今、どこが儲かっているのですか?
「今、どこの業種、業界がいいのですか?」という質問を社長さん方からよくされます。
最近、特に、この質問が多いと感じます。そして、その質問の裏には、「世の中、好景気、好景気というけれど自分の会社は業績が上がらない。
周りを見渡しても良さそうなところはない。同業者が集えば愚痴の言い合いだ。世間の景気の良さは、自分には、ピーンとこない。
一体どこが景気が良いのが多くの会社に関与している税理士なら分かるかもしれない。」という素朴な思いが隠されているのではないでしょうか。
私は、その時、一瞬、答えに窮します。と言いますのも、私の周りでも業績の良い会社が少ないからです。
特に、私の地元は、不況業種と言われる水産業と建設業が基幹産業です。この二つが悪いため、市の税収も上がらず、市そのものが財政的危機に直面しています。
昔から誰もが知っている好況業種の医療でさえ、診療報酬は引き下げられ、過去なかった経営的危機に直面しています。
「医者は儲かる。」ということで、子息に多額の投資をしても、元が取れない時代の到来です。
診療報酬体系の見直しにより、大病院の看護士獲得競争が激しくなってきています。正看の数等でレセプトの請求が大きく変わるということになれば、生き残りをかけ、
なり振り構っていられないでしょう。これから年末にかけ、戦々恐々の病院経営者が増えています。
と言いますのは、看護婦さんたちは賞与を貰ったらもっと条件の良い病院に移るのではないかという不安からです。
どんな業種でも国の政策を追い風に進めるような経営計画ができれば望ましいし、リスクも少ないのは確かです。
国の政策の意図を早くつかみ、国の政策に乗るのが近道なのです。しかし、国の政策がいつも正しいとも限りません。
例えば、農業政策ですが、戦後、減反を重ねることで、土地は荒れ果て、今やわが国は、先進国で最低の自給率になっています。漁業もしかりです。
その政策が時代のニーズに合う時だけ威力は発揮されます。
そこで、私が経営者の皆さんに言いたいのは、国の政策だけに囚われず、消費者のニーズ、時代のニーズは何なのかと、マーケティングの原点に立ち返り、
経営者が自分の頭で、じっくり考え、しっかりと経営計画を作っていかなければならないということです。時には国の政策に逆行することもあるでしょう。
そんな時、弱音をはかず、冷静に時代のニーズ、消費者のニーズは何かを考えるべきでしょう。いわば「天の声」に耳を傾けることでしょうか。
今、建設業の経営は、未曾有の危機に直面しています。それは、公共事業が、ピーク時(平成4年)の60%になっていて、仕事がないため、危機に晒されているのです。
そこで、国や地方は中小建設業者に対し、しきりに第一次産業など異分野への進出を進めています。しかし、成功事例は少ないようです。
一方で「公共事業は永遠になくならない。」という事実があります。さっさと見切りをつけて他分野に進出するのも良いでしょう。慣れた分野で、利益のでる仕組みをじっくり考え、方針を立てるのも良いでしょう。
今年も残すところ僅かです。じっくりと来年の計画を立てるチャンスです。応援しています。
2006年11月30日 文責
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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