カネボウの粉飾
毎年恒例の「社長がわかる決算書の読み方」3回シリーズのセミナーが、今年も今月で3回目を終了しました。延ぺ120名の熱心な受請生の皆さんお疲れ様でした。今年は、10月に仙台のアエルでも、同様のセミナーを企画していますので、聞き逃された方は是非御参加ください。
「我が社に一人でも、貸借対照表(B/S)が読める幹部社員がいたら、こんなことにならなかった。」と話したS工務店社長。「10年早くこのセミナーを受講したかった。」とはK社長。「今年の設備投資見直します。」と熱心に話したA杜長。社長自らが、決算書を読めない企業は、羅針盤を持たずに大海原を航海している船と一緒で、いつ沈没するかは、時間の間題です。
今回、連日の新聞紙上を賑わしているカネボウの粉飾決算。カネボウは一世紀を超えて、事業を展閑、売上高国内トップに立ったこともある名門企業です。今回粉飾を指示したとされ、遠捕された元社長は、営業一筋で財務を知らず、貸借対照表も読めませんでしたが、「会社をつぶす気か」と部下を怒鳴り、不正を命じたとされます。社員は「残念」と言って黙り込み、家宅捜査を受けた監査法人は右往左往です。副社長はメーンバンク(現三井住友銀行)から再建のために送り込まれた人です。従いまして、メーンバンクが今回の粉飾に気づいていないはずはありません。メーンバンクの責任が追求されないのは何故なのでしょうか?不思議でなりません。
今月のセミナーは「キャッシュフロー計算書の読み方」でした。キャッシュフロー計算書は、B/SやP/L(損益計算言)では見抜けない「粉飾」を見抜くことができます。カネボウでも黒玉(仮想取引による不良在庫)などの隠語が社内で公然化していた状況では、キャッシュフロー計算書では大きな営業キャッシュフローのマイナスを生じていたはずですし、財務のプロならその異常性に気づいていて当然なはずです。
前月号でも述ぺましたが、キャッシュフロー計算書は、外部の粉飾を見抜くとともに、自社にとっても、「早く手を打ちなさい。」という警告も与えてくれ、手遅れになるのを防いでくれます。「営業キャッシュフロー」がマイナスになったら、屁理屈をこねず、すぐに必死で手を打たなければなりません。漫然と翌年も借り入れを増やし、設備投資をしている会社を、時々見かけますが、とんでもないことです。倒産企業のほとんどは、その危機感のなさから倒産に追い込まれるのです。倒産は経営者一族だけでなく、従業貝とその家族、友人、取引先さえも巻き込んで不幸に陥れます。何としても避けなければならないのです。
そのためには、正当な利益を追求し、税金を払い、内部留保を高めることしか、キャッシュフロー経営に持っていく方法はないということを、この機会に再度肝に銘じて、経営に取り組もうではありませんか。経営者の皆さんがんばってください。
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱)
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