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2009年1月27日 (火)

今経営者がなすべきこと

 昨日は当事務所の恒例の新春セミナー・・「クローズアップ現代」等への出演で有名な山口義行先生をお招きしての講演だった。

先生の講演はいきなり今の不景気は、経済を勉強してれば、2年前から当然に、推察できたはずだし、自分は何度も予測してきたというショッキングな話から始まった。更に、海の向こうのアメリカで投資銀行リーマンが破綻した時に完全に世界は変わり、時代が変わり、社会が変わったのだと話された。

経営者は経済を良く勉強して海の向こうで起きたことも自分の会社にどう影響するか常に考え、社員とその家族を守るため、常に先手を打つ努力をしなければならない。そして、そのためにも、人の2倍3倍勉強するのが経営者なのだ。そもそも仕事が良くできるのは職人と呼ばれる人であり、外のことをよく勉強して、自社の進むべき道を誤らないようにする人が経営者といわれる人で、役割が全然違うことをしっかり理解しておくべきだと続けられた。

 結論からいうと、この景気の低迷は続くだろう。余計なことをすれば却って危険、しかし何もしなければ益々危険。どうしたら良いのだろう。山口先生は経営者にとって一番大事なキーワードは「問いかけ」だと言う。すなわち、「我が社は何のために存在しているか?」「我が社の製品は本当にお客様に喜ばれているか?」「我が社の強み、弱みは?」・・・このような原点にたった問いかけは、景気が良く、業績が順調な時はなかなかできにくいものだ。不景気で順調に進んでいないときだからこそできるものだ。
そしてマスコミの情報を鵜呑みにしたりせず、しっかりと自分の頭で考えて対処することが必要なのだ。

 不景気だからと価格競争にはまっては、未来はない。価格競争に巻き込まれない「ブランデイング戦略」すなわちその価格差に意味あるものとして伝えることをいかにするかが中小企業の課題だと話され、一例として今治タオルの例を挙げた。

中国製のタオルが何百円の時に今治タオルは1万円でも売れるのだ。それは、その価格差を上手に発信しているからだ。この場合は、「5秒ルール」といわれるものだそうだ。すなわち一センチ四方のタオルの切れ端をコップに浮かべた時わずか5秒で沈むほど吸水性があることを訴えたのだ。その戦略は見事に成功し、全国の有名百貨店で発売されているそうだ。

 このブランデイング戦略こそ中小企業の生き残る道である。そうすれば、決して値段競争に、値下げ競争に巻き込まれずにすむ。そのためにも重要なのは、まずは、「問いかけ」と「勉強」である。

氏は3年後又塩竃に来た時に、「あの時先生に言われ、しっかり頑張ったおかげでこのように成長しましたと言ってくれる会社が一社でも多く現れることを期待してます。」と帰られました。

2009年1月25日  著 者  千葉和彦
 
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
    URL : http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

携帯版URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/mobile/mobile.htm

2009年1月 9日 (金)

雨が降れば傘を取られる。・・・肝に銘じて

昨日、地元のある企業さんを訪問しました。

社長: 「銀行がお金を借りてくれとうるさくて仕方がない。無駄な借金をして金利を支払うほど馬鹿らしいことはないので、門前払いしてやったよ。」

私 : 「社長、お金を借りてくれと言われるうちが花ですよ。この時期何が起こるかわかりませんから、考え直してはいかがですか?」

社長: 「しかし、冷たく断わってしまったんだよ。」

私 : 「一度、断わっても再度、話されてみてはいかがですか。先方からお願いされたのですから、有利な条件を引っ張れるかもしれません。私は、自分の関与先さんには今のうちに借り入れを勧めているのですよ。特に2期連続赤字では、借りにくくなりますからね。その場合、できることならちょっと金利が高くなっても、長期で借りてくだいと話してます。」

社長: 「え!運転資金は短期と決まっているのでは?」

私 : 「そんなことはありません。短期の方が銀行にとっては、融資しやすいだけです。実際、急激に売り上げが伸びている場合など運転資金は恒常的に不足しますからね。短期だと1年以内に返済期限がきて、その時点でそれ以上の運転資金の不足分を借り入れしなければならなくなります。その時、もし業績が悪かったらお金は貸してもらえません。」

社長: 「先生、いろいろアドバイスありがたいのですが、私の理想は、無借金経営です。できるだけ銀行からの借り入れはしたくないです。」

私 : 「社長、信じられないことかもしれませんが、社長のようなお考えで順調に経営されてきた会社さんですが、ある日、重要な得意先が倒産し、急に資金が必要になり、あわてて、銀行に駆け込んだのですが、銀行にとっては、新規扱いになり、融資をすぐに受けられなかったのです。銀行から借り入れをしないで済むのは、資金調達の方法が豊富な大企業と家族経営の八百屋さんや、魚屋さんしかないと思います。日本の中小企業のほとんどは銀行と上手に付き合っていく必要があると思います。トップは定期的に銀行を訪問し会社にとって、いいことも、悪いことも正直に報告しておく必要があります。月商の3~4ヶ月分以上の預金残高を常に維持しながら、借り入れも月商の3ヶ月分くらいしておきます。そうすれば、帳簿上、借金はありますが、いつでも借金を返せる『実質無借金経営』を実現できるのです。」

社長: 「そうですか。良くわかりました。かたくなに借金をしないのではなく、借金を上手に活用しながら、経営していくことが大事なのですね。」
 
その日の新たな出会いに感謝しながら、駐車場に向かうと、すでに日がとっぷりと暮れて、顔をなでる寒気も、気持良く、その企業さんを後にしました。
 
   2008年12月27日  文 責  千 葉 和 彦

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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