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2007年1月26日 (金)

平成19年度税制改正…特例の延長

 昨年(平成18年12月)末、顧問先の建設会社の社長さんから次のようなTELが有りました。

「ある地主さんが土地を先月(11月)3億円で売却した。顧問税理士から年内中に同じ金額の土地を購入すれば、節税になると言われた。買い換える土地は1億円しかないので、もっと節税効果をだすにはどうしたら良いか」と。
 又、その地主さんが「顧問税理士に聞いたら、年内に工事請負契約さえ済ませれば、建物分の買い換えも大丈夫と言われた。大至急、請負契約して欲しい。」と電話してきたそうです。そこで、その社長が判断に困り、私にすぐに電話をよこした次第です。

 はたして、皆さんはこの件について、どのように考えますか?

 私は、次のように答えました。「社長の営業の邪魔をして悪いが、土地も建物も年内に慌てて購入しなくて大丈夫と地主さんに伝えてください。」と。それに対し、社長は、「私も大切なお客さんなので、慌てずにじっくり良い土地を選んでもらい、建設してもらったほうが良いので、安心しました。そのように伝えます」と。

 では、何故、地主さんの顧問税理士が慌てたのでしょうか?
それはいわゆる事業用資産の買い換えの特例が18年末で切れる予定だったからです。
では、当初の予定通り切れていたらどうなったのでしょうか?やはり、年内中に顧問税理士さんの言うとおり、慌てて買い換えなくてはならなかったのでしょうか?
 答えは「買い換える必要はない。」です。すなわち、年内中に売却さえしておけばOKでした。いずれにしましても、延長になる予定ですので、大丈夫ですが・・・・・。

 昨年12月14日に自民党税制調査会の税制改正大綱が決定しました。各新聞紙上で「税制改正決まる」と報道されるのはこの税制改正大綱です。ここで突然表面化する驚きの改正もあります。

皆さんの御記憶にも生々しく残っていると思いますが、平成16年の「土地建物の譲渡損の損益通算繰越控除禁止」が突然ここで決まったのです。事前に話が漏れれば不動産業界と国交省の巻き返しが予想されたのでしょうから、財務省側が伏せたままで直前に自民党税調を説得して税制改正大綱に盛り込んだのでしょう。この年の税制改正大綱の決定は12月17日でした。そして1月1日譲渡分から禁止となりました。この間に同族間売買等で損だしして税務メリットを享受した方もいたわけですが、それに許された期間はわずか2週間でした。この改正内容を各新聞はまったく報道しませんでした。新聞記者にとり、税制改正大綱本文は専門的過ぎ読みこなせません。各分野の専門家が大綱を深く読み込むしかないのです。

 「まだ法案が国会を通過していないでしょう・・・」とよく言われますが、過去の経験から間違いなくそのまま成立します。「税務署に聞いたけれど分からないといっている・・」
国会未成立の税法を税務署がしるはずもなく、答えないのも当然なのです。

今年の特例の延長は2年間になる予定ですが、かなりの朗報です。

今年の経営戦略に、その特例を大いに活用しましょう。

    2007年 1月25日      文 責

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
   URL : http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

携帯版URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/imode/imode.html

2007年1月10日 (水)

2007年問題と経営計画

 今後の日本の将来を考えた場合に、まず高齢化問題がありました。

10月号でも書きましたように、日本は2~3年後には、間違いなく超高齢化社会に突入し、2050年にはピークを迎え、国民の3人に1人は65歳以上と、かつて地球上の先進国がどこも経験したことのない社会になることが予想されました。

2007年に限って言えば、「団塊世代」の「大量退職」がいよいよ始まるということでしょうか。又、前回も書きましたように、現在でもインターネット利用者数は8500万人を突破し、企業のインターネット利用者数も97.6%になっていますが、IT社会の更なる進行は間違いありません。政府が電子政府の推進に力を入れており、2010年までにはオンライン利用率を50%以上にする目標を掲げているのを見ても分かります。ITの進行は従来の経営手法の常識をドンドン覆してきています。

国税庁も「電子申告」の推進に力を入れています。当事務所でも今月から積極的に取組んでおります。
 当事務所では全関与先さんを「電子申告」で行いたいと考え、この12月に「電子申告開始届出書」を一斉に提出させていただきました。それは、電子申告を希望する関与先様にすぐに対応するための手続きです。必ず電子申告を強制的するものでないことを改めて誤解のないようにお伝えしておきたいと思います。この届出を提出してから、実際に電子申告ができるようになるまで、2週間ほど期間を要するからです。

実際に申告する際には、当然のことながら関与先さんの意向を確認し、了解を得てからさせていただきますので、御理解の程宜しくお願いします。

 更に来年は、今年ずれ込んだ金利上昇が確実に見込まれますので、借り入れの多いところは注意が必要です。為替は、まずこれ以上の円安はないだろうというのが大方の意見です。ただし為替の動向を読むのは非常に難しいため、油断は禁物です。

景気を占うものは、まずは企業の投資意欲と家計の消費です。企業の投資意欲は底堅いのですが、家計の消費はあまり期待できません。企業の業績が伸びても人件費を抑えている企業が大多数で、給与の手取りは増えていないからです。しかも、今年は株式市場が軟調で、含み損失を抱え込んでいる人も多いはずです。消費者心理は政府が考えているよりも思わしくないのではないでしょうか。

とすれば、企業業績が良いところは今のうちに手を打っておくべきでしょう。好業績の時こそ、不測の事態に直面しても動じないような企業体質作りをする絶好の機会です。来年の経営計画では、業積の良いところは、この機会に、得意先を増やし、銀行とはいつでも運転資金を借りられるように極度額を交渉し、手元流動性を増やす工夫が必要です。又、自社に都合の良いように取引先条件の変更をお願いできるのもこの時期です。

とにかく企業体質を強めることを念頭において計画を立てましょう。来年は是非、固めの経営計画を念頭において立ててください。

貴社のますますの繁栄を祈ります。今年も一年間本当にありがとうございました。

2006年12月28日   文責

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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