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2011年11月 7日 (月)

お客様は誰ですか? -その①

 いつも成績がトップの高校時代の私の友人が医者を志望し、国立の医学部を受験した。結果は残念ながら不合格。友人が生まれて初めて味わった挫折感。第二志望の国立の工学部に入学した。試験に失敗したとき、彼は「試験に落ちてよかった。俺みたいな人間が医者になったら、ますます人を見下していただろう。俺も周りも良かったと思うよ。」少しタカピーなところのある友人でしたので、私も内心「確かに」と納得しました。

 今でこそ、威張り散らしているお医者さんは見かけなくなりましたが、当時はどちらが客か(アメリカでは、患者さんのことをカスタマー{客}と言います。)わかりませんでした。皆さんもいろいろ思い当たるのではないですか。どうも先生とか師匠といわれる職業にこの勘違いは生じやすいようです。医者・各士業の先生方(弁護士・会計士等々・・・)・和尚さん・政治家・先生・お師匠さん・・・私の周りを見渡してもすぐに浮かんできます。

 すべてのビジネスは顧客で成り立っています。かの有名なドラッガー博士も「企業の目的は、顧客の創造である。」と話しています。どんなビジネスも無人島では成り立たないことを考えれば当然ですね。

顧客あってのビジネスということに異論を唱える人はいないでしょう。そのことから「どんな大会社の社長よりお客様は偉い」「お客様は神様です。」何でも要求に応えてあげなくてはならないと極端な主張をされる方もいます。しかし、そもそも売り手と買い手の関係に上下はありません。商いは昔から売り手と買い手は五分五分の戦いなのです。必要以上にペコペコ、揉み手などする必要はないのです。

 前記の先生方も上から目線を捨て、対等に接していただければすむことです。いまだに「税金をごまかして、安くしてくれるのが、税理士の役割だろう。お前は税務署の手先か」などと言う社長がいますが、きっぱりお断りしながら社長を説得します。社長に、嫌われても結局はその方がその会社のためになるからです。本当にお客様のためになることを、販売やサービスを通して実現させ、お客様から感謝・感動していただくことが本来の意味での「顧客第一主義」です。 

 では、顧客とは誰のことを言うのでしょうか?それは、ずばり「企業が提供する製品・サービスの価値を認めて購入しようとしている人」と考えます。すなわち、その方はその価値を認めながら、購入の決定権を持つと同時に支払い能力もある方ということになります。 

誤解を恐れずに言えば、小児科医のお客様は、患者の子どもさんではなく、お母さんやお父さんということになります。だからと言って、子どもの患者さんをちゃんと診察しないで、お母さんとだけコミュニケーションをとってもだめです。きちんと患者さんを見ながら、そのお母さんと意識してコミュニケーションをとり安心していただくということが重要です。

当社のお客様が顧問先の社長さんだからと言って、社員の方々に嫌われたのでは、結局社長にも嫌われることになるからです。まずは、貴社のお客様は誰か・・この機会にじっくり考えてみましょう。そしてそれぞれの顧客が明確になりましたら、いよいよ一緒に経営戦略の第一歩を踏み出しましょう。…その②に続く…。

2011年10月31日  著者  千葉 和彦

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