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2010年6月29日 (火)

経営とはあら利を稼ぐこと

 いよいよ今月(6月)よりオーナーズセミナー恒例の3回シリーズ「決算書活用シリーズ」です。今月はP/L(損益計算書)編です。このシリーズは、いつも好評で参加者もいつものテーマより多いようです。講義開始と同時に簡単な問題を題材に、まずは、参加者の会社さんのP/Lを「変動損益計算書」(以後変動P/Lといいます。)に組み替える方法を皆で学習しました。

通常のP/Lは、外部報告用のもので、経営者が経営戦略を立てるのに向いていません。そこで変動P/Lに組み替える必要があります。この変動P/Lは、経費を売上と一緒に変動する変動費と売上に連動しない固定費とに分けて考える方法です。私は、異論のある方もいると思いますが、変動費を商品仕入、材料費、外注費に絞ってもらい、それ以外をすべて固定費と考える方法を伝えています。

 その場合の固定費は、大きく四つに分け、人件費、一般経費、金利、減価償却費とします。そうしないと、たとえば、今期は、どうも業界そのものが低迷しており、自社努力でいくらがんばっても売上が一割落ちてしまうというような場合、経常利益はいくらになるだろうか、黒字は保てるだろうかなどという疑問に即答ができません。

 ところが、この変動P/Lに組み替えることで、今期はどうしても利益1000万ないと借金が返せない。その場合の売上はいくら必要かとか、あるいは、わが社の損益とトントンの損益分岐点売上高はいくらなのかなど、さらに採用において年間500万の報酬の人間を雇い入れる場合に現状の利益を維持するには、いくらの売上が必要かなどを即時に導き出せるのです。変動P/Lは、経営上の強力な武器になります。

ところで、売上から変動費を差し引いたものを「限界利益」(通常、あら利ともいわれているものです。)と言います。この限界利益の中に固定費が納まっていれば経常利益が確保されることになります。この限界利益より固定費が多ければ当然、赤字ということになります。これが、「経営は、限界利益と固定費の戦い」と言われる所以です。そう考えていくと、当然なことですが、会社は限界利益(あら利)がないと生きていけません。そのあら利をいかに稼ぐかが、経営というものだということになります。

ここで肝心なことは、そのあら利が、いったいいつ生まれるのかということです。会計学や税法に従うと、商品やサービスをひき渡した日ということになりますが、実務上、経営上それは、明らかに間違いです。引渡しだけでは、決してあら利は生まれません。それはお金が我社に入ってきたときです。かの有名なマルクスもその著書「資本論」の中で、「商品から貨幣への命がけの飛躍」といっていることからもうなずけます。具体的に貨幣が会社に入ってこないうちは、あら利は生まれていないことを肝に銘じて、この変動P/Lの限界利益も眺めてほしいと思います。

そして何といいましても、限界利益の元はやはり「売上」です。そして「売上」の元となるのは「お客様」であることも当然です。
お客様をいかに作り出し、その数を多くしていくかが経営といえるでしょう。まずはいかに集客するか、そしていかに育成して顧客にしていくかが、ポイントです。
経営者の皆さんがんばってください。

2010年6月28日   著 者  千 葉 和 彦

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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