しか損金に計上できなくなった。残念ながら今後の契約は、他の保険同様の税の繰り延べ効果になる。
これからの保険契約の仕方は、本来の保障と税の繰り延べ効果とのバランスを取りながら、役員報酬や設備投資などを踏まえた経営計画を立てながらの効率の良い資金の内部留保作戦がますます重要になると思う。
さて今年は団塊の世代が一斉に65歳を迎えるが、この世代には当然経営者も多いため、これからの10年間は経営承継の正念場を迎える。
中には、今まで業績が悪くて退職したくてもできず我慢してきたが、この機会に退職して後継者に経営を譲るという動きも多くなってきたように思う。業績が良い時、あるいは上がりつつある時は、経営承継の良い機会でもある。
是非この時期に「役員退職」を検討されてはいかがだろうか。役員退職に伴い支給される「役員退職金」は、過大退職金とならない限り全額損金計上が認められ、しかもその退職金を受け取る役員個人の所得税も低いため、他の報酬より手取り額は大きくなるからだ。そう言うと「退職金を出したいけれど、会社にそんなに資金がないよ。」という声が聞こえてきました。
次回は「役員退職金」の上手な出し方、活用の仕方について解説します。あきらめず、考えれば必ず道は開けます。
2012年4月30日(月) 著 者 千葉 和彦
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