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2007年3月28日 (水)

中小企業のための給料の払い方

 「先生、今度30歳の人を中途で採用することにしたのですが、給料いくらくらい払えばいいんでしょうか?」
 「看護師さんたちに、うちの給料安いからよその病院に移るといわれた。看護師の業界の平均給与はどのくらいなのか教えてください。」
 関与先さんによく質問されます。その都度、いろいろ資料を取り寄せてみるのですが、大企業用の統計表のようなものしかありません。中小企業のデータは、公表されておらず、労働局などの資料も大雑把すぎて参考になりません。各企業へアンケート調査をした結果をまとめているだけなのです。しかも、そのデータ、(言葉は悪いのですが)適当に書かれて返送されても検証しようもありません。見栄をはって、多めに書かれてもそれまでです。
 中小企業の場合は、中途採用が多く、年齢、経験、学歴、性別ばらばらです。統計の取り様がないのです。その会社の業績、経営者の考え方で決まるといっても過言ではないでしょう。
 給与は、固定費の大部分を占める重要な経費で、会社経営上も決して避けて通れない項目です。しかも、社員にすれば生活がかかっているとてもデリケートな分野です。どんなに経営が厳しくても、安易に下げたりすることもできません。業績が悪い場合は、経営責任を取り、まずは経営者自らが報酬を削減しなければなりません。会社が赤字なのに、高額な報酬を取り続け、しかも会社に多額の貸付をしている経営者の方がおります。このようなケースでは、経営者自らも、余分な税金を払っていることになります。何故なら役員報酬を引き下げることで、税金、社会保険料を引き下げることが可能だからです。生活費が足りない場合は、その不足分に見合う貸付金を返済してもらえば今までと同様の手取は確保できるのです。
 経営上、給与を考える場合、重要なのは、「労働分配率」です。すなわち限界利益(売上げから仕入れ、材料費、外注費を除いたものです。)に占める人件費(給料、社会保険料の会社負担分、福利厚生費、退職金の引き当て分を含みます。)の割合は、35%(役員報酬を含まない場合で、あくまでも私見です。)以内で抑えるのが理想でしょう。理想は、「低い労働分配率、高い給料」です。そのためには、経営の根幹から見直す必要があり、しっかりと「儲かる仕組み」を作り、黒字体質の強固な経営基盤にしていかなければなりません。労働分配率が60%以上の場合は、役員報酬は取れないでしょう。
 人件費問題は、経営戦略そのものであり、人件費だけを切り離して考えることはできません。給料は経験、性別、学歴、年齢に関係なく、その仕事の成果に対して払うものだという原点に立ち返り、それに見合った自社なりのシンプルな賃金制度を考えていきましょう。
       2007年 3月26日     文責 

ダマされたくない人の資産運用術

 毎日、気味の悪いくらい暖かい日が続きます。今日も快晴で空気も澄み渡り、しかも大安吉日と日柄も最高の日。東京株式市場は急騰し、日経平均は6年9ヶ月ぶりに18000円台をつけました。昨日(21日)日銀は、「利上げ」を決定しました。このことで、今後いよいよ本格的なインフレと円高を予想する声が多いようです。インフレに強いのは、土地と株です。今後、株式市場に、ひそかに、黄金時代の幕開けを期待している人も多いでしょう。

今月15日のオーナーズセミナーでは「ダマされたくない人の資産運用術」をテーマに、日本インベスターズ証券・専務取締役の上地氏に講師をしていただきました。氏は「相場を読むことはできないという事実を認識した上で正しい運用をしなければならない。」と熱く語りました。
そのことを裏付けるため、過去、メディア、評論家やプロと呼ばれる人達が、いかに予測を誤ってきたかを具体的な事例を上げて説明しました。例えば2002年の日経平均株価の終値は、8,578.95円でした。その年1月にはプロと言われる25人全員が、14,000~15,000円を予測していました。全員はずれでした。アメリカのブラックマンデーを見事的中させ、一躍有名になったガザレリでさえ、13件の予測のうち的中はわずか5件だったそうです。

私も、バブルが崩壊し、土地が暴落した1年前に、そのことをどのくらいのプロが予測したかを調べたことがありますが、当時値下がりを予測した専門家は10%もいなかったと思います。今は亡き国際経営コンサルタントの太田晴雄先生が「私も今まで随分損をしてきたんだ。私は損したことを話しますが、他のプロは話さないだけで、みんな同じですよ。」と一緒に昼飯を食べながら私に話してくれたことを思い出します。

では、相場の予測をまったく必要としない運用法があるのでしょうか?それに対し、上地氏は、過去20年間平均で、約17%の利回り(大学の基金運用)を獲得してきたエール大学が参考になると言っています。
エール大学の投資哲学は①市場を当てにいくような運用はしない(相場を張らない)。②資産を広く分散させる。③株式・債券以外の資産、例えば、商品ファンド、不動産ファンド、ヘッジファンドなど(いわゆるオルタナティブ投資)へも目を向ける。④各資産における優良ファンドを選別して分散投資を行う。⑤長期で年平均7~8%程度の運用を目指す。(単年度ベースでの元本割れは許容する)。この投資哲学を踏まえたエール大学の具体的な運用手法は、投資信託への分散投資という極めてシンプルな手法でした。その結果、エール大学は、17%の平均利回りをあげてきたのです。

上地氏は「さすがに17%には手が届かないかもしれないが、私たち日本人が日本で購入可能な投資信託を活用するだけでも、効率的な分散投資を行えば長期的に年7~8%平均の運用成績を上げることは決して難しいことではない。」と言い切っています。「相場はわからない。」を前提に大切な虎の子を失わないように、しっかりと資産運用についても勉強していきましょう。

  2007年2月22日  文責

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