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2006年3月13日 (月)

第91回「新春セミナー」に吉川武男教授をお招きして

 去る1月14日、毎年、ビッグなゲストをお招きしての、当事務所恒例の「新春セミナー」(第91回)をマリンゲート塩竃で開催した。今回のお客様は、新しい経営手法「バランス・スコアカード」(以下BSCという。)の第一人者、横浜国立大学大学院教授・吉川武男氏である。(今回のビッグイベントは、東北IT経営応援隊・㈱IT経営コンサルティングの佐藤社長との共催のおかげで、実現したものである。)

氏は、新しい経営手法の「バランス・スコアカード」の日本の第一人者である。杜の都信用金庫、塩竃市、塩竃商工会議所の御支援もあり、約100名の経営者、経営幹部の方に御参加いただき、盛況に終えることができた。

1980年代の米国経済は、良いものを安くしても売れない時代で、経営者たちは財務だけを考え、日本に負けた。その反省に92年にBSCが作られ、経営改革が始まった。すなわち、ほんの13年~14年前にこの手法は誕生したのである。1990年代のアメリカでは、将来が必ずしも過去の延長線上にあるとは限らず、将来を予測することが難しい時代に突入していた。
供給は需要を上回り、大量生産がものをいう時代が過ぎ、スケールメリットが必ずしも活かせない時代になっていた。すなわち、品質と価格だけでは競争優位を獲得できなくなり、次々有カな企業が、倒産していった。吉川先生は、そのことは、まさに今の日本の経済環境に酷似しているという。だからこそ、今の目本に、新しい時代の経営手法が必要であら、BSCこそが現代の時代に合った経営手法であると主張している。

時代は、バスの運転手の時代からタクシーの運転手の時代に変わったのである。バスの運転手の時代は、乗客がバス停で待っていてくれ、走行ルートとスケジュールも予め決まっており、これに沿って安全に運転すれば良かった時代である。企業経営で言えば、各年度に企業予算を編成し、この企業予算を目標に「過去の経験」を生かし、「勘と度胸と頑張ろう」に代表される「精神論的経営」ないし有視界経営でも、充分に初期の目標を達成することができた時代である。

ところが、タクシーの運転手の時代は、乗客を捜し求めるとともに、捜し求めた乗客の希望する行き先が毎回異なり、換言すると、走行ルートもスケジュールも毎回異なるのである。したがって、タクシーの運転手の時代は、乗客の希望に応じてナビゲーターに基づき走行ルートを決め、安全かつ迅速に目的地に向かって運転しなければならない時代である。その経営のナビゲーターとして有力な手法がBSCである。
BSCは次のように、通常4つの視点を設けている。①財務の視点②顧客の視点③業務とプロセスの視点④人材と変革の視点である。財務だけの視点に捉われず、それを実現するための顧客の二一ズをしっかりと捉え、その二一ズを捉えた財・サービスを提供するビジネスプロセスを作り上げる人材をしっかりと育て上げ、企業の変革能カの強化を計っていくのである。

最後に、吉川教授は、BSCはあくまでも夢を実現するための道具であり、経営者自らが自分で考えるきっかけを与えてくれるものであるといっている。是非この機会に自社の経営ビジョンをしっかりこのBSCの手法で、考えてみようではありませんか

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱)
URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

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