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2007年10月 1日 (月)

再起可能な倒れ方を!

20年以上この仕事をしてきましたが、何が辛いかといって、長年関与してきた顧問先さんに倒れられることほど辛いことはありません。
しかも、社長をはじめ家族全員が行方不明と聞いたりすると、その社長や奥様の顔が浮かんできて、胸が締め付けられる思いです。
社長が悩んで夜逃げする前に、税理士としてアドバイスすることはなかったのかと深く反省させられます。
どんなことがあろうと関与先の社長を夜逃げさせてはダメです。

倒産は経済行為の破綻であり、決して犯罪ではありません。どんなにまじめに経営に取組んでいても、
取引先の倒産に合い、売掛金が焦げ付いたり、業界の構造的な不況で売り上げが落ち込み、資金繰りが苦しくなり、
銀行に追加融資を申し込むが断わられ、不渡りを出したりすることがあります。それを「倒産」と言います。

そんな時、その処理の仕方で、再出発が図れるかどうか決まります。
まず、夜逃げをしてしまえば、再起は不可能です。債権者から逃げず誠意を持って対処しなければなりません。
そのためにも、大切な友人、親戚から借り入れしたり、保証人にしてはいけません。最悪の場合、その人たちも破産に追い込むからです。再起する時に一番応援してくれる大事な人を失うことになります。

先日も毎期赤字続きの社長に「この仕事を続けるのは難しいのではないですか。周りにこれ以上迷惑をかける前に、対策を立てましょう。」
と話したら「この仕事は親子代々続けてきた仕事なので、私の代でダメにしたら、先祖に申し訳が立たないので、続けたい。」という答えです。
そこで、私は「今期この仕事を続けて黒字を出せますか?」と再度たずねました。
すると社長は「黒字を出すことは無理だろう。」と答えてきました。

黒字を出せない事業は、続きません。ダメになるのをただ単に先延ばししているに過ぎません。
しかも、ぎりぎりまで頑張ってしまい、最後は破産処理のため、弁護士に支払うお金も手元に残っておらず、夜逃げすることになります。

「この事業を続けたい。」という気持と現実に「続けられるかどうか」は、別です。冷静に将来をシミュレーションすることが重要です。
そして追い込まれる前に、弱小な取引先には優先して支払いをして上げましょう。

どんなことがあってもサラ金から借り入れはしないでください。理不尽な取立てに身も心もボロボロにされます。
財産を隠したりする小細工もしてはいけません。

金融機関に追加保証人を求められても、決して大切な人を入れないでください。
奥様が連帯保証人になっていなければ、離婚などする必要もありません。法的に奥様に請求はできないことになっています。
どうしても自宅に住み続けたい場合は、親戚か友人に任意に買い取ってもらいましょう。そのためにも、親戚、友人に迷惑をかけてはいけません。
混乱の中でも誰を大事にしなければならないか忘れてはいけません。

そして、債権者から逃げず、誠意を持って早く対処していけば、再起は充分に可能です。
一度の失敗でくよくよせず、その経験を次に活かすくらいのバイタリティで生き抜きましょう。

  2007年9月30日  文 責   千葉 和彦

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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