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2011年3月 2日 (水)

きれいな決算書

 今月は3度のセミナーの講師をさせていただいた。一つは、㈱青雲様主催で「きれいな決算書を作る決算対策法」、次に有志のお医者様の集まりで「上手な医院の辞め方」最後に毎月恒例の当社の「第152回オーナーズセミナー」で「生き残る企業のための秘訣」のテーマでした。
どのセミナーも熱心な受講者の熱気に圧倒されながらの講義となりました。 

 さて困ったのが、「きれいな決算書」です。きれいの基準を何にするかで、私はとりあえず、今回は、金融機関から債務者区分の「正常先」として認められる決算書を基準にすることにしました。

周知の通り金融機関は「自己査定」と称して毎年、取引先全社に点数をつけて格付けしているわけですが、当然スコアが高ければ高いほど優良企業の取引先として、金利も安くなり、担保や保証人の条件も緩くなります。

融資が正常に行われるのは原則「正常先」に限られるわけですが、その中でも更に細かく格付けがされています。某都市銀行では10ランクで7ランクまでが正常先ということです。しかし、ハードルは高く、どんな地元優良企業でも5か6のランク止まりのようです。安易にリスケを行ったりしますと、すぐに「要注意先」の仲間入りするわけです。そうしますと、追加融資は、受けにくくなり、金利も上昇します。

今回の当社の菅原のレポートにもありますように、「借り換え」の活用などで、毎月の返済額を減らすなど工夫した方が有利になります。そこで問題の「きれいな決算書」ですが、金融機関が嫌う「仮払金」や「前払金」などの雑勘定は、整理して消しておくことと、社長との貸し借りもできるだけ整理することが必要です。

ただし、返してもらう気のない社長からの借入金でしたら、資本と見てもらうことも可能(某都市銀行さんに聞きましたら「うちは見ません。」と一蹴されましたが・・・)です。その際少しでも社長に返済してしまいますと駄目ですので、返す予定のある分は「短期借入金」とし、返す予定のない分は「長期借入金」で分けておくと良いでしょう。
差入保証金や含み益のある保険などは積極的に注記して評価アップにつなげましょう。
しかし、どんなに会計上「きれいな決算書」でも中身が伴わなくては、「正常先」には入れません。まず

①貸借対照表上、必ず自己資本がプラスであること。
②売掛金や貸付金、在庫などを時価評価した場合でも自己資本がプラスであること。
③損益計算書上は「経常利益(利息支払後の利益です。)」がプラスであること
…営業利益もプラスであることが重要ですので、定款の目的に追加するなどして、地代家賃など雑収入の中から、売上に昇格できるものはないか、などを考えることも必要です。
④債務の償還年数が10年以内であること
⑤借入金が年商の2分の1以内であること

・・上記5つのことが伴わなければ、金融機関から見て、いつでも融資できる「きれいな決算書」とはいえないようです。
つまりは、きちんと毎期利益を出し、自己資本を蓄積した会社が良い会社というありきたりの結論になってしまいますが、
まずは、この「きれいな決算書」を目指し、しっかり、毎日の経営を行っていくことが最重要課題ですね。
是非、一緒にがんばりましょう。

 2011/2/28  著 者  千 葉 和 彦

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