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2007年6月 8日 (金)

キャッシュフロー経営を目指そう!

「社長、今年は頑張りましたね。利益が1000万円でていますよ。税金は約半分くらい予定しておいてください。」
「先生、そんなに利益でているはずないですよ。何かの間違いじゃないですか。大体手元にはお金は全然ないですし、そんな税金払えませんよ。」

毎回、決算が近づくと、繰り返される社長との会話です。決算から2ヵ月後には税金を支払わなければなりませんから、資金繰りも含めて、当事務所では決算の2ヶ月前に社長さんに事務所
に来所いただき、「決算シミュレーション」を実施しています。
しかし、何度お誘いしても、都合が悪いといって来所されない社長さんにこのタイプは多いようです。

 社長さんには経理出身の方は少なく、そのほとんどが、営業や技術出身の方ですから、このような問答も止むを得ないことです。
京セラの稲盛会長ですら若い時、期末の決算報告を終えた経理部長に対して、「儲かったお金はどこにあるのか」と尋ねたことがあるそうです。

経理部長は、「利益は売掛金や在庫、又は設備など、さまざまなものに形を変えているので、簡単明瞭にどこにあると言えるものではない」と答えました。
そこでさらに踏み込んで、「利益から配当しなければならないというが、それだけのお金がどこにあるのか」と聞きました。
経理部長は、利益は手持ちの資金として残っているのではなく、配当資金は銀行から借りる予定であると述べました。
会長はそれが非常に不思議に思えたので、「配当するお金がなくて、わざわざ銀行から借りてくるというのでは、儲かったと言えるのだろうか?」と尋ねました。
経理部長は、「はい、それでも儲かったと言うのです」と答えました。

多くの社長さんは、この損益の数字の動きと実際のお金の動きの違いが分からなくなっているのです。
儲かったお金は、在庫が増え、売掛金が増えればそこに吸い取られてしまいますし、借入金の返済をすれば、その元金分のお金が消えてしまうのです。
社長さんは自社の儲かったお金がどこにどのような形で存在するのか、ということをよく把握して経営にあたる必要があるのです。
そして、その把握にとどまらず、利益を少しでも現金という形で残すにはどのように経営に当たるべきか考えることが大事です。

まずは、取引条件の見直しを早急にしましょう。

①売掛金・受取手形をいかに減少させるか・・回収方針の確認と徹底がポイントです。
②棚卸資産をいかに減らすか・・在庫目標の設定がされているかがポイントです。
③買掛金・支払手形を増やす・・・当然、信用を失わないようにしなければなりませんが、例えば、締日の直前に購入したりしていないかなど見直しましょう。

ここで大事なことは、社長が回収方針も在庫目標もトップダウンで出すことです。
そうすれば、飛躍的に取引条件は改善されるでしょう。その上で投資のコントロールが必要です。
設備投資は減価償却の範囲内が原則です。
少なくとも設備投資の借入金の元金は、減価償却の範囲内で抑えるよう努力しましょう。
そうすれば、利益と同じ現金が期末には手元に残るはずです。

これをキャッシュフロー経営というのです。
社長さん方、がんばって現金が残る経営を目指しましょう。

   2007年5月30日   文 責

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
   URL : http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

携帯版URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/imode/imode.html

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