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2006年11月30日 (木)

今、どこが儲かっているのですか?

「今、どこの業種、業界がいいのですか?」という質問を社長さん方からよくされます。
最近、特に、この質問が多いと感じます。そして、その質問の裏には、「世の中、好景気、好景気というけれど自分の会社は業績が上がらない。
周りを見渡しても良さそうなところはない。同業者が集えば愚痴の言い合いだ。世間の景気の良さは、自分には、ピーンとこない。
一体どこが景気が良いのが多くの会社に関与している税理士なら分かるかもしれない。」という素朴な思いが隠されているのではないでしょうか。

私は、その時、一瞬、答えに窮します。と言いますのも、私の周りでも業績の良い会社が少ないからです。
特に、私の地元は、不況業種と言われる水産業と建設業が基幹産業です。この二つが悪いため、市の税収も上がらず、市そのものが財政的危機に直面しています。

昔から誰もが知っている好況業種の医療でさえ、診療報酬は引き下げられ、過去なかった経営的危機に直面しています。
「医者は儲かる。」ということで、子息に多額の投資をしても、元が取れない時代の到来です。
診療報酬体系の見直しにより、大病院の看護士獲得競争が激しくなってきています。正看の数等でレセプトの請求が大きく変わるということになれば、生き残りをかけ、
なり振り構っていられないでしょう。これから年末にかけ、戦々恐々の病院経営者が増えています。
と言いますのは、看護婦さんたちは賞与を貰ったらもっと条件の良い病院に移るのではないかという不安からです。
どんな業種でも国の政策を追い風に進めるような経営計画ができれば望ましいし、リスクも少ないのは確かです。
国の政策の意図を早くつかみ、国の政策に乗るのが近道なのです。しかし、国の政策がいつも正しいとも限りません。

例えば、農業政策ですが、戦後、減反を重ねることで、土地は荒れ果て、今やわが国は、先進国で最低の自給率になっています。漁業もしかりです。
その政策が時代のニーズに合う時だけ威力は発揮されます。

そこで、私が経営者の皆さんに言いたいのは、国の政策だけに囚われず、消費者のニーズ、時代のニーズは何なのかと、マーケティングの原点に立ち返り、
経営者が自分の頭で、じっくり考え、しっかりと経営計画を作っていかなければならないということです。時には国の政策に逆行することもあるでしょう。
そんな時、弱音をはかず、冷静に時代のニーズ、消費者のニーズは何かを考えるべきでしょう。いわば「天の声」に耳を傾けることでしょうか。

今、建設業の経営は、未曾有の危機に直面しています。それは、公共事業が、ピーク時(平成4年)の60%になっていて、仕事がないため、危機に晒されているのです。
そこで、国や地方は中小建設業者に対し、しきりに第一次産業など異分野への進出を進めています。しかし、成功事例は少ないようです。
一方で「公共事業は永遠になくならない。」という事実があります。さっさと見切りをつけて他分野に進出するのも良いでしょう。慣れた分野で、利益のでる仕組みをじっくり考え、方針を立てるのも良いでしょう。

今年も残すところ僅かです。じっくりと来年の計画を立てるチャンスです。応援しています。

 2006年11月30日  文責

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
   URL : http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

携帯版URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/imode/imode.html

2006年11月 8日 (水)

超高齢化社会突入とIT社会の到来

 自社の経営計画を立てる時、自社を取り巻く外部要因として大きく時代のトレンドを考える必要があります。

「先のことなんかわからないから計画なんて無意味だ、」と言う方がいますが、かなりの正確性で予測できることもあります。例えば、誰でも10年後は、生きていれば10歳年をとります。マクロ的には、日本の総人口は昨年から減少を始め、そのうち65歳以上の高齢者の人口割合は、2025年に29%、2050年には35%以上になることが予想されます。ちなみに65歳以上が総人口に占める割合が、21%以上を超高齢社会と呼びますが、2~3年後には間違いなく超高齢化社会突入です。

老人施設に入るには今でも何年も待たなければならないのに、この先不安です。不安を解消してあげることは、すぐビジネスに繋がります。政府は自宅介護政策を進めていますが、介護する人の苦労を考えると、とんでもない話です。

  次に、IT社会の更なる進行が予測されます。政府も、電子政府の推進に力をいれており、2010年までにオンライン利用率を50%以上にする目標を掲げています。インターネットの利用者数は現在でも、8500万人を突破し、企業のインターネット利用は97.6%になっています。

IT革命は「超効率化革命」です。ブロードバンド、ユビキタスの普及がますます増え続けることで、ムダが排除され、物と人と土地は余り続け、価格破壊は進行し、その結果、物を「持たざる経営」がますます重要になります。更に、アメリカでは、従来の常識を破った経営理論として、「ロングテール現象」というものが話題になっています。パレートの「80対20の法則」は、皆さんも良く御存知かと思います。それは、全商品の売り上げの80%は売れ筋商品20%で売り上げられているという経営理論ですが、IT社会はこの常識も覆してきました。

例えばアマゾンの書籍販売です。通常の書店で、在庫を保有することが困難な需要の少ない書籍の売り上げが全体の3分の1を占めているのです。すなわち、従来は相手にされなかった恐竜のしっぽのような部分のしめる売り上げが凄いのです。多様で小規模な需要が集積することで、市場が成立し、その売り上げは全体の中で大きな部分を占めるのです。これはネット時代の新しいビジネスモデルが生み出したものです。書店を構えていては、いつ売れるかわからない在庫を抱えることができませんが、IT活用が従来の経営理論、ビジネスモデルの常識を覆しています。

 IT社会の到来は従来のビジネスモデルや経営常識を覆します。過去の経験にとらわれない柔軟な発想が必要です。「良く分かっているよ」と言いながら、いまだに自社のホームページすら作成していない会社もあります。

まず、最低「ホームページ」と「メールマガジン」の活用から始め、最後は、モバイル(携帯電話)による販促を目指しましょう。低コストでより多くの情報を提供できるのもITの活用ならではです。まずは、自社でできることから取り組もうではありませんか。

2006年10月31目文責

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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携帯版URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/imode/imode.html

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