« 2006年4月 | トップページ | 2006年7月 »

2006年6月 1日 (木)

「新会社法」理解のためのポイント

5月より「新会社法」が施行されました。商法は、平成9年からめまぐるしい改正が毎年のように続きましたが、今回のような大改正は初めてです。今までの改正は、どちらかというと大会社向けでしたが、今回の「新会社法」は、中小企業にも大きな影響を及ぼします。そのため、十分な理解が、経営者には求められます。十分に活用するのとしないのでは、今後の会社の運営に明暗を分けることにもなりかねないからです。そのことを、意識してか今月の「新会社法」をテーマとしたオーナーズセミナーへの参加者は、いつもより多く、熱心だったようです。

今回の「新会社法」を理解するには、コツがあります。そのコツを踏まえて前に進まないと、最初から躓いてしまいます。それは、第一に、その会社が、「公開会社」か「非公開会社」どちらにあたるかです。その際、混乱してはいけないのが、「公開会社」だからといって上場している会社のことを言っているのではないのです。その会社が、株式譲渡制限会社であるかどうかです。株式譲渡制限会社とは、定款上、すべての株式につき、株式を譲渡するには取締役会の承認決議を必要とする定めがある会社をいいます。そして、ほとんどの中小企業は、株式譲渡制限会社といわれています。その「株式譲渡制限会社」のことを、「非公開会社」というのです。取締役が一人でいいとか、監査役はいらないとか、取締役の任期は10年までOKだとか・・・すべて「非公開会社」であるという前提がついているのです。ここが、最初の混乱の入り口ですので、迷わされないようにしてください。まれに、付いてないあるいは、付けていない会社もありますので、自分の会社の謄本を取って確認してください。付けていない中小企業は早急な定款の変更が必要でしょう。ここが第二のポイントです。

今回の改正は、誤解を恐れずに言えば、定款の決め方でいかようにでもできるということです。これを「定款の自治の拡大」などといっています。ただここで注意しなければならないのが、どんなに譲渡制限規定を付けても、他の人に自社の株式が渡ることを避けられない場合があります。合併と相続の場合です。合併と相続で会社にとって(今の経営陣にとってですが・・・・)好ましくない株主が入ってくることは避けられません。今までは、泣き寝入りでした。しかし、今回の改正では、売渡しの条件を定款でつけることが可能です。新しい株主は自分の意志にかかわらず、会社から請求があったときは、売り渡さないとなりません。(価格ではもめると思いますが・・・。そして1年以内です。)いずれにしましても、以前と比べて大進歩です。事業承継対策で大きな成果をもたらすことになるでしょう。是非、この機会に、自社の実態に合わせて定款を見直し、今後の会社運営役立ててもらいたいと思います。

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱)
URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

« 2006年4月 | トップページ | 2006年7月 »