自己資本の充実を目指そう!
12年前に、負債総額220億円で倒産したS工業のS元社長は、世の経営者に対し叫んでいます。
「私のようにならないためには、貸借対照表を勉強して欲しい」と。後日、更にS社長は話しています。「我が社に一人でも貸借対照表が読める社員がいたらこんなことにならなかった。」と。
事業で利益が出てくると、誰でも「何故こんなに納税しなければならないのだ。」と言う気持が沸き起こってきます。そして「何とか節税する方法がないものか?」と周囲の人たちに相談しまくります。
そこで節税コンサルタントの悪魔の囁き・・「そんなに納税するのは馬鹿だよ。社長がそんなに納税してもどうせ国は無駄遣いばかりするのだから。社長の同業者のあの社長なんか僕のアドバイスでほとんど納税してないよ。それでも社長と同じように低利の公的融資を受け、社長よりずっといい家に住んで、ずっといい車に乗って、堂々と国の道路を飛ばしているよ。公的サービスは誰でも一緒だからね。」と。
S社長は、そんな甘い囁きにのせられて、億を超える接待用のヨット、社用車として最高級車、社員の福利厚生用の山荘を次々に購入したそうです。S社長は後に話しています。
「まさに、節税という名の無駄遣いをしただけだ」と。もし自分が当時、貸借対照表を理解していたら、きっと「5年後には自己資本比率40%以上にしようというような目標を掲げたはずだ。」
そして、「その目標を実現するためには、そんな無駄遣いはしなかったし、できなかったはずだ」と。そうです。会社の自己資本を充実させるには、まず利益を出し、そこから税金を支払い、その残った利益を蓄えていくことが基本です。
私が、10年前に関与した時、自己資本比率7%しかなかった関与先さんですが、着実にそのことを実行し、前期末で何と40%を達成しました。私が「社長、今期もこんなに利益が出そうです。車とパソコン買い換えましょう。」と話しますと
「先生、パソコンも車もまだまだ使えます。もう一年がまんしましょう。今年はこのまま納税させてください。」私は「社長かなりの税額になりますよ」と話すと 「納税しなければ会社は強くならないと教えてくれたのは、先生ではないですか。
私はそれを着実に実行してきただけですよ。今度の税金も借り入れなどしなくても十分払えますよ。」と。
不思議なことに自己資本比率40%超えると急に資金繰りが楽になることを実感されている社長さんが多いようです。10年前に出版された「実学」の中で京セラの稲盛会長は、「会計が分からんで経営ができるか」と世の経営者に対し、血を吐くような思いで叫んでいます。社長には、まず、貸借対照表の中の「自己資本比率」の重要性を勉強して欲しいと思います。そして、その重要性がわかったら、自己資本を高める経営を日々目指し、経営の基盤を強固なものにしてもらいたいと思います。
来月(7月)は「なるほど決算書パート②」でキャッシュフローを中心にオーナーズセミナーを開催します。一人でも多くの経営者の皆さんの参加を切望します。
2008年6月28日(土) 文責 千 葉 和 彦
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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