創業100年以上の老舗企業に学ぼう!
当社の関与先さんの中に創業100年以上の会社さん(以後老舗と呼びます)が5社ある。
規模も業種も様々だ。いずれにしても凄いこと・・・何が凄いかというと、100年以上も周囲からも社会からも支持され、必要とされ続けてきたことだ。
ある統計によると創業から10年で90%は消えてしまうそうだ。そして100年となると生き残っているのはわずか0.3%。その中に入ることは、至難の業。世界的に見ても日本はその老舗といわれる会社が多い。今現在、日本全体で、創業100年以上の会社は10万社以上あるといわれている。
野村進氏(「千年、働いてきました」の著者)によると、お隣の韓国には俗に「三代続く店はない」といわれる通り、老舗企業は一軒もないそうだ。又、中国の社会主義政権下では、「株式会社」は認められてこなかったので、設立100年以上という会社はない。ただ、漢方薬、中国茶、書道用具などで100年以上続いている老舗が日本ほどではないが何軒もあることにはあるようだ。フィリピンは、長い間、スペインとアメリカに支配され続けられ、民族資本の老舗が育つべくもなかった。タイはわずか数社を数えるのみ。カースト制度のインドは、100年以上続いている個人商店はあるけれど、「老舗企業」と呼べるもものはごくわずかだそうだ。
商売が上手で有名なチャイニーズの企業に何故、老舗企業がないのだろうか。その原因は、家長制と血縁重視の伝統にある。歴史に翻弄されてきた苦い体験の蓄積から来る、血縁以外の人間への根深い不信感・・それは「有能な他人より無能な血族を信頼せよ」という格言にも現れている。一方日本の商都・大阪には、「息子は選べないが、婿は選べる」という言い習わしがある。
大阪の問屋街として有名な船場には、娘が生まれると赤飯を炊く習慣があった。跡取り息子がとんだ“アホぼん”でも、長子相続にこだわるかぎり、経営を委ねざるをえない。これで店を潰すくらいなら、もとは赤の他人でも優秀な娘婿に任せた方がよっぽどましや。こういう日本的なプラグマティズムが、そこにはある。娘婿や養子も、血がつながっていない引け目があるぶん、頑張って店の暖簾を守ろうとする。老舗の側にしても、肉親の“アホぼん”は切り捨てられないが、婿なら辞めさせやすいし、いざとなったら離縁させたってかまへんという冷徹な計算を働かせているのだろう。同じ一族経営でも「血」に固執しなかった柔軟性と、他者を受け入れる許容力が、日本をこれだけ老舗の多い国にした一因であるに違いない。(「千年、働いてきました」より)
「血」に固執しない日本独特の同族経営が、老舗を生み出す原因のひとつであることは、間違いない。そして「企業が存続するには、大きい倫理と理念が必要」と云われるようにその意思決定の基準を「儲かるか儲からないか」、つまり「損得」に置くのではなく、「社是・社訓・経営理念」を判断基準にしてきた企業がどうやら老舗企業の共通点のようだ。
まずは、社会貢献を基本にした「社是・社訓・経営理念」作りからはじめなければならない。そしてその浸透が次の課題である。応援しています。
2009年2月24日 著 者 千葉和彦
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