二代目社長に朗報か?・・相続する同族株式評価は8割減
先日、私の関与先の会長がお亡くなりになりました。すでに何年も前から御長男が社長として頑張っており、スムーズに事業承継が進むケースです。
ただ悩みは、長年利益を継続して出してこられた優良法人共通のもので、自社株評価がとても高いことです。
当然相続税を払ってでも、自社株は、現社長が相続しなければならないものとして、私は、相続税のシミュレーションをしました。その時、社長から「今年の6月12日の日経の報道の通りに税制改正が進むなら、一度母に自社株を持ってもらってはどうでしょうか?」と質問されました。
まったく社長の言う通りですので、その方針を採用させてもらうことにしました。ただし、この改正はまだ通るかどうかわかりません。通るのを確認してから作戦を立てること
にしました。
この改正の内容は、非上場の同族会社株式の相続税評価80%軽減が中心で、遺留分放棄の手続き簡便化も含めた広範な提言です。この提言の裏方役をつとめたのは経済産業省・中小企業庁でした。
年間29万社の廃業のうち後継者不在によるものが7万社、それに雇用喪失が年20万人から35万人です。「金持ち優遇」と野党からの非難も聞こえますが、何と言いましても、この減税の一方の大義名分は「雇用確保」です。
12月の自民党税制改正大綱を経て3月末に国会通過、早けれぱ来年施行の可能性大です。
日本経済新聞によれば、(株式相続した二代目社長は)5~7年は事業を継続して、従業員の8割以上の雇用継続をしなければならず、また相続後の報告先は経済産業大臣ではなく税務当局だと伝えています。
5~7年は事業継続を続け、8割の雇用確保も継続できれぱ、同族会社株式の相続税評価は8割減が可能です。その反面、もし、それができなければ8割減は取り消しとなり課税されてしまいます。
従って、二代目社長は事前にしっかりとした計画を立てる必要があります。そしてこの改正は、今回税制改正の大きな目玉です。
農業後継者に多額の相続税を課すれば農地が失われ農業は継続できなくなります。そのため、農業後継者に対して特例が設けられています。それは中小企業者も同じではないでしょうか。企業後継者が株価評価の高さゆえに、相続税を払うために借金までしなけれぱならないところまで追い込まれています。しかも、中小企業の株は簡単には売れません。今回の改正は農業承継と同じように事業承継を容易にすることに目的があるのです。 ただ、事業に関係のない財産管理会社や投資目的会社は対象外とあります。株式持合いや、持ち株会社はどうなるのでしょうか。またビル所有会社はどうなるのでしょうか。
ちょっとしたところで、相続税に大きな差が生じることが予想されます。事前の準備と対策で大きな差が間違いなく生じます。
事業承継を最小限の負担で済ませるためにも、事前の計画が、経営者には必須です。
私も少しでもお役に立てるよう頑張りたいと思います。
経営者の皆さんも頑張ってください。
2007年11月29日 文 責 千葉 和彦
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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