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2011年10月 3日 (月)

自利利他の精神で

 当社の朝礼では、倫理研究所の「職場の教養」を毎回全員で読み合わせています。

今日は、「人の喜びはわが喜び」というテーマでした。内容は店長や従業員の様々な心配りが、地域の人たちの信頼を得て繁盛しているスーパーの話です。

その内容を抜粋しますと「例えば雨が降ると、商機と捉えて、ビニール傘を店頭で販売する店が多いでしょう。ところが、このスーパーでは店の入り口に傘を用意し、『ご自由にどうぞ。ついでの時にお返しください』と貼り紙をし、ビニール傘を貸してくれます。店主は『人の弱みに付け込む商売はしたくない』と言います。お客様を大切にする真心から、傘を無料で貸し出しているというのです。

それでは損をしてしまうと考える人もいるでしょう。しかし店主の思いに感謝をしたお客様は、きちんと傘を返しに来るのです。そして、喜んでまた買い物をして帰るのです。」目先の利益よりも、どうすればお客様に喜んでもらえるかを考える店主の心に、感動です。

 ある地方都市に地域住民の圧倒的な指示を得ている建設会社があります。その会社の経営理念は、「正直・誠実な心でお客様の生涯利益を実現する」というものです。行動原則には「判断に迷ったら、自社の利益とお客様の利益を天秤にかけ、常にお客様がトータルで得する方を選べ」というものがあります。

ある日、地元のリゾートホテルから浴槽取り換え工事を依頼されました。それを聞いた担当社員は、これは大きな金額になると思うと同時に、自社の事業理念を思いだしたのです。「そうだ!ここは商売を度外視して、お客様の生涯利益だけを考えよう。それがうちの理念なのだから」と。

そう思うやいなや、考えを巡らし、顧客の生涯利益実現にとって最適な方法を考え始め、すぐに結論がでました。それは「浴槽を掃除する」ということでした。「この浴槽は年季の入ったものだが、掃除すればまだまだ使える。掃除することできれいになれば、宿泊客からも文句はでないだろうし、ホテルにとってもコスト削減になるだろう。当社の利益は格段に少なくなるけれど、それが行動原則なんだから・・・」と思ったのです。

当然社長の許可などとらず、そのことをホテルの副支配人に提案すると同時に、自ら浴槽を掃除し始めたのである。結果は、ホテルも驚くくらいきれいな仕上がりになりました。そして、代金一万数千円だけをいただいて帰ってきました。浴槽を交換すれば100万円の仕事になっていたはずなのに、それを一万数千円の売り上げだけで帰ってきたのです。

それに対し、社長は「よくやった。掃除だけで済むのなら、浴槽を取り換える必要なんてないからね。たぶんお客様もムダな出費を抑えられたから喜んでくださっていただろう。」と、その社員を褒め称えたのです。後日、その社員の行動に感激したそのリゾートホテルから、数千万円のリニューアル工事一式の発注がありました。その建設会社は、まさに今も「受注の嵐」の中にいるのです。その会社のホームページを開くと「私たちは、お客様に“幸せな人生”を売る会社です。」と謳っています。

私も改めてこの「自利利他」の精神を見習い進んでいきたいと思いました。

2011年9月27日 著 者  千 葉  和 彦

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