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2005年9月28日 (水)

経営計画で業績アップを!

 日本には現在会社といわれるものが250万社~300万社あるといわれています。そのほとんど(約97%)は年商5億円以下の中小、零細企業です。この中小零細企業が、今日の日本を築いてきたのです。

大企業が戦後最大の利益を上げ、日本の株価も上昇気流にのってきたようです。しかし、現実には日本の中小零細の70%は赤字申告に追い込まれ、連日の大企業の空前の利益計上というマスコミの報道は、日夜中小企業の社長さんたちと関わっている私には、まるでよその国の出来事のように思えます。

特に地方の景気の落ち込みは激しいものがあります。それは地方においては、特に不景気といわれる建設、農業、漁業が基盤産業だからです。今回、公表された基準地価も、一部の大都市だけが、下げ止まり、あるいは若干の上昇に転じ、地方都市は軒並みその価格を下げています。

しかし、地方の中小企業も、周りの環境のせいにばかりせずに、今こそ赤字脱出に向け、従来の経営手法を見直さなければなりません。

具体的には、過去に何度も話してきましたが、しつこいようですが、「経営計画」あるいは「経営改善計画」を立てるべきです。現状を分析しながら自社の強み、弱みを再度見つめなおし、毎月のアクションプランを立て、毎月予実対比を行っていくのです。そうすることで、新たな課題を抽出し、その課題解決の手法を考え、実行します。その結果、必ず業績はアップすることを保証します。我々はこの課題解決の支援をMAS監査と呼んでいますが、ほとんどの企業に業績の改善が見られます。そのくらいの自信と確信を持っています。

しかし、どんなことをしても業績アップがはかれない場合もあります。それは業界自体が衰退し、あるいは新商品が開発された場合などです。例えば、100円ライターの出現で消えたマッチメーカーや、携帯の出現で消えたポケットベルの会社などが良い例です。これらのケースでは一企業の努力の範囲を超えているからです。その場合は早く見極め、他の業界をまたぐか、最悪の事態を招く前に、上手に止めなけれぱなりません。我々会計人は、企業が大怪我をしないような転び方をするように、手伝わなけれぱなりません。銀行と会計事務所はお客様が倒れるまでお金をもらい続けるなどと言われてはいけないのです。

資金力や人材にも大企業のように恵まれていない中小企業は、綿密な経営計画を立て、商品、市場を絞り、すなわち、あれもこれもしようとしない「あきらめ主義」に徹すると同時に、これと決めたら何度も繰り返し挑戦する「あきらめない主義」でいく以外に生き残る道はありません。どんな大企業もはじめは皆中小零細企業だったことを思えば、おそれることはありません。今このときに「経営計画は何故必要なの?」などと間の抜けた質問をしているときではありません。企業を存続、発展させ、経営者、従業員の自己実現ができる会社にするために絶対必要なのです。企業とは苦しくても成長をし続けなければならない使命を担っているのですから…。

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱)
URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

2005年9月 5日 (月)

企業格付けと債務者区分

 金融庁は平成14年2月、中小・零細企業等の債務者区分の判断について、「金融検査マニュアル」を公表しましたが、中小企業経営者から悲痛とも感じられる声が多く寄せられ、平成14年6月に「金融検査マニュアル別冊」が公表されました。それを読みますと、中小企業に対して金融機関に十分な配慮が要請されているのがわかります。(例えぱ代表者等からの借入金が当面返済を要求されない場合、これを当該企業の自己資本相当額として判断するなど・・)もちろん、中小企業はそのことに甘えず、尚一層の経営改善が必要なことは言うまでもありませんが・・。

現在、金融機関は、従来の伝統的な与信管理(①個別与信管理中心②担保重視)から債務者の債務償還能力重視の「企業格付け」重視に体制の整備を進めています。その「企業格付け」をする際に、配点が多い項目の一つに「自己資本比率」があります。貸借対照表(B/S)を見るときに、一番重要なのは「自己資本比率」であることを、セミナー等を通し、何度も、経営者の皆さんには耳にたこができるほど、繰り返し話してきました。日本の黒字企業の平均は27~28%です。まずは平均以上を目指し、理想は40%以上でした。企業格付けで満点は60%以上ですから、もちろん40%で満足してしまってはだめです。

 経営者の皆さんと話をしますと、損益計算書(P/L)には強い関心を示しますが、B/Sにはあまり関心を示しません。この厳しい経営環境を乗り切るためには、P/LはもちろんB/Sを重視する習慣を身につけなければなりません。では、自己資本比率アップの得策はあるのでしょうか?御存知の通り、自己資本比率は、自己資本を総資本で割ったものですから、自己資本(内部留保)の分子を大きくするか、分母を小さくするかの二通りしかありません。

分子を大きくするには、増資か税引き後の利益を蓄積する以外ありません。分母を小さくするには、不良在庫や不良資産などを処分する以外ありません。そう考えますと、企業は、余分な資産を持たず、コツコツと利益を出し、内部留保を高めていく以外に、得策はないようです。しかも、自己資本比率を高めることに集中すれば、自然と総資本経常利益率や固定長期適合率などの数字も良くなります。

 格付けが6~7の企業は、債務者区分で言えば、正常先と要注意先の境目にあります。一つ格付けが上か下かで、金融機関のそれらの企業に対する対応は大きく異なります。このあたりの企業は是非日頃から一ランクアップの努カをし、問違っても一ランク下がるようなことにならないようにしなければなりません。

A社とB社はほぼ同じ財務内容ですが、格付けは一つ異なります。違いは何でしょうか?それは経営者が明確に経営目標を打ち出して、「中期経営計画」を銀行に提出し説明しているかどうかの違いです。企業の将来に対する明確なビジョンと戦路を金融機関が評価してくれるのです。「経営計画」や「経営改善計画」の中長期、短期を立て、社長のやる気と前向きの姿勢を是非金融機関にお示しください。それは、先方から提出を求められる前に自発的に行動することが、重要です。是非がんばってください。

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱) 

URL:http://homepage1.nifty.com/chiba-kaikei/index.html

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