雨が降れば傘を取られる。・・・肝に銘じて
昨日、地元のある企業さんを訪問しました。
社長: 「銀行がお金を借りてくれとうるさくて仕方がない。無駄な借金をして金利を支払うほど馬鹿らしいことはないので、門前払いしてやったよ。」
私 : 「社長、お金を借りてくれと言われるうちが花ですよ。この時期何が起こるかわかりませんから、考え直してはいかがですか?」
社長: 「しかし、冷たく断わってしまったんだよ。」
私 : 「一度、断わっても再度、話されてみてはいかがですか。先方からお願いされたのですから、有利な条件を引っ張れるかもしれません。私は、自分の関与先さんには今のうちに借り入れを勧めているのですよ。特に2期連続赤字では、借りにくくなりますからね。その場合、できることならちょっと金利が高くなっても、長期で借りてくだいと話してます。」
社長: 「え!運転資金は短期と決まっているのでは?」
私 : 「そんなことはありません。短期の方が銀行にとっては、融資しやすいだけです。実際、急激に売り上げが伸びている場合など運転資金は恒常的に不足しますからね。短期だと1年以内に返済期限がきて、その時点でそれ以上の運転資金の不足分を借り入れしなければならなくなります。その時、もし業績が悪かったらお金は貸してもらえません。」
社長: 「先生、いろいろアドバイスありがたいのですが、私の理想は、無借金経営です。できるだけ銀行からの借り入れはしたくないです。」
私 : 「社長、信じられないことかもしれませんが、社長のようなお考えで順調に経営されてきた会社さんですが、ある日、重要な得意先が倒産し、急に資金が必要になり、あわてて、銀行に駆け込んだのですが、銀行にとっては、新規扱いになり、融資をすぐに受けられなかったのです。銀行から借り入れをしないで済むのは、資金調達の方法が豊富な大企業と家族経営の八百屋さんや、魚屋さんしかないと思います。日本の中小企業のほとんどは銀行と上手に付き合っていく必要があると思います。トップは定期的に銀行を訪問し会社にとって、いいことも、悪いことも正直に報告しておく必要があります。月商の3~4ヶ月分以上の預金残高を常に維持しながら、借り入れも月商の3ヶ月分くらいしておきます。そうすれば、帳簿上、借金はありますが、いつでも借金を返せる『実質無借金経営』を実現できるのです。」
社長: 「そうですか。良くわかりました。かたくなに借金をしないのではなく、借金を上手に活用しながら、経営していくことが大事なのですね。」
その日の新たな出会いに感謝しながら、駐車場に向かうと、すでに日がとっぷりと暮れて、顔をなでる寒気も、気持良く、その企業さんを後にしました。
2008年12月27日 文 責 千 葉 和 彦
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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