過大設備投資
どんな経営者の悩みも、「人と金」に集約されます。現預金はどのくらいあればいいの?
借金はどのくらいまで大丈夫なの?設備投資は年間どの程度していいの?優秀な人材を確保するにはどうしたらいいの?社員のモチベーションを上げるにはどうしたらいいの?等々です。その中で今回は、特に設備投資について考えていきましょう。
倒産の直接的な引き金のほとんどが、支払手形の不渡りです。手形を振出していなければ、債権者にお願いして支払日を延ばしてもらうことも可能です。そのようにして過去何度かの危機を乗り越え、現在優良企業で活躍している社長さんも数多く知っています。
その不渡手形を出すに至る大きな原因が過大設備投資と不良在庫です。設備投資をしようとする時は、会社の業績が良いときです。社内にはイケイケのムードが充満しています。
特にトップの社長が一番やる気になっています。そのような雰囲気の中でストップをかけられる幹部は、なかなかいません。
私の知っている社長に、いつも強気の設備投資をされる方がいました。その度胸の良さに感動すら覚えました。しかし、その社長は、いつしか、いつも資金繰りに追われるようになってしまいました。その設備から社長が予定する収入が上がらなかったのです。
投資をしないと経営はジリ貧になっていきますが、過大投資になると話は別です。どうも社長という人種は、楽観的な方が多いようです。勿論そのプラス思考の前向きな発想で会社も大きくしてきたのだと思いますが・・・。しかも、仕入の単価には、厳しい社長でも、どうも設備の見積りは甘くなりがちです。そして社長の周りには、イエスマンと儲けたい人が集まります。銀行もどんどん後押しをしてくれます。冷静に見ることができるのは、我々のような会計事務所か経理しかいません。
是非、経理は、次の3パターンのシミュレーションを作って社長に見せてあげてください。まず①社長の希望通りに業績が上がった場合②現状維持が続いたとした場合③業績が社長の予想通りいかず、ダウンした場合の3通りです。その際、損益だけでなくキャッシュフローも必ずシミュレーションして上げて下さい。
勘の良い社長はそのシミュレーションを見て我に返り、必ず気づくはずです。③のパターンでも本業の屋台骨を揺るがさない投資の仕方をしなければならないと・・・。特に収益を生み出さない社屋等への過大な設備投資は要注意です。
設備投資が少ないと思われる我々のような会計事務所も昨今IT投資が増えてきました。どうにもシステムがわかる人間がいなので、システム会社のいいなりにならざるを得ません。しかもハードとソフトの購入費用に比例してメンテナンス料は増大していきます。IT投資はシステム会社の言いなりにならないようにしなければなりません。又個人の趣味ではないので、必要以上のこだわりも捨てなければなりません。銀行やリース会社が貸してくれるからと全額を購入費用に充ててはなりません。前の三つのシミュレーションをして、冷静に判断、投資をすすめてください。
応援しています。
2010年8月30日 著者 千 葉 和 彦
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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